第2話 30歳の場合
今日で30歳になった。あ~あ、ついに大台になってしまった。
毎日の仕事は営業職で、面白くもへったくれもない。
独身だが、彼女はいる。でも、その女にも飽きている。
とりあえずの彼女に未練は無い。もっと若くてキレイで派手で、誰もが羨む彼女が欲しい
当然、結婚する気も無い。金も無い。刺激も無い。仕事やる気もない。ナイナイ連発砲。
何だか毎日、嫌なニュースばかりで気が滅入る。
たまには明るいニュースが欲しいなぁ。そうだ、ちょっと旅行にでも行くか?
なぁに、問題ないよ。だってみんな行ってるし。ニュースの映像みても、あんなに大勢の人が出歩いている。
もしかしたら、ウイルスって本当は存在しないんじゃないのか?
マスコミがニュースのネタがないから大げさに取り上げているだけなんじゃないのか?
自分の知り合いには感染したって人は聞かないし、それに感染したって病院でおとなしく入院しているばそのうち治るんでしょ?
ちょっと我慢すればそのうち退院できて、もとの生活がもどってくるんでしょ?
どうしてそこまで過敏になって、目に見えもしないウイルスにビクビクしてないといけないのよ?
そんなのオカシイ話でしょ。そんなの政治家が何とかしてくれよ。だって税金たくさん払っているんだぜ?
あーあ! もうどうでもいいや!
俺は発泡酒を喉に流し込み、カップラーメンを食べてスープを全部飲むと、湿った布団にもぐりこんだ。
明日なんか来なけりゃいいのに、そう思いながらいつもでも、眠れぬ夜を過ごすのだった。
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