コロナカひとり呑み日記

しょもぺ

第1話 50歳の場合

彼女いない暦=イコール 今の年齢


今日でとうとう50歳になった。なってしまった。なりたくなかった。


結婚暦無しの生粋の独身。女性遍歴 全く無し。ポジション的には童貞と言われる存在。


というか、今まで風俗以外で、女性と関係をもった事など一度も無い。生粋の童貞。


自分の生殖器の存在意義を忘れ、自慰行為以外での慰めをいまだ知らず、この歳にまで至る。


自分の存在価値などあるのか? 死んでしまった方が良いのか?


毎日、ふとんの中で自問自答を繰り返す。しかし、いまだ答えは出ない。


そんな男の物語。けして面白い話ではない。



世の中では、ウイルス蔓延の為に自粛ムードだ。

仕方ない。当たり前だ。下手したら、自分が死んでしまうかもしれない。

有名な芸能人が何人も死んでいる。もしかしたら、自分にもありえる話なのだ。


そして今、第2波が来たと言っても過言ではない。

いや、テレビの中の政治家は、そうは言わない。言えないのが本音なのだ。


金に目が眩み、大手旅行会社からの政治献金と言う名のワイロを懐に収め、にんまりとした顔を隠せぬまま、経済を回すためと嘘偽りの方便をならべ、最悪のシナリオとも言えるキャンペーンを実行するに至ってしまった。


だが、アホな国民は、何も疑わない。

知らない、知りたくない、そっぽを向いて自分だけが楽しみたい。

約半年前の、あの楽しかった日々をとりもどしたい。我慢するのはもうイヤだ。

大丈夫なんとかなる。ちょっと気をつければ何ら問題ない。

みんなそう。みんなだってやっている。楽しんでいる。だったら自分も楽しみたい。

政府だってキャンペーンしてるし、行楽地でも徹底して消毒と三密を避けているし、問題ないだろう。

そう自分に言い聞かせている。もうストレスの限界なんだよ? 少しぐらい羽を伸ばしてもいいだろ?

自分に甘い人間は、自分を甘やかす事には躊躇しない。

『大丈夫』と、『何とかなる』と、『みんなやってる』を連呼する。すると不安は消え去り安心が残る。


このままじゃうつ病になってしまう。

俺は安い焼酎をストレートのままロックで流し込み、強引に酔った。酔いたかった。

5杯目ぐらいで少し眠気がしたので、カップ麺の汁なしそばを食ってから、歯も磨かずに、落ちるように布団に倒れこんだ。


ああ……明日、朝起きたら死んでしまうかもしれない……そんな不安に苦しめられながら。

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