第5話 再開2

 事件から半年後、Aくんの携帯に1件の着信が入った。相手はBくんだった。「会いたい」と言ってきたが、Aくんは断ろうと思った。未だにどんな顔をすれば良いのか、分からないからだ。しかしBくんは折れずに説得し続け、Aくんの根負けという形で会うことになった。

 約束の日、Bくんは約束の場所で待っていた。しかし、以前のように、再開しても笑顔にはならず、とても気まずい雰囲気になり、そのまま近くの喫茶店に入った。実はBくんの従兄弟がその喫茶店で働いているらしく、気を利かせて個室に案内してくれたうえに、コーヒー1杯を奢ってくれた。とてもありがたいと2人とも思っていた。

 しばらくして、Bくんが語り始めた。あの事故の後、Bくんの家にもマスコミが来たこと、しつこかったこと、学校では、可哀想な人扱いされ、壁を作られていたこと、そして、Aくん一家を恨んでいないことなど、泣きながらも全て話してくれた。その言葉に、Aくんも涙が止まらなかった。しかし、どうすればいいかわからなかった。Bくんは許してくれても、周りの人間が許してくれないうえに、Aくん自身、生きる希望を失っている。どうすれば良いのか、どうしたいのか等、考えることが出来なかった。

 その日は結論が出ないままお開きになり、後日また会う話をした。


 

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