第5話 再開2
事件から半年後、Aくんの携帯に1件の着信が入った。相手はBくんだった。「会いたい」と言ってきたが、Aくんは断ろうと思った。未だにどんな顔をすれば良いのか、分からないからだ。しかしBくんは折れずに説得し続け、Aくんの根負けという形で会うことになった。
約束の日、Bくんは約束の場所で待っていた。しかし、以前のように、再開しても笑顔にはならず、とても気まずい雰囲気になり、そのまま近くの喫茶店に入った。実はBくんの従兄弟がその喫茶店で働いているらしく、気を利かせて個室に案内してくれたうえに、コーヒー1杯を奢ってくれた。とてもありがたいと2人とも思っていた。
しばらくして、Bくんが語り始めた。あの事故の後、Bくんの家にもマスコミが来たこと、しつこかったこと、学校では、可哀想な人扱いされ、壁を作られていたこと、そして、Aくん一家を恨んでいないことなど、泣きながらも全て話してくれた。その言葉に、Aくんも涙が止まらなかった。しかし、どうすればいいかわからなかった。Bくんは許してくれても、周りの人間が許してくれないうえに、Aくん自身、生きる希望を失っている。どうすれば良いのか、どうしたいのか等、考えることが出来なかった。
その日は結論が出ないままお開きになり、後日また会う話をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます