7


無言の間の後、彼女は近くの扉を指差した。




その扉には 【WC】 のプレートが。




『トイレです』



『今、使用中になってるから少し待って下さいね』




その言葉にようやく僕は事態を飲み込む。



確かにドアには使用中の、

赤のロックランプが灯っていた。




彼女はおもむろに、

そのトイレの扉に近づくとノックした。




『すみませんお客さん出てもらえますか』



 !?



そんな横暴おうぼうな!?




『すみません、お客さん』




 ・・・



返事はかえってこない。




「入ってないんじゃ?」



『いえ、このトイレは48分前に使用され、

 それ移行ロックされたままです 』



えっ!?



どういう事か理解がおいつかない。




『今、使用から丁度49分たちました』




そんな表示があるのかと扉の周りを探すが、

それらしき表示はない。




『仕方ありません。

 強制解錠します』



「えっ!いいの?


 いや、出来るの?」



『出来ます』



そう言って扉のプレート部分に手をかざす彼女。



『最終確認です。

 中に人がいる場合は扉を開けて下さい。

 5秒後に扉を開けます』



 ・・・



『これより強制解除します』



その言葉と同時にガチャリと言う音と、

手をかざした【WC】の赤く灯ったプレートが、

青に変わっていた。



ロックの解除された扉をスライドさせ、

ゆっくり扉を開く彼女。



その時それまで無音だった室内から声が上がった。



「まって!?」



その言葉が間に合うはずもなく、

扉は開けられていた。



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深海特急オクトパス3000 夜神 颯冶 @vx9

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