第22話 新子友花、会心の一撃!! 聖人ジャンヌ・ダルクさま、痛恨の一撃!!
「なんだかもう……、夕美までラノベ部に入部するなんて、……ようやく学園内で自分の居場所を見つけられたと思ったのに。……なんでまた、夕美と一緒にならなきゃいけないんだか……」
とかなんとか言いながら。
ここは、いつもの聖ジャンヌ・ブレアル学園の正門から、坂を登った丘の上にある教会――聖ジャンヌ・ブレアル教会である。
いつも新子友花が授業前にお祈りしている、その教会である。
時間は、ラノベ部の部活動が終わった下校時刻ギリギリ――
新子友花は、いつもの場所――最前列の長椅子に腰掛けて、両手を合わせて祈っていた。
「……ああ聖人ジャンヌ・ダルクさま。……今朝も礼拝しました。…………なんだか今日は、夕美、……東雲夕美がラノベ部に入部してきて……とか、色々とややこしいことになってしまったので、こんな時間にも礼拝することを、お赦しください」
ちなみに、この教会は学生だけじゃなく、一般の人も礼拝に来ます。
その礼拝時間は、夜明けから日没までの間であるならば、いつでも可能です。
――ところで、新子友花。これって、祈りじゃなくて懺悔じゃないの?
「なんか、もういいよ。……あたし、新子友花は祈るだけだから。ああ聖人ジャンヌ・ダルクさま……」
目を閉じて、こういう感じで愚痴っぽいことを呟きながら、新子友花は祈り続けた。
「ああ聖人ジャンヌ・ダルクさま……。あたしは、どうして、こんなにも……こんなにも…………」
新子友花は、こんなにも……の後に、言葉が出なかった。言葉が思い浮かばがかった。
脳裏で頭の中を少し整理してみる――
――新子友花の幼馴染みで、ご近所さんの東雲夕美。
彼女はハッキリ言って『ウザい系』の女子高生である。
それは、新子友花が個人的にそう思っているという範囲ではなくて、一般的に『……こいつ、土足で人の心の中に入ってきやがってとか。なんで、こうも、この人はうるせーのかな? なんなんだ、この人??』という感じの、世間一般に数割はいる『困ったちゃん』のウザい……である。
実は、新子友花にとって東雲夕美という幼馴染は、小学生の頃からの悩みの種だ。
近所に住んでいて、空き地で定期的にリサイタルを開こうとする――あのいじめっ子みたいな存在だ。
今日の新子友花が礼拝に身が入らない理由は――こんなところである。
「あ~もういいかっ。……帰ろっと」
新子友花は長椅子に置いてあった自分のカバンを手に取ると、それを肩に掛けて立ち上がった。
「……………」
しばらく、新子友花は聖人ジャンヌ・ダルクさまの像を見上げていた――
「こんなにも…………。あたし、なんて言おうと思ったんだっけかな?」
新子友花はこんなことを呟きながら、しばらく聖人ジャンヌ・ダルクさまの像を見入っていた。そして、
「……よく分かんないやっ。……ま、いいっか!」
と開き直り、像を背にして扉の側へとくるっと向きを変え、半開きになっている扉に向かおうと歩き出した。
――その時である。
「新子友花よ……。まったくもって、お前ときたら」
……その声。
どうやら聖人ジャンヌ・ダルクさまの像から聞こえる? 勿論、聖人ジャンヌ・ダルクさまの像は何も言っていないけれど。
「新子友花よ…………。お前は、どれだけ自分が幸せなのかが分からないのか?」
「はにゃ??」
新子友花が教会の扉に向かおうとした、その瞬間――
背後からか、声が聞こえてきて確かにそう言った。
――新子友花は振り返った。
そこには、勿論のこと聖人ジャンヌ・ダルクさまの像がある。
向かって右隣の柱近くには、聖人ブレアル像があるだけだ。
ステンドグラスから夕日が差し込んできて、7色に煌びやかに輝いていて――聖人ジャンヌ・ダルクさまの像をを照らしていた。
とても神秘的で幻想的に見えている。
……まあ、そう見えるように演出されて、設計されているのだけれど。
神の世界のような――もしも天国へと導かれたのならば、きっとこういう情景なんだろう。
と、聖ジャンヌ・ブレアル教会の中は表現されている。
カトリック信者であるならば、神に召される感覚を体感することになるのだろう。
「新子友花よ。我が前に十字架を……」
「んにゃ! う、ウソでしょ??」
その声は――どう考えても、新子友花の目の前にある『聖人ジャンヌ・ダルクさまの像』から聞こえてきていた。
見回しても教会内には誰も、シスターも神父もいない。
――だから、どう考えてもそうとしか考えられなかった。
新子友花は、直感的にそう思ったのである。
「は……はい。聖人ジャンヌ・ダルクさま」
新子友花は肩に掛けていたカバンを長椅子に置いた。
それから、両膝を床に跪ける。
――その姿で、再び胸の前で十字を切った。
ふわわ~ん
と、聖人ジャンヌ・ダルクさまの像の前に効果音とともに……幽霊じゃないけれど、突如姿を見せたのは、そう聖人ジャンヌ・ダルク。
本人である――
聖人ジャンヌ・ダルクさまの降臨である!!
第1話にも書いた通り――別に清楚な衣装でもなく、甲冑を纏っているでもない。
戦火の英雄ジャンヌ・ダルクとは、その姿から見て想像できないくらいの……、そのごく普通の中世の服を着ていた。
……見た目は、どこか御嬢様学校の制服っぽい。
セーラー服のようではなくて、修道士のようなシスターのような、つまり服とスカートが一緒になっている服である。生地はかなり普通だ――と書いた。
――なんていうか『普段着』とは少し違う。かといって『上品』と書いてしまうと、それも違うのだ。
作者は初回からずっと……どう表現して書けば、読者様に理解され易いのかを思ってきたのだけれど……これでいこうかなって、決定稿を?
聖人ジャンヌ・ダルクさまのお召し物はというと――それは[ユニクロ・ファッション]である!!
要するに、ごく普通の19歳の女の子なのです。
英仏100年戦争の英雄――そのイメージは、新子友花の前に姿を見せた今の彼女には、見られないのです。
新子友花が17歳の女子高生だから、その姉のような感じの人物――
あの、神様ですからね。
「……」
あまりにも突然のサプライズ! そのために新子友花は言葉が出せなかった。絶句したのだった。
「………」
――絶句というより、例えば[松たか子]の大ファンの自宅のインターフォンが鳴って、『……はい。どちら様ですか~』とドアを開けたら、そこに彼女が立っていた……くらいのあり得ない感だ。
「…………」
ついでに書くと……テレビで見ていたら分かんなかったけれど、かなりスタイル良い~という驚きも追加して。
「よっこいせっと……」
ふわわ~んと現れたジャンヌ・ダルクは、自分自身の像、聖人ジャンヌ・ダルクの像の前に、ぼそっとそう言って腰掛けた。
「……私がジャンヌ・ダルクであるぞ」
ジャンヌ・ダルクはというと――新子友花とは対照的に、毅然と気を保ち、緊張することも当然なくて……彼女なりの普段の姿を見せてくれている。
(そりゃ、戦火を潜り抜けてきて、魔女裁判で火刑に処されて……失うものは何もないよね)
――しばらく、ジャンヌ・ダルクは目下に跪いている新子友花を見つめた。
そして、ゆっくりと口を開けて優しく……
「新子友花よ。……お前はこう告白しようとした。私には分かるぞ」
ジャンヌ・ダルクは語り始めた。
「新子友花よ……。お前は、『ああ聖人ジャンヌ・ダルクさま……。どうして、こんなにも、あたしには幸せが巡って来ないのですか?』と、言いたかったのだろう」
ジャンヌ・ダルクの声は甲高くも無く、かといって低くも無い。
透き通った硝子細工を通して見えてくる満月――中秋の名月の朧気ではない、雲一つない夜空から降り注いでくる月の光のようである。
ジャンヌ・ダルクは語りを続ける――
「そしてさらには、『忍海勇太には小突かれ、神殿愛は生徒会長になり、近所の幼馴染みの東雲夕美には、またしても腐れ縁的にからまれて…………。ああ聖人ジャンヌ・ダルクさま…………、どうにかしてくださいなっ!!!!』とな……」
少し新子友花の口調を交えながら、ジャンヌはそう語って言い終わるなり……口元を緩めた。
(ジャンヌ・ダルクなりの愛嬌だったのだと思う)
「……………」
新子友花、絶句。図星。ちょっと赤面。
無言は続く……。
「あっ! あ……ああっ…ちょいな!」
と思ったら、彼女は少し高い声を出して話そうと……。
「あの聖人ジャンヌ・ダルクさま……。恐れながら…………」
「なんだ? 新子友花よ……」
ジャンヌ・ダルクの緩めた口元は、再び紡いだ。
「あっ……、あの聖人ジャンヌ・ダルクさま!! お、恐れながら申し上げたてまつり、まくりまくらせてもらいます!!!!」
ちょっと最後の方、何言っているのか意味不明だよ。まあ、それで……。
でででっ!!(コマンドで戦うを選択しました)
新子友花、会心の一撃!!
「お……忍海勇太は、あっ、あたしのことを色眼鏡でしか見ていないのです。だっ、だって!!」
両手をワナワナと……意味不明なジェスチャーを交えて、新子友花は恐れ多くも聖人ジャンヌ・ダルクさまに言葉を返す。
「新子友花よ……そう焦らんでよいから。落ち着いて話そうぞな?」
それを咎める気なんてサラサラない、気高い心持のあるジャンヌ・ダルクである。
「……はい。聖人ジャンヌ・ダルクさま」
新子友花は、コクリと静かに頷いた。
「……授業中も勇太からの……後ろの席からの、いやらしい視線を感じて」
自分がどうして幸せが巡って来ないのか? その理由を荒探し始める新子友花。
つまり、聖人ジャンヌ・ダルクさまに言い訳を始めたのだった……。
ところで、ちょっと新子友花さん? 色眼鏡っていやらしいって意味とは少し違いますからね。
偏見という意味ですから。
「感じて? だから??」
しかし、ジャンヌ・ダルクは、新子友花のその言い訳を、逆手にとって一切動じない。
「仲良い忍海勇太に見られることが、お前は良い様には思わないのか?」
ジャンヌ・ダルクは、新子友花を見つめながら――けっこうグイグイ仰るよね?
「他の者は?」
「ほ……他の者は…………ですね」
なんだか、額に変な汗をかいている新子友花だ。
恐らく心の中は“最後の審判”のように、神様からの詰問に対してなんとかお許しを……。
……でれでれでれっ!!(今度はコマンドで魔法を選択しました)
新子友花は『責任転嫁』の呪文を唱えた……
新子友花は、勇気を振り絞って言う。
「…………そ……そうそう神殿愛なんか、あたしが私欲で、聖人ジャンヌ・ダルクさまに毎日毎日祈っているとかなんとか……」
「私欲で……? そうなのか新子友花よ……」
「いいえ、いいえ! 神に誓ってそんなことありませんってば」
新子友花は、物凄い速さで顔を左右に振って否定する。
(君ねぇ……。神に向かって思いっきりウソついてるよね?)
「あたしは、決してそんな気持ちでは祈っていません」
「……そうか、それは勇ましいぞ。新子友花よ……」
表情一つ、身体も微動だにせず。ジャンヌ・ダルクは言った。
……でも、その内心はというと、『お前はウソが下手だな……』って。
(そりゃそうだ。神様は何でもお見通しなんだから……)
「大体、愛が……あたしが愛に、あたしの兄の病気のことなんて言ったから……。あたしが言ったから…………」
しかし、新子友花のMPは足りなかった……。
卑しくも、神殿愛に責任転嫁しようとした新子友花だったのだけれど、兄の病気――脳梗塞の話をラノベ部員に語ったのは、他ならぬ自分であった。
……これじゃあ、脳梗塞で入院している兄のせいに、最終的になってしまうんじゃ?
それは筋違いだ――新子友花は自分の間違いに気付き、素直にそう思ったのである。
新子友花は俯いてしまった――
ステンドグラスから差し込んでくる7色に輝いた光、美しかった。
光の中へと包み込むように新子友花を照らし、聖人ジャンヌ・ダルクさまの像と――実体化して彼女の前に姿を見せたジャンヌ・ダルクを輝かせている。
下校時刻ギリギリの教会内には、シスターも神父もいない。
とても静かだから、一層神秘的であった……。
「では……東雲夕美はどうなのだ?」
ジャンヌ・ダルクは俯いた新子友花に対して、それでも話し掛けた。
新子友花は俯いたままで、
「あ……あいつは……。夕美は、ただの……」
「ただの……なんだ? 新子友花よ……」
ジャンヌ・ダルクは、勿論、表情を変えずに冷徹に聞いてくる。
「……そ、そ、そうだ!」
新子友花、オアシスで水を得た旅人のように(こんな慣用句ありませんから)、俯いていた顔をグイっと上げ、ジャンヌ・ダルクを見上げた。
ちなみに、新子友花の視線は――目前にいらっしゃる神への尊崇の念が表れている。
「聖人ジャンヌ・ダルクさま……。東雲夕美は、あたしの幼馴染みで……」
「新子友花よ。それは承知している」
神様はね、なんでも知っているんだって。
「ゆ……、夕美は、いつもいつも、あたしのことをからかって。…………それをなんか楽しんで、……んもー!! なんか腹が立つ!!」
跪いて胸前で両手を組んでいた新子友花であったが、感極まってのだろうか?
急にスッと立ち上がって、両手は肩幅のまま真下へと、その手はグーの拳で下げて、んでもって――
「んもー!!」
と叫んだのであった。これ、彼女の癖ですから……聖人ジャンヌ・ダルクさま、どうかご容赦を。
「夕美って!! あたしと勇太が……その、つ…………」
ポーズはそのままで、新子友花は話し続けた。
「その? つ…………?? つ…………??」
像に腰掛けていたジャンヌ・ダルクは、身体を前屈みになって、目下に立っている新子友花へ。
「その、つ……つ……。新子友花よ、何を言おうとしたいんだ? 分らんぞ??」
なんか……ここだけはグイグイと攻めますね?
「……その」
教会の床に向けて、まっすぐに下ろしていたグーの拳。
その両手の力を緩めて、新子友花は、今度は胸の前で両手の人差し指をツンツンと突き合せたり離したり。
「……付き合っているの? とか、いないとか…………」
「……付き合っている? いない?」
ジャンヌ・ダルクは、ぶら~んとしていた両足を前後にバタバタと動かした。
「ん! んにゃ!! あ、あたし……何を言ってんだ??」
新子友花は、ツンツンを続けながら一気に頬を赤らめた。
――RPGで例えるならば、森のキノコ系のモンスターと戦闘モードに突入!
身構える前に、そいつが怪しい霧を吹き掛けられて――パニック状態! 頭が混乱しているのだ。
「せ……せ……、聖人ジャンヌ・ダルクさま~!!」
新子友花の頬は、更に赤らめた……。
教室でも、部活でも、忍海勇太と気さくに会話しているから――二人を客観的にみると、そりゃ付き合っているように見えるからね。
「ち、ちち違うんです! 違いますからってば! あ……あたしは、神に誓って!」
その混乱に、更に猛烈な恥ずかしさも加わってか? まるでコントロール不能のバーサーカー状態の新子友花。
居ても立っても居られないのか――清廉なる教会の中央で地団駄を踏む。
「神に誓って! 新子友花と忍海勇太は……決して……。決して、これからは……」
(今まさに、神と向き合っているんだって……)
「永遠に愛します……とな?」
聖人ジャンヌ・ダルクさま、痛恨の一撃!!
「に……にゃにゃ~ん! んて!! んてさ!! ……に…ニャンんてさっ! ジャンヌちゃんって!!」
新子友花のバーサーカー状態は、お姿を現してくれた聖人ジャンヌ・ダルクさまに対して、あたしの友達! みたいな恐れ多い問題発言を吐いてしまった。
「愛してません! 愛してません! 愛してませんってば!!」
新子友花は両手をナイナイ、同じく顔を左右にフリフリして。
そんなこと絶対にありません! ……という感じで全否定し続けた。
「……本当に愛してません。……で、いいんだな? 新子友花よ」
ジャンヌ・ダルクはバタバタ前後に動かしていた両足をピタッと止めた。
そして、ずっと泳ぎまくっている新子友花の眼を見つめて、落ち着いた口調でそう尋ねたのだった。
「……………」
その視線に気が付いたのか、それとも神成せる御業なのか?
新子友花はジャンヌ・ダルクと目を合わせた。
すると、バーサーカー状態がすっと収まっていき――彼女は落ち着きを取り戻した。
「聖人ジャンヌ・ダルクさま。……あたし」
また俯く、新子友花だ。
――ジャンヌ・ダルクは落ち着きを取り戻した新子友花に、神として究極の、新子友花にとっての究極の解答を与えようと思った。
「新子友花よ、よく聞きなさい」
像の座り続けたままで、ジャンヌ・ダルクは言う。
「ラノベ部の部員……忍海勇太、神殿愛、東雲夕美の言葉をしっかりと思い出しなさい」
お前は頑張りすぎだ……
友花は聖人ジャンヌ・ダルクさまじゃないじゃん!
東雲夕美は……夕美は……なんだっけ?
「聖人ジャンヌ・ダルクさま?……」
ゆっくりと顔を上げた。
「……新子友花よ。お前は覚えているか? 部室で語った兄の病気のエピソードを……」
「……はい。あたしが語った話ですから――」
――ステンドグラスから差し込んでくる7色の西日。
それは、まだ新子友花と聖人ジャンヌ・ダルクさまの像と、実体化したジャンヌ・ダルクを照らしている。
日は大分山裾まで傾いているのに、それでも、かなり眩しい。
「新子友花よ、お前はこう言った。頑張れば兄の病気は治るのか? 心配すれば兄の病気は治るのか? それに対して、忍海勇太は何て言った? 真面目な話をすれば病気は治るのか?」
ジャンヌ・ダルクは見ていたのだろう……。
ラノベ部の部室で、新子友花がみんなに語った兄の脳梗塞の話を。
「はい……そうです」
新子友花の脳裏に、ラノベ部で泣きながら語ったそのエピソードが蘇る。
なんとなく――もう思い出したくなかった。
だって、みんなに自分が真面目に語って、逆にみんなを不安がらせたからである。
ラノベ部員には、自分の兄の病気はまったく関係ないのだから……。
自分が語ったエピソードのために、みんなを不安がらせたということを、ひそかに新子友花は申し訳なく感じていた。
「新子友花よ。結局、病気というものは、自分でしか治せないのだよ。他の人が何を語っても、その人の病気は治せないのだよ」
ジャンヌ・ダルクは話を続けた。
その話は、兄が今も入院している最中の新子友花にとっては、とても耳の痛い内容だ。
でも、神は――時として迷える子羊に、試練を与え真実を教えるものだと思う。
「聖人ジャンヌ・ダルクさ……」
少し、声を詰まらせる新子友花。
「……そ、そうですよね。聖人ジャンヌ・ダルクさま。他人が頑張れば、心配すれば、真面目な話をすれば……。結局、何を言ってもこんな言葉、はっきり言って無関係ですよね?」
(あ、あたし、なに自分一人で勘違いして、無意味に怒っているんだろ?)
新子友花が、ジャンヌ・ダルクの目をしっかり見つめ返す。
ちょっと目が……ウルウルっとしてきた――
続く
この物語は、ジャンヌ・ダルクのエピソードを参考にしたフィクションです。
また、[ ]の内容は引用です。
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