珍しく三人称で書かれたこの物語。
初めはただの恋愛かと読み進めて行くうちに、文章の中にちりばめられた不穏な言葉に気付き始める事になると思います。気が付いた時には主人公の応援をしていて、ヒロインであろう伊藤の事がどうしても素直に見られなくなっていました。失意と後悔の只中にある主人公と、これからの輝きが保証されている対比がこれ以上ない位に表現されています。
その途中でいかにして主人公が過去と向き合う気持ちとなるのか。
その辺りの描写は本当に見事です。絶対必見の価値ありです。
また主人公の過去に何があったのか、驚く事にその言葉は最終話一個手前の時点でも明確にはされていません。それでも、散りばめられた文章から、答えは探し出せます。それほどに構成もしっかりした文章です。
ライトノベルではないので読みにくいかもしれませんが、それ以上にしっかりと書かれた内容の小説。皆さんも是非目を通してもらえたらなと思わずにはいられない作品です!