第7話 必殺のカウンターパンチ
空き地の上空で
「ちょっと待ってて」
――
「柴田さん」
「なに?」
「今から魔法を撃つから、光が消えたら上から思いっきり地面に向けて蹴り飛ばしてやって」
「本当に、やれるの……?」
「私を信じて」
「……分かった」
「いくよ、ピュアラ――」
撃とうとした瞬間、
「くそ!」
慌てて軌道修正すると、今度は上へと逃げる。
「これじゃ当てられない……!」
巨大化したくせに機敏な動きとか卑怯すぎるだろ! ていうかお前の仲間さっきそんな動きしてなかっただろうが!
そんな追いかけっこを何度かしていると、あることに気付いた。
「もしかして……」
「新人さん、そのまま牽制してて」
「え?」
「私があいつの近くへ行って、魔法で動きを止める」
「でも、それじゃ私の魔法から逃げられないんじゃ……」
「こう見えても私、魔法少女よ?
「分かった。じゃあこうしよう――」
作戦を伝えると、柴田は「オッケー、じゃあ行くわね!」と、
「お前はこっちだよ!」
再び魔法の杖を構える。ピュアラファイを撃つ素振りを見せると、やはり移動する。しかもその動きには規則性があった。なぜか時計回りに四角形を描くように回避し続ける。
「よし、そろそろだな」
柴田が位置についたのを確認して、今度は本当に魔法を撃つ準備を始める。
「
魔法の杖を
「少し手加減して、広範囲に拡散させれば……」
俺の魔法で浄化させてしまったら意味がない。柴田にとどめを刺してもらうためにも、ある程度弱らせる必要がある。
「今よ!」
「よし、ピュアラファイ!」
真っ白な光線が巨大化した
「やべ、範囲広すぎたかな……」
「やった!」
フラフラしながら戻ってきた柴田は、なぜか死にそうな顔をしていた。
「はぁ、はぁ、……あなたね、私を殺す気!?」
「え?」
「え? じゃないわよ! なによあの大砲みたいな
「あはは……ごめんね、逃さないように念のため拡散させたんだけど、大きすぎちゃったみたいで」
「あんなの見たことないわよ! あなた本当に新人!?」
「あ、はい……一応、一週間くらい前に魔法少女になりました……」
「はぁ……信じられない。しかもさっき4体を浄化したあとでしょう? よく考えたらあの時もすごい威力だったし。とんでもない魔力量ね……」
「そうなの?」
「あんな威力の
「そういえば、赤い子――
「まあ、あの人はコンバットに極振りしてるからだけど、普通は4体を浄化した時の半分くらいよ」
「そうなんだ……。ところで浄化できた? ポイントは?」
「それがまだ……」
「まさか――!」
下を見ると、
「消えた!?」
くそ、失敗したか! なんてこった……もうタイムリミットが近づいているっていうのに!
「グケケケェ〜!」
気付くといつの間にか、柴田の背後を取っていた。特大のパンチが柴田を襲う。
「柴田さん!」
「もう時間が無いって言ってるのに……」
「グケケェ!?」
「いい加減にしてよおおおおお!!」
魂の叫びと共に、ドゴォン! と重い音を響かせて柴田のカウンターパンチが入った。
「グケ……ケ……」
「……お、お見事」
どうやら、柴田は立ち回りがめちゃくちゃ下手なだけで、一撃の重さはハンパないようだ……。
《魔物を浄化しました。300MPがチャージされます》
「300!?」
巨大化するとそんなに美味しいことになるのか……まあその分、倒すのに苦労したけど。
もしかして、葉道歩夢はこれを利用したのか? でもそんなに都合良く巨大化したやつを見つけて倒せるのか? あるいはゼノークスとか大型Aランクの巨大化で一気に1000MPとかは……さすがにないか。
「とにかく良かったね、間に合って――!?」
「ありがとう! 本当にありがとう! 私もう本当にどうしようかと思って……あれ? どうしたの?」
急に抱きつかれて、俺の脳内コンピュータはフリーズした。
いくら魔法少女に変身しているとはいえ、発育の良い年頃の女の子に抱きつかれるのは、年齢イコール彼女いない歴の童貞には刺激が強すぎた。
なんとか
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます