アルマSide
私は小さな頃から魔力が高く、特待生として学校に通うことができたおかげで自分の実力をさらに伸ばすことができた。
そして私は容姿にも優れていたようで、多くの男性から声をかけられた。だけど男女の付き合いには興味がなかったので全てを断っていたのだけど、なぜか女性陣から嫉妬されて私はいつも一人だった。でも気にならなかった。一人の方が気楽だったからだ。
学校を卒業すると、特待生が選べるのは国に仕えるか冒険者の2択だけだったため、わたしは冒険者を選ぶことにした。
冒険者になったのはいいんだけど、やっぱり男性と一緒に行動するのは怖くて女性のみまたは女性の多いパーティーに入れてもらった。だけど、しばらくはうまくいっていても他の女性に嫉妬されてパーティーからはずれることになった。
私が人付き合いをあまり得意としていないこともあるのだろう。普通の会話は問題ないのだが、かなり慣れるまで感情をうまく伝えることができないのだ。この性格は小さな頃から変わらなかった。
それなら一人でいいやと思いソロで戦うことにした。一人でも攻撃魔法を駆使することで魔物は順調に狩っていくことができた。一人なので収入が増えるのはよかったのだけど、その分低ランクの魔獣を狩ることや薬関係はそろえないといけないので稼ぎはそれほど多くはなかった。それでも冒険者になって5年で上階位になり、もう少しで良階位になるというかなりのペースで階位をあげていった。
油断していたんだろう。魔法を放とうとしたところで横から攻撃を受けて至近距離で爆発させてしまったのだ。幸い襲ってきた魔物はその爆発で倒すことはできたのだけど、左手の手首から先がなくなり、顔も焼けただれてしまった。
治療薬を飲んでなんとか教会に行ってみたが、残念ながら簡単な治療しかできなくて顔に大きな跡が残ってしまった。ちょっと前に無理して装備を更新したのに今回の事故でダメになったのも痛かった。まあその装備のおかげでこのくらいの怪我で済んだのだけどね。
私の顔を見た他の人は私を避けて近寄ってこない。今までよくしてくれていた人たちは私が誰かわからないせいもあり近寄っても来なくなった。ああ、そうか。皆この容姿だけを見ていたのか。
一人で魔物を倒そうにも詠唱に時間がかかり無理だった。家に戻ろうかとも考えたが、すでに両親はなくなっているので戻る場所もなくなっていた。弟に迷惑をかけるわけにもいかなかったので、弟のところに行くわけにも行かなかった。結局お金もなくなり、私は奴隷に落ちるしかなかった。
ただ奴隷と言っても買い手がつくのかわからないと言われた。体は綺麗なままだったので最後は下の世話だけの奴隷として使い潰されるかもしれない。名前を言えば治療をしてくれる人もいるかもしれないので最後はそれに望みをかけることにした。
奴隷に落ちてすぐに冒険者としての勧誘の話があった。前に何度か見かけたことのある男性だった。仮面を取ったわたしの顔をみて一瞬顔をしかめたが、なぜか買い取ってくれたうえ、すぐに顔の治療をしてくれた。
治療をした顔を見てかなり驚いていた。私とはわかっていなかったのにかわいそうと思っただけで治療をしてくれたの?一緒にいた女性も私のことは知っていたようだった。
奴隷として雇われたのに、彼は普通のパーティーメンバーとして扱ってくれた。宿もミランダと同室だが、ちゃんと女性として扱ってくれた。
2ヶ月くらい経ったところで手の治療までしてくれた。このときになぜここまで稼ぐことができるのかを聞いて驚いた。いずれ奴隷からも解放できると言われたんだが、クルトの奴隷のままでいいというと怒られてしまった。でもほんとにそう思っているのだから。
ミランダは私を妹のようにかわいがってくれた。いままでこんな感じで接してくれる人がいなかったのでつい甘えてしまったが、ミランダもうれしそうにしていたので私もうれしくなった。
「アルマ、もしよかったらお姉ちゃんって呼んでくれない?」
末っ子だったのでずっとお姉ちゃんに憧れていたらしい。私も弟しかいなくて甘えられなかったこともあり、うれしくて呼ぶことにした。
「ミラ姉、今後もよろしくね。」
そういうと私を抱きしめてきたんだが、抱きしめられると、なぜか体の中が温かくなった。いままで親からもあまり抱きしめられたことがなかったことを思い出した。魔力が高いことから恐れられていたのだろうか?
学校でも他の生徒はあまり近寄ってこなかった。パーティーでも戦力としては期待されるが、あまり話かけられることはなかった。しかも最後は彼氏を奪ったとか、色目を使って誘惑しないでと言いがかりをつけられることしかなかった。
クルトもミラ姉もちゃんと私を理解してくれた。話すのが苦手だけど最後まで話を聞いてくれた。二人のことが大好きになっていった。そう思うと自然に話もできるようになり、表情も出せるようになった。
このあとさらにパーティーにラミアが加入してから町を移動し、順調に狩りを進めていた。その頃になるともう今のメンバーじゃないとだめなくらい依存していたように思う。このままずっと一緒に入れたらいいのにと思うけど、こういう関係が危ういことはわかっていた。
ラミアからクルトのことが好きになってしまったという話を聞かされたとき、ついにこのときが来てしまったのかと思ってしまった。今までもパーティーで同じようなことがあり、告白をすると、私のことが好きだと言われてパーティーはボロボロになってしまったのだ。
だけど私も気持ちも抑えられなくて、正直に自分の気持ちを二人に打ち明けた。ミランダも同じだったみたいだった。ああ・・・これで終わってしまうのか?と思ったけど、恨みっこなしで付き合うことになった人を祝福しようという話になった。
その結果パーティーが解散になってしまう可能性は否定できないけど、このままでは結局どうしようもないことは皆わかっていたのだ。誰が選ばれても祝福しようと言ってもやっぱりわだかまりが残ってしまうだろう・・・。
クルトに付き合うなら誰と付き合うのかと聞いたところ3人とも好きで誰かを選べない。ほんとにごめんと謝られた。結局3人で納得して3人で付き合うことにした。クルトは驚いていたけど、うれしそうにしていた。
結局このあと私たちはクルトから平等に愛された。私だけを特別扱いしてほしいという気持ちも少しはあったのだけど、3人を平等に愛してくれるのがそれ以上にうれしかった。
ミランダとラミアとは今までいなかった親友になれたと思う。ミランダはお姉ちゃんだけどね。今まで嫉妬の対象としてみられることが多かったので初めてできた信頼できる人たちだ。
怪我をしてどん底に落ちてしまったけど、結果的にはよかったのかもしれない。ミラ姉が妊娠してまもなく子供が生まれる。私たち3人の子供だ。いずれ私も子供を授かりたいけど、だめでも皆の子供がいるんだから大丈夫だ。
こんなに幸せになっていいのかな?
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