いつまでも、女でいたいと思う心理



 私の母は、若い時、美人だったらしい。


と姉は言う。


私はそんな風に母を思った事がないが、母は私の父親と結婚する前、関東でホステスをしていた。


 信じられないけれど、一度だけ見た事がある姉のアルバムで見た母は沢山のドレスを着て、ダイアナカットというのだろうか。ふんわりとしたヘアがとても似合っていた。蝶というかバタフライというか。


 バブルの時代ならではの華やかさだった。


 そんな母を、姉は、「母は母じゃなかった『女』だった。娘の私なんて放置されてた。」などと言うのだ。


 母が父と恋をしなければ私は生まれなかったわけで、(母が姉を連れて父と再婚して私が産まれました)子どもがいるのに恋愛する女性ってどうなんだろう・・・と私は母を軽蔑していた事もあった。子どもの事を忘れて男の人と出かけるなんて・・・。考えられなかった。


 でも、なんとなく。


 姉には悪いけれど、母親になっても、女でいたい気持ちが最近分かる気がしてきた。


旦那も、可愛い子供達もいるけれど。


 女になりたい・・・という気持ちがとてもよく分かる。


 綺麗になりたい、というか、昔、女として求められていた時代がとても恋しいのだ。


 独身な時は、オシャレするほど、着飾るほど、付き合っていた男性は喜んでくれた。出会いが多い時は一か月に5人もの男性から誘われる事もあった。


 付き合ってない人とセックスをしたのは一回だけだけど。


 食事だけなら結構、色んな男性と行ったと思う。


 でも20歳のあの頃みたいに。


キスして、抱きしめられて。時には少女漫画みたいに。激しく、求められてみたい・・。


 母じゃなくて、女性として求められたいなぁ・・・と思う。


  セックスレスで浮気する気持ちってこんな気持ちなんだろうか。


  あぶない、アブナイ。



  近々、旦那をまたデートに誘ってみようと思う。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る