好きな音楽の思い出

 

 昔。



20歳の頃、当時片思いしていた相手が、カラオケで歌っているのを聞いて、HYというアーティストを好きになった。


とくに、AM11時という歌がとても良い。


耳に心地いいのに、歌詞が切ないのが尚更いい。


「この世界が闇に、染まる前に、この想いを。」


の部分が私はとても、気に入っていて、当時、暇を見つけたり、その人に、カラオケで歌ってもらったりしては、この部分をよく考えていた。


「この世界が闇に」というのは、どういう意味なんだろう。一番始めに、「死」という言葉を思い浮かべた。または、「世界の終わりが来る」?!とも考えた。まさか。


 この歌詞には続きがあり、「いつまでも二人で歩いていこう。なんて、言えるはずない、でも君が好き。」


という部分も気になった。先ほどの「死」を思わせる内容と繋がっているような気がした。


死を目の前にしたその時。


好きな人に、「いつまでも二人で歩いていこう」


なんて、言えないかもしれない。でも、「君が好き」


 そこまで考えた時。私は胸がきゅーっとなってしまった。


 私も。私は当時、好きだった人の隣で、カラオケで、この歌詞をずっと見ていた。


 この人と。一緒に居ると、楽しかった。


 だけど、いつか。


 この想いは、この人の重荷になる。想いを伝えても。私の気持ちを受け止めてくれなかったこの人の負担に。


 だから。「いつまでも、二人で歩いていこう」なんて、私はこの人に言えない。


 でも、私は君が好き。そんな健気な時代が、私にもあったなぁ。


  この歌の内容と、私の状況は、全然違うけれど。


でも、それでも曲と歌詞で心を動かすのだから音楽ってプロって凄い。


 好きな人の横で、聞いていた思い出である。 そして、私は今日も午前中はAM11時を聴きながら家事をする。


 

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