堀口一史座八段の光芒
NHK杯準優勝。新人王戦準優勝。朝日オープン将棋選手権初代チャンピオン。順位戦ではB級1組にまで昇級。これは誰か。
堀口一史座八段である。
A級棋士になっても、タイトルを獲得しても驚かれないほどの実績だったと思う。突然の大長考。名前の由来がシーザー。将棋は本格派。
私は堀口の将棋を見るのが好きだった。
そんな堀口は体調を悪くしたようで、休場した。復帰後はなかなか勝てず、時間を使わずあっという間に負ける将棋も多くなった。
もう、あの光は見られないのか。
フリークラスとなり、対局自体が減った。棋譜自体の生み出される数が、減ってしまったのだ。
そんな中、先日堀口は伊藤匠七段と対戦した。タイトル挑戦も果たした、バリバリの期待の若手である。いつものように序盤から飛ばし、あっという間に堀口の形勢は悪くなってしまった。
伊藤が快調に攻めているようだったが、終盤になり少し攻めあぐねてしまったのだろうか。いや、私にはそんなことは気づく力がないのだが、将棋ソフトは互角になったことを示していた。馬、龍、飛車が効いており、必死に受け続ければ相手の攻めが切れる展開もあったということだろうか。
だが、堀口は互角に戻った瞬間投了してしまった。
相手が緩んだ瞬間に投了という、不思議な棋譜が出来上がった。
形勢が悪いままと思っていたようだが、受け続けるには体力が心配だったのかもしれない。ただ、期待の若手相手に「互角に戻る」と言うのは、絶不調の時の堀口にはなかなかみられなかった展開だと感じた。彼の中の光は、まだ漏れ出るときがあるのではないか。
若手時代の堀口がここから指し継げば、大長考の末逆転できたかもしれない。そんな妄想をした。
このまま少しでも体調が戻れば、まだまだ堀口には素晴らしい棋譜を残す力があるはずである。
私は、堀口一史座から出る光芒を待つ。
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