中継局の評価値が気になったので調べてみた
最近、将棋連盟モバイルに評価値機能が追加されました。将棋ソフトが対局者の盤面における勝率を示してくれるというものです。これを見ていると、思った以上に評価値が揺れ動いていました。そして、数字しかわからないため何が悪かったのか、何をさせばよかったのかが分からずに困惑してしまいます。
そこで気になったのが、この評価値がどれぐらい正確なのか、ひょっとして逆転しまくっていて、勝率70%とか信用できないのではないかと思い、ここ一週間の棋譜について調べてみました。
ちなみにここ一週間のモバイル中継局は27局。統計的には圧倒的に数が少ないので、あくまでちょっとした参考程度のものです。
調査方法
・評価値60%以上を優勢とし、優勢の側が40%未満になったら逆転とカウントする。
最初は55%にしていたのですが、意外と序盤の普通の駒組段階で55%は行くんですよね。これで調べると無茶苦茶逆転回数が多くなりますが、ちょっと違う感じがしたので60%にしてみました。根気のある人は55%でも調べてみてください……
調べた結果、こんな感じになりました。
調査対象 2月20日~2月26日に将棋連盟モバイルで中継された27局
・逆転局数 11局(40.7%)
なんとですね、評価値60%になった側は勝率59.3%という結果になりました。サンプルが少ないのにこの数値はびっくり。果たしてサンプルが増えると60%に収束していくのでしょうか?
・逆転回数 22回
1対局の中で複数回逆転することがあるので、こんな結果になりました。1局における平均逆転回数は0.81回。期待値的には、棋譜を見ていれば八割逆転が起こることになりますがこれはサンプルによって大きく変わりそうです。
調査した中で逆転回数が一番多かったのが飯塚七段対山本博四段の5回。対振り飛車の急戦なので、何となく納得です。他にも佐藤和七段対久保九段と狩山四段対畠山鎮八段が4回。桐山九段と伊奈七段が2回。引退のかかった桐山九段、ずいぶんと惜しい将棋でした。
・最高逆転評価値 99%
これは、負けた側の最大評価値です。佐藤和七段対久保九段において、佐藤七段はほぼ勝ちの局面になりましたが、明確な寄せを逃してだんだん寄りが戻ってきます。ソフト的には必勝なのかもしれませんが、入玉をいかに防ぐかという展開で人間には難しい局面に見えました。理論上ここからの逆転はめったに起きないはずですが、次の「99%から逆転」はいつ訪れるでしょうか。
・平均逆転評価値 67.5%
60%を越えて負けた側の平均的な最大評価値です。これはまあ60%と言うのが恣意的な数字なので参考程度に。
ちなみに逆転した将棋のうち、負けた方の最大評価値が60%台だったのは45.5%。対局数で言えば、11局中6局は70%を越えています。プロでもこのぐらいの評価値から逆転するのは結構あると言えますね。
ちなみに何局かは、不利になった側が50%を越えるぐらいまで戻していました。有利にならずとも互角まで戻したものを数えると、もっと「形勢は揺れ動いている」ことが可視化できるかもしれないですね。(疲れたのでそこまでしませんでした)
いずれ誰かが一年分ぐらいの対局を調べてくれるのではないかと期待して、今回の調査報告はここまでといたします。
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