関西将棋会館の思い出

 先日行われた将棋連盟の臨時総会で、関西将棋会館の移転が決定した。なんと、高槻市に移るという。

 現在関西将棋会館は、大阪の福島というところにある。大阪駅から環状線で一駅の場所である。私は大阪の高校に通っていたこともあり、何度か将棋会館に行く機会があった。最初は、土曜日に部活の先輩が突然「行こうか」と言ったのがきっかけだった。道場にも行ったことがない私は、多くの人々が同時に対局する様子に驚いた。そして、私も10級から始めることに。、駒落ち定跡を全く知らなかったうえに、「香落ち」は両方の香車を落とすことだと思っていた。上手になった時は、仕方がないので香車のいない矢倉に組んだりしていた。当然端攻めをされるとひどいことになる。

 学校は環状線の外側、南の方にあった。普段買い物に行くのは天王寺、ちょっと気合を入れて難波というのが常だった。同じ大阪でも、梅田の方に行くときは特別な気分になった。そして、せっかく近くまで来たのだから将棋会館まで行くか、と梅田から福島まで歩いていった。何回か通い、7級まで上がった。部活以外で認定された段級位は生涯でこれだけである。

 高校の府大会が会館で行われたこともあった。道場で予選を行い、勝ちあがるとトーナメント。和室対局だった。そこで私は優勝候補と当たり、惜しくもなく敗北。当時の実力からしたら当然だ。それでも和室で対局できたこと、強い人と指せたことが良い思い出になっている。

 関西を離れて、当然ながらなかなか会館を訪れる機会がなくなった。今思うと支部団体戦のついでに行くことなどもできたはずだが、「せっかくだから」と私が行ったのは海遊館だった。「まあ、行こうと思えばいつでも行けるし」と将棋会館の優先順位が下がっていたのである。

 将棋部の顧問は、「会館作るときは僕も寄付したんだよ」と言っていた。当時は「大人はすごいなあ」と思っていたが、今は私も大人である。寄付が募られるかはわからないが、何らかのお金は使えるよう貯めておかねばなるまい。新しい関西将棋会館ができれば、ぜひ足を運んでみたい。

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