ちょっとだけ派手な洋服

ぼくはそらちゃんがだいすき。


だいすきなそらちゃんは、ぼくの住むお家から出て行った。


お父さんとお母さんはぼくと一緒に居るけれど、そらちゃんだけ出て行った。


ぼくは「行かないで」ってたくさん泣いたけど、そらちゃんは「夏休みと冬休みと春休みはちゃんと帰ってくるからね」って言って、ぼくをぎゅーっと抱きしめてから、たくさんの荷物を抱えて出て行った。


毎日会えなくなっても、ぼくはいつもそらちゃんのことを考えている。


そらちゃんが座っていたソファに座って、そらちゃんが眠っていた部屋で眠る。


たったそれだけで、たくさんのそらちゃんを感じられるんだ。


それに、寂しくなんてない。


だってそらちゃんは帰ってきたときに、ぼくとたくさん遊んでくれるから。


お散歩だってお風呂だってご飯だって、毎日一緒に居たときよりもしてくれるようになった。


……そらちゃんの格好が、ちょっとだけ派手な洋服になってしまったのは残念だけれど。


「おいで、一緒に寝よう」ってベッドに入れてくれるから、ぼくはそらちゃんのことがだいすき。

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