第45話 防府から広がる復興計画
「勇気、お帰り。少しだけ心配したぞ」
「父さん、心配かけてごめんな」
俺は、防府基地でまた穀物や野菜を補充した後に、東指令に呼ばれたので、美里さんと一緒に顔を出した。
「勇気君。今回の事はありがとう。立場上私では勇気君のような行動は出来なかったから、ここだけの話、胸がスカッとしたよ。どうした? 口を半開きにさせて」
「あ。いや。まさか東指令がそんな事言うなんて思って無かったから……」
「私だって、普通の人間だよ。ただ立場が邪魔をして口にしたい事を口に出来ない事は多いけどね。勇気君の若さが本当に羨ましいよ」
「何か……その、ありがとうございます」
「お礼を言うのはこっちの方だよ。そう言えばね。あの時市議会議員の先生方に扇動されるようにして出て行った方々の7割は、その日のうちに戻って来られたよ。随分反省されている様で、今は凄く積極的に作業にも協力してくれいる。他の方も結局ここの外で結界無しで生活して行くには、モンスターを倒さずに生きて行ける訳も無いので、翌日以降に尻尾をはやして戻って来られた方も結構な数が居るよ」
「あ、そうなんですね。ちょっと安心しました。前に言っていた女性隊員の方達は決意が変わらないようでしたら、明日にでも、博多ダンジョンに行こうと思いますがどうでしょうか?」
「そうか、本人達に伝えておこう、朝の9時頃でいいかな?」
「はい。構いません」
そうして俺は、美里さんと、一緒にみんなの所へ戻ったんだけど、帰り際にも美里さんに声を掛けられた。
「ね! 結構みんな思う事は同じなんだよ。ただ大人になると色々な立場やしがらみがあって、思うように行動しにくいってだけでね」
「なんか、本当に俺、ガキでゴメンなさいって感じです」
「実際まだまだ16歳は子供なんだからいいんじゃない? 剥けて無いんだし」
「そこはあんまり関係ないと思いますけど……」
翌朝は、みんな揃って博多へ転移で向かった。
愛美さんの身体に10人で掴まるのは無理があったから、2往復して貰ったけどね。
今回俺達に同行する女性自衛官は。
新藤樹里 三曹
相川美穂 三曹
冬月美咲 二曹
の三人だ。
3人とも女子大生みたいな見た目だよ。
まず俺はミコに頼んで魔物の発生割合を変えて貰った。
なんでも作れるトランスフォームプラントは俺だけが、使える形態みたいで、指定はできなかった。
残念……
それでも丁度3人いるし、ベジタブルとフルーツとグレーンを各一体発生するようにして、キノコも発生させて貰った。
不動スキルを入れ替えなきゃいけないからね。
一層のキノコの倒さないように素早く通り抜ける。
樹里さんが、キノコの睡眠胞子吸い込んで寝ちゃったけど抱えて2層まで運び込んでから回復させたよ。
睡眠状態の解除は物理攻撃を受けた場合に確率で起床判定があるみたいで、しょうが無いから、美穂さんに起きるまでお尻を叩いて貰う事にした。
俺や里香が叩くと普通にヤバいしね……
さて、目的の2層には到着したけど、問題はこのトランスフォームベジタブルたちは、☆5ランクの敵でとっても強いって事だ。
時速200㎞を超える速度で野菜や果物をバンバン投げて来るから、まともにはまず近寄れない。
それでも倒して貰わないといけないから、俺達が考えた作戦は美里さんに持って来て貰った火炎放射器だ。
俺が瀕死まで弱めた後に、里香のオリハルコンシールドに隠れながら近づいて貰って、火炎放射器で止めを刺すって感じだね。
取り敢えずやって見たら、☆5のトランスフォームベジタブルに普通の火は通用しなかった……
「全然効果ないな。どうしよう」
「高レベルの魔物だから、魔素とか魔法的な要素が付与されて無いと、厳しそうだね」と愛美が言った。
「樹里さん達だと普通の人だから、遠距離攻撃じゃ無いとこいつらの攻撃が当たると即死確実だし、直接攻撃は難しいな」そう考えていると香奈さんが、「勇気君そんな時こそ百式の出番じゃ無いの?」って教えてくれた。
「あ、完全に忘れてた。香奈さんありがとう! リモコン操作できるし、一発攻撃当てるだけなら余裕かな」
俺が香奈さんにお礼を言うと、少しどや顔だった。
収納から百式を取り出しと、その金色の機体を始めて見る樹里さん達は感動してた。
コントローラーを使った操縦方法を教えて、それぞれに目的を果たして貰った。
やはり、不動スキルはパッシブ発動で、この種類のモンスターが持つトランスフォームは、好きな野菜が選べる。
好きな果物が選べる。
好きな穀物が選べる。
それだけの機能だったけど問題は無い。
生産能力をほぼ失った現代社会では大事な能力だと思うしね。
地に根を張った状態で立ってる樹里さん達に今度はキノコを倒して貰って、不動スキルを状態異常耐性Ⅰと入れ替えて貰った。
そうする事で、地に張っていた根は足に戻り、動けるようになった。
見た目的には髪型が、ベジタブルな樹里さんは緑色の髪に野菜がぶら下がってる。
イメージした野菜を髪の毛の先に育てる事が出来るみたいだ。
生産量に問題は在りそうだけど、ちゃんとイメージできればどんな野菜でも作れるみたいだ。
野菜を育てるための栄養分は根っこが無くなったけど、地面に手を付くか裸足で地面に立てば養分を吸収できるみたいだ。
今は、足が根っこに変化した時に制服のズボンや靴は破れてしまって、かろうじて下着は残ってたけど、結構ヤバい格好だ。
俺の大量な在庫の中から、ジーパンとスニーカーを出してあげた。
美穂さんは、髪がピンク色で髪の毛からフルーツが実る感じ。
美咲さんは、髪が黄金色のドレッドヘアでそこから穀物が溢れ出る感じで生産できるようだ。
大量に収穫しようと思えば、ここのダンジョンで敵を倒した方が早いかもしれないけど、俺の様に収納がある訳じゃないと、大量に持ち出す事は難しいので、トランスフォームプラント系の希望者を募る事が一番安定した食材提供に繋がるのかな?
それに☆5クラスに融合を果たしたこの3人の強さは結構期待できるかもね?
吸収Ⅴと剛速球は使えるから、結構強い気がする。
防府でもレッドウルフくらいなら、相手にならないんじゃないかな?
「勇気君ありがとう。これで私達も防府のみんなを守れるようになったよ。後ね私達が使った百式なんだけど、あれは基地の防衛の為に借りれないのかな?」
そう聞かれて、それもありかも? と思った。
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