第35話 博多④
2層の隠し部屋から、ギャリオンで出発した俺達は、ミコに跨ったままの状態で、
ビームサーベルも威力は十分だし、
俺は、ミコの上で落ちないようにバランスを取ってるだけでも十分な感じだった。
「ああああああああ、ヤバいです。どうしよう。私達死ぬかもって言うか死にたいです」
「何言ってるんだ? 奈沙、沙愛。いきなりどうしたんだ?」
「だってぇえ。ち〇こに進化しちゃったみたいなんです。あの姿で外を歩くなんて、知り合いに見られたら、マジ死にたいです。無理です」
「胞子人だったよな? この先まだ進化形態あるかも知れないから、取り敢えずはギャリオンで居る間は人に見られ無いし、我慢しろ」
「本当ですか? もしち〇このままでも捨てたりしませんか?」
「ねぇ奈沙ちゃん。他に女性の人で突撃茸に進化した人っていないの?」
「私は、出会った事無いですけど?」
「意外に、突撃茸の女の子バージョン可愛いかもしれないよ?」
「美里さん。本当ですか? 絶対ですか? 責任取れますか?」
「いや…… そこまで言われると自信は無いけど、後でリリースした時に確認してから対処方法を考えたら良いと思うよ?」
「あ、そう言えば私も進化形態から、他の種族のスキルに入れ替えた時に、額に生えてた角が取れたりしたし、結構大丈夫だと思うよ?」
「愛美さんそれはマジなんですね」
「う、うん」
「まぁち〇こだからって捨てたりはしないから、安心しろ」
3層には、隠し部屋も無かったので、4層へと向かった。
今までの情景と一変して、うっそうとした森の様なステージだった。
「やばいな、このただの森に見える情景だが、全部モンスターだ」
「「「えええ」」」
「まぁ精々☆4クラスしかこの階層では出ない筈だから、倒して行くしかない。愛美熱線を出して薙ぎ払え」
「了解」
この階層に居たのは、トレント☆3とチャッキーフラワー☆4でトレントは枝を振り回しての攻撃だけだが、チャッキーフラワーは状態異常を与えて来る。
加えて、葉の部分が包丁のような形をしていて、振り回すし、投げつけるし結構厄介な敵だ。
しかも、状態異常はキノコで手にする耐性では、対応できないランクの攻撃だ。
俺はパッシブで耐性があるし、ギャリオンの頭部で俺が存在する事で、俺のパッシブはギャリオンに有効という事も解った。
つまりは……
楽勝だな!
そして、愛美が膝から放出する熱線で薙ぎ払っていきがら、この階層で次の隠し部屋を見つけた。
「どうだ? ミコ」
「生命反応はあるのじゃが、妙じゃ。凄く遠く感じる」
「よし、突入するぞ」
俺がレバーを回して、隠し部屋に突入すると、内部には巨大な豆の木が伸びていて先端は雲の中へ隠れていた。
「流石ダンジョンだな、謎仕様だ。何でこの部屋には天井も見当たらないんだよ」
「根元を斬り倒したらいいんじゃないの?」
「美里さん。それはなんか違う感じがするよ?」
「じゃぁどうするの?」
「取り敢えず飛んで雲の上に出てみよう」
ギャリオンで一気に豆の木に沿って飛び上がって行くと、2000m程で雲の上へと突き抜けた。
「これは…… すげぇな」
「飛べない人たちは豆の木を登らないとここに来れないって事ですか?」
「香奈さんみたいな、虫系の人なら、上る事も不可能じゃ無いけど、キノコ系の人達は難しそうだね」
豆の木の先端は雲の中へ広がる街へと繋がっていた。
ここに住んでいるのは、ドワーフ達だった。
「ミコ、これはミコが言っていた武器の製作が出来る種族で間違いなさそうか?」
「恐らくそうなのじゃ」
「よし、行って見るか。ロボのままだとヤバいかな? 美里さん一回リリースしてくれ」
「え? 合体解除するの? 私達を羞恥心で殺してしまう?」
「沙愛、奈沙ちょっとだけ我慢してくれ、見た目がどうでも置いて行ったりはしないから」
「絶対だよ? 勇気君」
「ああ、大丈夫だ」
「
「あれ? 可愛いじゃん」
沙愛と奈沙の二人の姿は、こけしっぽかった。
別にいやらしくは無い…… 筈だ。
決して電動では無いし……
「うーん。地味だけど許容範囲かな?」
「良かったね奈沙」
「そだね沙愛」
そんな会話をしていると、小柄だけどやたらガッチリしたドワーフ達が集まって来た。
手に手にハンマーや斧を持っている。
美里さんが、叫んだ。
「私達は敵ではありません。武器は降ろしてください」
「お前たち、今、わしらの神機に乗って来たな?」
「神機? ギャリオン零式の事か?」
「そうだ、わしらの祖先が神話の時代に作り上げた最高傑作じゃ」
「そうなんだ…… 熊本ダンジョンでばらばらのパーツになってあったよ」
「なんと、火の国であったか」
「その神機、わしらに譲ってはもらえぬか? わしらの悲願は神話の時代の言い伝えギャリオンを超える機体を作り出す事なのじゃ。既に機体は出来上がっておるが、比較のしようがなかったから、これで良いのかが解らなかったんじゃ」
「え? 譲るのはちょっと無理だけど、性能を調べたいなら、この零式と作った機体を戦わせてみたらどうなの?」
「成程な、それで零式が壊れても責任は持てんぞ?」
「それで壊されるくらいなら、その新しい機体を手に入れた方が良さそうじゃん」
「わしらから物を手に入れるには、それ相応の報酬が必要だぞ?」
「え…… どんなのが良いのかな? お金なんか意味無さそうだし。オリハルコンとかアダマンタインとかでいいの?」
「魔法金属を持っておるのか、それなら少しは話を聞いてやらんでもない」
「ねぇ勇気君」
「香奈さんどうしたの?」
「ドワーフと言えばお酒じゃない? 在庫持ってるならお酒で釣れるかも?」
「あ、なんか良さそうだねそれ」
「おい、今、酒と聞こえたが、持っておるのか?」
「ああ、結構な量があるよ」
「もしわしらが負けら1年分の酒を持ってきたら、譲ってやる。わしらが勝てば100年分だ」
「それって、どっちにしても譲ってくれる気なの?」
「ああ、言い伝えにある。このドワーフの国に零式と共に訪れる人間と新たな神話は始まるとな」
「今までの神話って? 零式の話なの?」
「零式を作った祖先の、酒を飲む話だ」
「ぶれないね……」
「今のこの街では豆から作る酒しか無いから、他の酒を口にするのが夢だったんじゃ」
「お酒は別に譲るのは構わないけど、零式との勝負もするの?」
「当然じゃ、酒飲みとしても職人としても、わしらがご先祖様を超えた事を、証明する」
じゃぁ準備するね。
俺達は再びギャリオン零式とコンバインした。
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