第34話 博多③

 俺は、体力の回復した二人の女の子に状況を聞く事にした。

「どうやってここを見つけたの?」

「シイタケ頭が凄い嫌だったから、2層で髪型変えようって話になって、二人で来たんですけど、壁沿いにずっと歩いてたら、偶然入口のレバー触っちゃって、中に入ったら、サボテンに襲われたんです」


「そっか、まぁ間に合ってよかった。キノコの進化はキノコと戦うなら何とかなるけど、他のモンスターと戦うのは、実質無理があるからな」

「あの? みなさんは何でケモミミとかモフモフ尻尾とかの超かわいい感じなんですか? それにさっきのち〇こはあなたですか?」


「ち〇こって言うなよ。突撃茸って言う名前だ。それと俺の名前は勇気、君たちの名前は?」


「私達は奈沙なさ沙愛さらいって言います高1で双子の姉妹です。何でキノコに成ったり人の姿に戻ったりできるんですか?」


「ああ、一周廻っちゃったね…… これって運命?」

「何の話だ? 里香」


「勇気、名前しりとりだよ。私から始まって里香→香奈→奈沙→沙愛→愛美→美里で完成だよ。ギャリオンのパーツも全部埋まったし、きっとこれ以上は増えない筈だよね?」

「まだ本人達に何も聞いて無いし、勝手に仲間にするなよ?」


「あの? もしかして勇気君の仲間になったら、キノコ頭からモフモフに変身出来たりしますか?」

「いや……恐らくそれは無理だと思うけど、スキルの能力を入れ替えたら丸っきり無理だともいえないかな」


「そっかぁ。可能性はあるんですか?」

「まぁそうだな。君たちは家族は?」


「みんな…… やられちゃいました…… キノコに。私達は剣道部だったから、素振り用の木刀で何とか撃退して、キノコ人間になっちゃったんです」


 そこまで話をしたところで、美里さんが、「勇気君ちょっとだけ席外しててくれない? 私達で、沙愛ちゃんと奈沙ちゃんと話して見たいから」


 と言って来たので、大人は美里さんだけだし、任せる事にした。


 結局、一番の目標だった、ミコの知識レベル上げがまだ達成されて無いし、もう少し博多ダンジョンの攻略は続けなきゃいけないよなぁ。

 などと考えながら女性陣の話し合いを待っていた。


「勇気ぃ、ギャリオンのパーツ全部出してみて」

「ああいいぞ」


 話し合いが終ったようで、里香が声を掛けて来た。

 俺は収納からギャリオンのパーツを取り出して、その場に並べた。


「あのね、取り敢えず奈沙ちゃんと沙愛ちゃんは、一緒に来て貰う事になったのと、剣道やってたって事だから、ビームサーベルの使える右腕と左腕を二人に任せて、私が翼を担当する事になったけどいいかな?」

「二人はそれでいいのか?」


「今、お話を聞いたら、何だかそれが一番いい様な気がしたから、連れて行ってください。キノコに囲まれた生活は何だか嫌だし……」


「そうか、じゃぁ里香はまず翼にチェンジしてくれ。奈沙と沙愛は装着フィットってイメージしながらそれぞれ右腕と左腕にふれてくれ」

「「うん。いきなり呼び捨てされちゃったからドキっとしたよ。フィットだね」」


 流石双子っていうか、セリフが揃ってた。

 全員がそれぞれのパーツを装着フィッティングした所で、美里さんが合体コンバインと叫ぶと、すべてのパーツが次々と合体して行った。


 俺が起動スタートアップと指令を出すと、『現在合体状況100%、パフォーマンス効率Aランク』と脳裏に表示された。


「お、これなら実戦でも使えそうだな。ちょっと準備運動やるぞ」


 そう言いながら、ギャリオン零式でラジオ体操をやって見た。

 思ったより、動きはスムーズだな。


「愛美と香奈さんはジャンプの着地の時、少し衝撃緩和をイメージしてみてね」

「解ったよ勇気」


「里香ちょっと飛んでみるぞ」

「了解」


 俺は、軽くジャンプをしてみると、飛ぶ事をイメージした。

 ウイングから強烈なジェット噴射が発生して、かなりの機動力が出そうだ。

「里香翼の攻撃手段はあるのか?」

「うん、光属性の、羽を飛ばす攻撃が出来るよ。羽で弾幕みたいにしたら機雷みたいな使い方も出来るみたい光の羽ルミナスウイングって言うそのままの名前だよ」


「中々強力そうだな、各自の攻撃手段の発動は俺が指示出せないみたいだから、攻撃は、それぞれが意識して発動してくれよ?」

「「「「はーい」」」


「沙愛と奈沙はどうだ? 右腕はビームサーベルみたいな武器って聞いてたけど、左腕はどうなんだ? えーと円盾ラウンドシールドと投げジャベリンが使えるみたいです」


「ちょっと、盾を出してみてくれ」

「うん」


 そう言って出した盾は、前腕部部から丸くスライドシャッターの様に展開された。

 何かメチャカッコいいな。


「よし、それじゃぁこの状態でこの先を進むぞ。ミコが知識レベルを7に上げるまでがここでの目標だ。ミコ、こいつが乗るのに丁度いいサイズになってくれ」

「了解なのじゃ」


「重そうだから、少しウイングで調節して重さを感じなくさせるな」

「助かるのじゃ」




 『ナインテールフォックスライダーギャリオン零式』

  この世界を駆け巡る浪漫ロボが誕生した。




「勇気の感覚的には、フェンリルやエンシェントドラゴンと比べたらどっちが強そうなの?」

「どうかな? まだ今の段階じゃぁ攻撃を俺が直接出来ないから、エンシェントと言っておくかな?」


「私達の熟練度次第でドラゴン以上に成れるかもって事?」

「サイズの問題とかもあるから、使い分けかな?」


「そっか」

「でも、合体してると守る手間は省けるから、一緒に行動する以上はこの形態が良いかもな。それと……何より変身を解いた後に服が破れて無い所がいいな」


「え? そこなの? それは結構勇気の成長を確認する上で重要な要素だと思うけど?」

「愛美…… なんの成長だ?」


「皮問題?」


 俺達は、博多ダンジョンの3層に向け、ギャリオンで発進した。

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