第24話 倉敷①
俺達は愛美の転移で防府基地の格納庫の中へと戻った。
フェンリル状態だった俺は、当然の様に素っ裸で現れたので、格納庫の中に物資を整理しに来てた、父さんに思いっきり見られてしまった。
「勇気、女性の前でいきなりその恰好は、親としてあまり感心できないな」
「あ、父さん何かゴメン。でもこれ別にHな意味でやってる訳じゃ無いからね」
「そうなのか? 俺は高校生の息子が複数の女性の前でそんなプレーを楽しんでるのかと思ったぞ」
「父さんもやりたいと思ったとか言わないでよ?」
「いや、流石にそれは母さんの居る所じゃ出来ないな」
「いなくても駄目だからね? てか父さんタンクローリー10台ほど持って来てるけど、外で出すと目立つから、ここから1台ずつ出して行くから運転して外に動かしてよ」
「勇気、父さんに30トントレーラーなんか運転できるわけないだろ? 免許無いし」
「今更、免許関係無いでしょ?」
「て言うかいつまで裸なんだ? 早く服着ろよ、風邪ひくぞ?」
「父さんが話続けるから、着れないんじゃねぇかよ」
俺は収納から、服を取りだして身に付けた。
「美里さんタンクローリー外に出してね」
「解ったわ。外に出した分の移動は、他の隊員で構わないよね?」
「うん」
タンクローリー10台を出した後は、格納庫の中に荷崩れしない程度に、米や小麦粉も出して置いた。
「父さん、不足している物資とかあったら、言えば持ってる分なら出しとくよ?」
「そうだな、歯ブラシと歯磨き粉、ティッシュ、トイレットペーパーが欲しいな。後はシャンプーとリンスが有れば助かる」
「OK出しとくね」
◇◆◇◆
「でもさぁ、勇気君だけじゃなくて、愛美ちゃんも大概チートだよね」
「あ、それは、勇気が譲ってくれたからなだけで、本当は私なんか全然だったんですよ?」
「そうなの? それはやっぱりそのバニーの衣装効果で篭絡しちゃった感じ?」
「美里さんって……頭の中結構ピンク色だよね」
「そんな事無いわよ? 私は大人の女だからね。未成年の君たちが不健全な行動を繰り広げて無いかのチェックは大人の女として大事だと思っただけよ」
「興味津々でしょ?」
「そりゃぁ気になるよ」
「やっぱり」
何かちょっと頭の中身が残念な感じのする美里さんだけど、自衛隊員としてのスキルは高そうだから、当面は一緒に行動して貰う事になった。
俺は、知識ランクⅠで出来る事を確かめようと思い、格納庫の隅っこで椅子に座って、アカシックレコードへのアクセスを試みた。
一番気になっていた部分は能力値の数値化は出来るのか? って事だったから、それを訊ねてみた。
『能力値は存在するの?』
『存在する』
『能力の項目はあるの?』
『力、体力、すばやさ、かしこさ、魔力、運の6つの要素の合計が戦闘力として存在する』
『戦闘力の表示を出来る様になるの?』
『☆7ランクの勇気が求めるならば、鑑定によって表示されるように出来る』
『表示をしてくれ』
『
へぇこんな風になってんだアカシックレコード、結構便利だな。
『ダンジョンの発生場所と、発生したモンスターの種別は見れるか?』
『発生場所の情報は表示可能、種別は知識レベルが不足』
ふむ、これはミコに聞けば問題無いかな。
早速俺は自分の戦闘力を鑑定してみた。
正木勇気 16歳
人間(トランスフォーマー)
戦闘力 7,258,765,981
弱くは無いんだろうけど高いのか低いのかさっぱり解らないな。
でも俺の場合形態で強さ何て全然変わるから、この数字は
数字の桁数に全く現実味がないよ。
美里さんと父さんでも見てみるか。
獣人(ウルフガール)
戦闘力 986,583
正木勇一 45歳
人間
戦闘力 125
これは……
やばいな、全く存在が別物っぽいや
当面は、防府基地は物資は十分だろうしここを中心に生存領域が広がればいいけどな。
さぁ俺達は自分に出来る事をやりに行くか。
「愛美、次のダンジョンに行こうと思うから、球場に転移してくれ」
「解ったよ」
俺達は球場に転移すると、次に攻略するダンジョンをどこにするのが良いかを決める為の情報を、美里に聞いてみた。
「美里さん。自衛隊に入っている情報では、この近辺だと博多の他は何処が有るの?」
「四国の松山が直線距離では近いわね。他には九州の熊本くらいかな。東側は広島より先は、大阪と京都に出現してるよ」
大阪と京都は距離も近いから、関西地方は恐らくかなり厳しい状況だろう。
俺は答え合わせを兼ねて、アカシックレコードに西日本のダンジョン発生地を確認した。
大阪、京都、松山、熊本、博多、防府、広島、松江、倉敷
「あれ? 自衛隊には倉敷ダンジョンの情報入って無かったの?」
「倉敷? 聞いてないよ」
「ミコ、倉敷ダンジョンの敵の種類はなんだ?」
「ちょっと待つのじゃ。解ったのじゃ、蟻ダンジョンなのじゃ」
「蟻ってサイズとかどうなのかな? デカかったらまだ見つけやすいけど、もし普通の蟻とかのサイズのモンスターだと手が付けられないな」
「勇気君、報告が上がって無かったくらいだから、見た目で判断がつかなかったと見て間違いないかもね」
「倉敷に行って見るか」
俺はドラゴンにトランスフォームすると、4人を連れて倉敷に向かった。
「これは…… 酷いな」
「でも、駄目な範囲がはっきり解るから対処はできそうだよ」
倉敷ダンジョンは、入り口のサイズも小さくこれなら発生時は見つかりにくかったのも解る。
しかし、入り口を中心に半径5㎞程の地域が円形に真っ黒に埋め尽くされていた。
俺は、蟻で埋め尽くされた範囲内にモンスター以外の生命は存在しない事を確信して、思いっきりブレスを吐きかけ範囲内の蟻を消滅させた。
蟻を消滅させた後のその場所には建物も何も残らないただの荒野だった。
草一本生えていないし道路のアスファルトも存在しない。
すべてを溶かし喰らいつくしながら広がっていたようだ。
俺のトランスフォームに現れた名前は
アダマンアント☆☆☆☆☆
噛みつき
力強化Ⅵ パッシブ
掘削
フェロモン
統率 パッシブ
強酸
硬質化Ⅵ
「なぁこの能力って、下手な重機より強い力持ってそうだな」
「でも、人と融合した時の姿が気になるよね」
「サイズ自体は小さかったし踏み潰したりして倒した人が、周囲に何人か存在してないかな?」
「でも、まだダンジョンを潰したわけじゃ無いから中央部分から、また出てきているよ」
「ああ、先にダンジョン潰さなきゃダメかな。でも強くなりたいなら数がメチャ多いから、お薦めなんだけどな。誰かまだ進化してない人で蟻人間でも良いって言う人いないかな?」
「蟻って言うのが引っかかるよね…… ゴキブリよりはいいんだけど」
「ミコと愛美でダンジョンから湧きだしてくる蟻をちょっと俺が戻って来るまで抑えてて貰えるか? 二人なら魔法で範囲攻撃できるから何とかなるだろ?」
「うん解った」
「俺と里香と美里さんは、蟻と融合した人を探してみよう、見つけ出したらダンジョン攻略に連れて行くのも有りだろ?」
「そうだね、既に融合してるなら、諦めもつくだろうし」
俺達は倉敷で蟻と融合を果たした人を探す事にした。
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