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時刻は深夜の零時を回った。郊外の街は眠りにつき始めている。猫も活発に行動し始める時間帯、本番はこれからだ。
どんなに愛おしく、可愛いらしいか。寝顔や食べている姿を眺めているときの何とも言えない幸せな感じ。側にいてくれるだけで、嫌なことは忘れ、生きる為の活力が湧いてくる。あのコの為ならどんな苦労も厭わないだろう。
彼女の言葉は優しさと真実に溢れていた。龍也は、それに対し、惜しみなく愛という名の称号を与えることができた。
「少しお休みになったらいかがですか?」
瞼が塞がりかけている彼女にそう問いかけた。
彼女は、ぶるるっと頭を振りはするものの、眠気はしっかりと瞼に粘りつき、振り払えない様子でまたうとうとしだす。
「しっかりと僕が番をしています。今度こそ、責任持って」
項垂れ、目をこすっていた彼女が、がばと顔を起こした。それからぱしぱしと目を瞬かせ、彼女は答えた。
「だいじようぶです。時間の自由はききますので」
言い終えた彼女はすでに目をとろんとさせている。
「わかりました。では一緒にチィちゃんの帰りを待ちましょう」
何気なく言ったはずの自分の言葉が重くのしかかってくる。
自然と目線が彼女から逸れていった。
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