第3話 カモフラージュモンタージュ

 待ち時間長っ!

まぁそっちの方がいいけど、これ資料とか持って帰れないのかなぁ?


「すみません、この本とかグッズとか何個か頂けませんかね..。」

あの人待合室にいるだけの人なんだよなぁ、レフェリーみたいな開始宣言する人別の人だったし、人材多っ。


「…本は在庫がありません。

マグカップやポスターなら、幾らでも

想像を絶する余裕があるので」


「本当にっ⁉︎

ならこの等身大エアクッションも?」


「どうぞ。」「やった!」

なんだいい人じゃん、うひょ〜。

子供の頃の夢が沢山詰まってる〜♪


「...あ、シティシリーズある!

僕好きだったんですよ〜、今もだけど

特にクロスシティのやつが。」

何個か出た色々な街を守る箱庭ヒーローシリーズ、アニメも漫画もやってたけど毎回主人公変わって飽きを感じさせなかったなぁ〜。

ちなみにクロスシティは3期目のやつ

「いいよなぁ〜シティシリーズ!」


「…わかります。」「えっわかる?」

マジかよ同志じゃん..!

「私はカメロシティ編が。」

「あ〜6期かぁ〜!

確かに攻めてる、あれは凄かった!」

 ヒーローのデザイン性も大幅に路線変更、シンプルなマントにマスクという王道なスタイルからスタイリッシュでロックな風貌に大胆チェンジ!


「しかもそれはしっかりストーリーに踏襲されたもので、荒廃しボロボロにされた街を守る堕ちたヒーローという設定だったんですよね。いいなぁ、カメロシティのグッズあります?」


「シティシリーズは期別で順番に並んでいます、当然カメロシティ編も。」


「マジで....ホントだ!

ウソ、チャイルドの番外編まである」

劇中に登場するガン・チャイルドっていうカウボーイの保安官が主人公のスピンオフ、出来が良いんだよなぁ。

「流石抜け目がありませんね」

「当然です、チャイルドを忘れるような事はありません。」

ファンの鑑だぜ、すごい良い人じゃん


「そろそろお時間です、階段へお上がり下さい。検討を祈ります」

「切り替え早いな。

...検討を祈る、ちょっと待って。それチャイルドの決め台詞じゃん!」

なんかやる気出るなぁ。

正直勝ち負けなんてどうでもいいけど腕が鳴るわ、よーし!


「こっからが俺の街創りだ!」

クロスシティ編の主人公パリスの決め台詞、わかるかなぁ〜..?


「…パトロールは任せろよ。」

はっ!

あの敬礼ポーズ、少し低い美声..相棒のバーバラのお決まりの返答...!


「やはり貴方は素晴らしい人だ。」

「...光栄です、さぁステージの方へ」

リップサービスでもいい

俺は貴方に、思い出に感動している!


「準決勝第一試合 相入るは

Mr.コンストラクション

vs

シノビガタナ・ハットリの二名です」


「相変わらず歓声凄いな。

同じ感覚の同志がこんなにも近くにいたとは、何で気付かなかったんだろ」

んでもって相手はっと。


「フン。」「忍者か!」

成る程、和テイストのヒーローで来たか。死神の後忍者、いいコントラストだねこりゃ。やっぱ必殺技とか長い感じの羅列なのかな?


「あれかっこいいんだよな〜、後ろに筆字で荒々しく書かれる感じとか!」


「何を云っている?

さっさと始まるぞ、合図をしろ。」

「クール〜..。」

かっけー、和の装いでクールかっけー


「レディー..ファイッ!」


「悪いが直ぐに終わらせて貰う。」

はやっ! どこいった?

これ走ってるだけ⁉︎

「影が見え隠れ..上か、いや正面!

おっかしいな、全然分からん。」


「当たり前だ、常人が拙者の動きを読み取るなど笑止千万!」


「うわ出た伊賀感!

笑止千万..ちょっと待って検索するから。えっと、非常に笑止の様..へぇ」

笑いが止まらないって事か。

喜んでくれてんじゃん、やった!

もっと喜ばせたいなぁ。


「そうだ、あれやるか。」「遅い!」

忍者モチーフなら喜んでくれるよね

「明日を願うがいい。

屑陰流・砲針火鉢の絵巻!」

「うっわ..。」

キター!

筆字長列漢字奥義!

火をつけたクナイを無数に空からっ!

めちゃくちゃかっけー、震える!


「こっちも答えなきゃ、でい!」

「...何、貴様何故それを⁉︎」

二人三人四人五人、えーい六人!


「分身の術っ!」「お前も忍か!」

我ながら良くできたね、顔そっくり。

エアクッションもらっといて良かった画用紙貼って自分の絵を描けばどうよクローンヒーローの出来事上がり!


「くそっ、どれが本物だ!」

「わかんないよね、上手く描けたな〜

美術っていったらやっぱ絵だね。」

小さい頃から憧れのヒーローを描いてきたけど、まさか自分のオリジナルヒーローを描ける日が来るとは。


「感無量です、有難う御座います。」


「黙れ曲者!」「うお、刀だ!」

忍特有の振りやすい小刀腰に刺してたあの柄の無い感じいいなぁ〜。


「纏めて消え去れ

忍刀一斬・白夜列刃!」「か、か..」


かっけー!!

何その構え、何その名前!

かっけーよ和風かっけーよぉっ!

何が起きんの何が起きんの!


「分身は断ち消えた、次はお前だ。」

「………え?」

いつの間に、エアクッション斬れてる

分身一気に床に延びてるスゲェ!

「斬るの上手いですね!」

「…それ程では無い、買い被るな。」


「いやいやホントに上手いですよ!

刀ってやっぱりカッコいいなぁ〜。」


「…そうか?」「はい!」

居合い斬りってやつか、障子に影浮かべて気付いたら斬られてるって。

やっぱそういうのやってくるのかな?


「ならば魅せてやろう、せいっ!」

四角い板...いやこれ。


「障子?」キターッ!

しかも影見えてる、これ斬るぞ!


「忍刀・抜刺ぬきさし!」

かっけぇ..やっぱかっけぇよ和風戦士

「…あれ、斬れてない。」

「周囲を見てみろ」

「周囲..あっ!」

エアクッションが全部斬られてる。

先に分身を潰しておいたんだ、成る程

「これで小細工は出来まい。

忍ぶ事は得意なのだ、甘く見るな」


井の中の蛙よ、へらへらもしていられまい。さぁ焦燥し剣を構えよ。

「降参は認めん。拙者はヒーローであるが忍び者、お前の諦めた顔を..」


「かっっっっっっけぇっ!」「何?」

「凄いですよシノビガタナさん!

一瞬でこんな小さいもの斬り刻むなんて、鍛錬がマジじゃんか!」

本気まじ、だと。」

刀は真剣かな?

アクリル製には見えないし、頭巾や忍者服はドンキっぽいけど良く整えてある。にしても凄いな、居合い斬りって何処の筋肉使うんだろうなぁ。


「拙者を執拗に褒めちぎる、誘惑か?

いや、騙す口調には聞こえない。」


「ジム通いですか?」「事務だと?」

「あ、鍛えてるのかなぁ..って。」

「岩を背負って山を往復しているが」

「すげぇマジすか!?」

ベンチプレス的な役割なのかな、そら早いよ普段岩背負ってるんだもん。


「いいな、俺も作ってみよ。

忍者モチーフの人がいるなら侍とか!

甲冑とか着てみようかな〜?」


「侍だと、お前がか。」

「どうですかね、忍者とまた違うし」

「拙者を見て侍を志すか..ふっ。

どうやら嘘付きでは無いらしいな」

待てよ?

甲冑の重みを考えないと刀振れなくなるな、てなると銅よりチタンか。


「でもそうなるとクオリティがな〜」

「いいだろう、かかってこい」

「..へ?」

「侍になりたくば拙者を超えていけ。

忍に劣る武士などいらん!」

「...はい!」

すげぇ〜、やっぱ徹底してるな設定がそういうところ考えないといけないよな。となると初めは武士語の勉強か。

「正々堂々勝負といくぞ!」

「…来いっ!」

って感じかぁ、やっぱ語尾とか特徴付けた方がいいのかな、ムッズいな。


「すみません、言葉って何処で..ん?

あれ、なんで障子が。」

「覚悟!」「うわっびっくりした!」

するならするって言ってよ!

でも忍者ってそういうものか、居合い斬りって侍はやるものなのかね?


「……。」「あれ、どうしました?」

障子破ってしゃがんじゃったよ。

大丈夫かな、具合悪い?


「拙者にお前は斬れん。」「は?」

「褒め称え、指標にしてくれたお前。

侍を志すとまで云ったお前を拙者は断じて斬る事は出来ん...!」

「…かっけー。」

迫真だよシノビガタナさん、忍び耐えるサマがたまんないよかっけぇよぉ!


「ガワだけじゃ無いんだな仮装って、設定しっかり作ってないからなぁ俺。

Mr.コンストラクションは何者だ?」

「審判、拙者は棄権する!」

「え?」

「後は次世代に託そう、刀を研げ若者

忍び耐えず邁進しろ。」

「...はい」


「勝者、Mr.コンストラクション!」


「夜明けは近いぜよ。」

これ侍じゃないか、どうだ、わかんね

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