第7回はフォロワーさまの創作論読んでいて思いつきました。

 異世界に転生したなろう系主人公・ツトム。

 悪役令嬢に転生したなろう系主人公・カノン。

 すべてにおいて平均的な少女漫画系主人公・ナノハ。

 明らかに非日常な日常ギャグコメ主人公・アオコ(ボケ)とミドリ(ツッコミ)。

 登場人物にすべてフラグが立つBL主人公・ハジメ(受)とチヒロ(攻)。


 絶対に出会わない主人公たちが謎の空間で出会ったーー。

 




 

(※1)「やばいよ!ヤバイよ!もう、ヤバすぎ!」

「出(川哲郎)オチ!」

 アオコがボケて、ミドリがつっこむ。

「えっと、これは……『テンプレ主人公の集まり』?」

 ツトムは円卓に置いてあった紙切れを読んだ。「要するに、主人公同士の語り合い?」

「まーたどこぞの作者が妄想をインターネットにだだ流ししてんのか」はあ、とハジメがため息をつく。「まったく。高度成長期頃の汚水ダダ流しより酷いぞ」

「あなたBL時空あるあるのドSですね?」カノンが上品な口調でつっこむ。

「妄想に付き合わされるこっちの身にもなれってんだ。出会って数ページでヤられる羽目になんだぞ俺は」

「え、受けなのアンタが!?」

「じゃあ隣にいるワンコ系が攻め!?」

 ワンコ系攻め主人公・チヒロはテレテレと笑っている。


「というか、お前らも相当不運だろ。冒頭で必ずトラックで轢かれて死ぬ展開なんだから」


(※2)「ハレムもハーレムも滅びろ! ただし逆ハーレムは可能とする」

「どうしたミドリ! ボケるのは私だろ!!!!!!」

「うるへー私らの世界ほぼ女子だけで成り立ってフラグなんてないんじゃー! 支部とかで勝手にアンタと百合カプされてる身にもなれ!!!!!!」

 ドン!! と円卓を叩きつけるミドリ。


「いや、俺はトラ転(トラック転生)じゃねぇよ。そしてハーレムでもない」

 ツトムは手を降ってちゃうちゃう、と言う。





「俺は猫が銜えてたカジキが尻に刺さって死んだ系」

「『カジキが尻に刺さって死んだ系』!?」





「もー、酷かった……女神には『チートでハーレムだけどカジキが尻に刺さったまま闘うのと、特典は付かないけど普通に過ごせるのとどっちがいい?』って尋ねられるし」

「流石に尻にカジキはないね」ギャグ時空のボケアオコも若干引いている。いくら何でも身体を張りすぎる。

「変わり種を目指してとち狂った作者の犠牲者か、お前……」さすがのドSも哀れんだ。特に尻を狙われる男として同情した。

「チートと言えば悪役令嬢のカノンさんじゃねーか? 公爵令嬢・領地経営・魔術素養高め・逆ハーレムだろ?」


 はあ、と悩ましげにカノンはため息をついた。


「身に覚えのない罪の濡れ衣に婚約破棄、社交界での風評被害、追放された先の無茶振りな領地経営、毒殺等の殺人未遂、ヤンデレ男からの同意なき性交渉(未遂)などなどなど……」

「ごめんあたしが悪かった」ミドリは正直に謝った。

「優秀であればあるほど平穏から遠ざかってく……」


 やれやれ、とチヒロが呟く。

「まったく、ヤンデレなんてやめて欲しいよね。一方的に押し付けるのは愛とは言えないよ」

「え?」ミドリはチヒロを凝視した。

「え? なんか間違ってる」

「いや(※3)言ってる事は正しい。でも言うのがあなたじゃ、何の説得力も無い!」

「読んだわよあなたの作品!!!!!! あなたワンコ系に見せかけたヤンデレでしょう!!!!!!」

「俺がもう突っ込むのも疲れたことを代わりに言ってくれてありがとう」

 悪役令嬢とギャグ時空の主人公に庇われて、疲れきったドSは素直に感謝を述べた。



「……というか、さっきから少女漫画系が黙ってない?」

 ふとアオコが呟いたことで、平凡少女ナノハに注目する一同。

 

 少女漫画系の学生ヒロインはーー。



「ふえ?『(※4)キミの酔った横顔も素敵らよ』? 嬉しいでしゅぅ……」


 酔っ払っていた。


「アウトォォォォォ!!!!!!」


 ミドリが酒瓶をひったくる。


「ああああんた未成年でしょぉぉぉ!!!!!! しかも何!? なんで『鍋島』!? せめてカクテルとかにしときなさいよ!」

「未成年じゃないでしゅよ、わたし……」呂律が回らないまま、ナノハは言った。


「私これでも三十七歳でしゅ」

「長期連載の弊害ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」


 平凡少女は20年も女子高生をやっていた。


「もうついていけないでしゅ……まだ時系列的に一年も過ぎてないのにいつの間にかポケベルからスマホに変わってるしぃ……もう時代についていけないでしゅよ……」

「くだを巻いてる…………」

「おまけに少女漫画はBLコーナーにおしゃれるし!!!!!! なんでしゅか、女の子じゃだめでしゅか!!!? だったら私は男の子になりましゅ!!!!!!」

「それは『平凡な少女』のアイデンティティが揺らがないかしら!?」


「るへー! 頭にいもけんぴついてたりヒーローの肩幅がおかしかったり目が脳みその半分占めるほどの大きさになってから言ってくれっしゅ!」

「二十年間の間に起こった『平凡』の迷走!!!!!!」

「でも残り二つはただの作画崩壊じゃねーか!」


 少女漫画あるある。


「あーもうこのままだと……(※5)『決めました。戌年をやめてカササギ年になります』ぐらいのトンデモ出来事起きそうでしゅ……」

「天変地異とまではいかないトンデモ出来事」

「昨今の少女漫画も大変だ……」

「抱きしめたら王子様がカササギになるんでしゅよ……」

「シュールだわ」


 平凡から程遠い個性を手に入れなければやっていけない少女漫画界に、Web系は戦慄する。

「なあ……ギャグ漫画系あたしら、いらなくね?」あまりのボケの飽和にアオコが言うと、そうね、とミドリも同意した。1番キャラがないのは自分らかもしれない。




 はあ、とギャグ時空を抜かす主人公たちが全員口を揃えた。


「主人公、やめたい」


 それを聞いて、どこかで(※6)「お前もうそれ47回目だよぉ!」と叫んだ神がいたそうな。





※1……野林緑里さま「やばいよ!ヤバイよ!もう、ヤバすぎ!」

※2……無月兄さま「ハレムもハーレムも滅びろ! ただし逆ハーレムは可能とする」

※3……祟さま「言ってる事は正しい。でも言うのがあなたじゃ、何の説得力も無い!」

※4……関川 二尋さま「キミの酔った横顔も素敵らよ。」

※5……無月弟さま『決めました。戌年をやめてカササギ年になります』

※6……八番出口さま「お前もうそれ47回目だよぉ!」

 


近況ノートはこちら!

【終了!!!!!!】第7回!フォロワーさまが残す一文を使って物語を書きたい

https://kakuyomu.jp/users/misora2222/news/1177354054921043820


今回もご参加ありがとうございました!

オチはないけど書いてて楽しかったです!!!!!!




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