第二回は調子に乗りすぎてすべった感があります(反省)

 夏休み。

 化学の期末テストで赤点を食らった俺こと織田(リーゼント)と隣の席の花田(女子)は、追試を受けたあと理科の教師(軍の研究者だったという噂がある)に呼び止められた。

 


「(※1)今日のラッキーミートは豚の角煮! 煮込んでぷるぷる!」


 俺たちを労うために、料理を作ったという。作った人物からして怪しさMAXだ。

 しかし花田は、いつも通りクールな顔で怪しい角煮を食べ始めた。

 ……こいつが食べたというのに、俺が食わないわけには行かない。

 意を決して、角煮を一口食べた時……。


 俺と花田の身体が、入れ替わっていた。


 突然の展開に、さすがのクールな花田(in俺)も混乱してるのか、俺のリーゼントを触りまくる。

 俺のリーゼントは、パカッと外れた。

 花田は俺の顔で、驚愕の顔をうかべる。

 すまん花田、俺のリーゼントはキャストオフ可能なんだ。ワックスべたべたするし。中々シャワーで落ちねぇし。


「うんうん、成功したね!」


 暫くニヤニヤと笑っている理科の教師だが、俺たちがあまりに黙っているため、おや? と首を傾げる。


「ちょっとぉ。そこは、

(※2)『「まさか?」「俺たち!?」「「入れ替わってる!!」」』

 ……ってなるとこでしょう!?」

「……そもそも」花田(in俺)が言う。声低。



「理科の教師の怪しい料理を食べたら何かが起きるってゆー発想が安易なんですよ。この不況な出版業界で押し切れられると思ってるんです、」

「やめて花田さん。私の心もボコボコにしてるけど多方面への喧嘩を売るのもやめて」

「俺が……めっっちゃ毒舌だ……」


 そしてこれが俺(in花田)の最初の一言だった。めっちゃ声高かった。


「てか花田、予想してたならどうして食ったんだよ!?」

「そうね。……巻きで行かないと、字数が2500字を超えるからかしら」


 ちなみに現在800字越えよ、と花田がわけわからんことを言う。頭がおかしくなったのか。あと女口調の俺めっちゃ違和感ある。


「まあでも、ーー今の織田くんなら、心置き無く『花〇ゆめ』買えるんじゃない?」


 ……その言葉に、俺は沈黙した。

 説明しよう。俺は少女漫画が好きだが、男だしリーゼントでもあるので本屋に行くのは気が引けて、こっそり花田に借りていたのだ!


「今なら私のオススメじゃなくて、自分で好きな本買えるわよ」

「行っっってきます!!!」


 いざ戦場へぇ!!!

 俺は単行本派だが、本当は本誌を買ってみたいと思ってたんだ!!! やっほう、そういや丁度俺が好きな奴が最終回迎えるんじゃねーか!?

 俺(in花田)は実験室を飛び出した。


「……電子書籍で買えばいいのにね?」

「あ、花田。今から解毒剤作るから、材料買ってきてくれない?」

「はいはい。先生は生徒を実験台にしたこと教育委員会に訴えられたくなかったら、私と織田くんの成績上げておいてくださいね」

「……キミ、真の狙いはそこだな?」


 そんな会話が交わされていたことなぞ露知らず。




 二時間後。

 実験室に帰ってきた俺は、消沈した。


「花ゆめ本誌、買っちゃったのね」

「…………なんで……なんで、


(※3)学校一の美少女は、学校一のイケメンとつきあうんだよ!」


 バン!!! と俺は机を叩く。


 俺が好きだった漫画は、バッドエンドで終わった。

 主人公の冴えない普通の男子が、好きになった美少女のために自己改革するって話だったのに……!!!

 切なさはガンガンに伝わったけど!


「本誌を追い掛けると、予想以上に心を抉られるってあるわよね。私も最終回で推しがナイフで刺されて死んだ時とかそうだわ……」

「幸せになれよぉ! 漫画くらい!!!」

「入れ替わり以上の大ニュースだったわね。


 (※4)ちなみに、学校一の優等生は、学校一の不良と付き合ったわよ」

「はあ? 何だそれ、今月号にんな話があったか?」


 そう言い俺が花田(in俺)の方を見ると。

 花田(in俺)は、俺(in花田)を指さした。


「……あ、間違えたわ。私が今織田くんになっているものね」

「…………は?」

「織田くん、委員長に告白されたわよ。私が解毒薬の材料買いに行った時に」

「はぁぁぁーーーー!?」

 理科の教師が、「私でさえも彼氏出来たことないのに!」とさけぶ。

「代わりにOK出しておいたけど」グッと親指を立てる花田。

「するなァァァ!!!!」理科の教師と息があった。


 え、委員長ってあの!? いっつも俺のリーゼント頭を睨みつけるあの委員長!? よっぽどリーゼント頭に恨みでも持ってんだろうなって思ったけど、「パンクな髪型だなーって好きになったんだって」あ、髪型リーゼントフェチだったんだ!?


「よし、出来た! 解毒薬! さ、飲んで二人とも」

「おいこらタイミング考えろ!? こっちはそれどころじゃねぇぞ!?」

「うっせぇ時間じすうが足りねぇんだよ!! ほら花田ァ! 飲めやコラぁ!」

「ごふぅ」

「花田ぁーーーーー!!!」


 俺に彼女が出来たことを知り、荒れた理科の教師は、無理やり花田(in俺)に飲ませた!

 試験管に入った液体を飲み干すと、花田(in俺)は顔を真っ赤にしながら、わー、と言った。


「(※5)ふわふわしてる。まるでワタアメみたい」

「おいクソ教師ぃぃぃ! 俺が見たことない顔してんだけどぉぉぉ!?」

「あら、ピンクのミドリムシ発見。織田くん、ピンクピンク」

「しかも完璧にキメてんじゃねーか!!! 俺酒もヤクもしないんだが!?」

「大丈夫、君が飲めば元に戻るから!」

「やめ、や、ぎゃぁぁぁ……」




 ……こうして、まあ、何とか元に戻ったものの。

 俺の人間関係は、大きく変わってしまった。


「明日から彼女がいることになるのかよ俺……」


 どうすりゃいいんだ……と、悩んでいたが。


 次の日、委員長からは気まずそうな顔で、「ごめんなさい、昨日の話はなかったことにしてください」と言われて。

 後から俺の髪型リーゼントは、「実はキャストオフ可能のカツラ」という噂……真実が流れた。


「まあ、これはこれで良かったけどよ……」


 その事知っていたのは、俺になった花田と、それを見ていた理科の教師だけなんだが……。まさか、そこまでクズじゃねーよな、あの理科の教師……。







「(※6)これだから人の恋路の邪魔すんのは止められまへんなぁ」


 実験室で理科の教師がエセ関西弁で呟いていたとは、俺は知る由もない。




今回参加してくださったフォロワーさま

※1……祟さま「今日のラッキーミートは豚の角煮! 煮込んでぷるぷる!」

※2……ぎざ様『「まさか?」「俺たち!?」「「入れ替わってる!!」」』

※3……無月兄さま「学校一の美少女は、学校一のイケメンとつきあうんだよ!」

※4……アメリッシュさま「ちなみに、学校一の優等生は、学校一のヤンキーと付き合った」

※5……無月弟さま「ふわふわしてる。まるでワタアメみたい」

※6……関川 二尋さま「これだから人の恋路の邪魔すんのは止められまへんなぁ」



近況ノートはこちら!

【蜜の味を覚えた】フォロワーさんが残す一文を使って物語を書きたい【終了!】

https://kakuyomu.jp/users/misora2222/news/1177354054917585657

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