惚れたら負けだと言うけれど
@chauchau
どうしようもないほど愛しくて
「別れましょう」
彼女の言葉は突拍子がない。
抵抗しても無駄なので、早い内に諦めることが肝心だ。さようなら、三分経った俺のカップラーメン。
「理由を聞いても良いか?」
「考えてみたの」
余計なことを。と、口が滑れば阿鼻叫喚な未来が待っている。
「私と貴方が付き合ったきっかけは、試験のためにノートを見せたことよね」
「そうだな」
言葉はきちんと伝えよう。ノートを見せたのは俺であり、名前も知らない女子にいきなり泣きつかれるのは恐怖であった。
「このままじゃ結婚式で新郎新婦の出会いは試験が危なかったからですとかになるじゃない!!」
心配しなくても俺と君の結婚式に来てくれる相手は君が馬鹿なのは理解しているよ。
「明るい結婚式になるな」
「駄目よ。私のイメージが崩れてしまう!」
存在しないものは崩れない。
「みんなの期待を裏切れないわ!!」
現在進行形で全速力で応えているから安心しろ。
「だから、一度別れてもう一度付き合えば良いと結論に至ったの」
「……そうか」
下手の考え休むに似たり、いや、馬鹿の考えか。
「分かってるだろうけど、つまり今から別れ話になるわけなんだけど良いんだな」
「……はッ!」
惚れたら負け。
涙目の彼女を抱きしめた。
惚れたら負けだと言うけれど @chauchau
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