第23話 勉強会inお兄ちゃんの部屋
テスト勉強。
それは学生にとって、切っても切り離せないことでありほとんどみんな嫌いなことである。
そのためテスト勉強を中心としてよく開かれるのが——勉強会。
夏休み前のテストということもあって、私たち妹一行はお兄ちゃんの部屋で勉強会を開催していた。
しかし、今日はゲストを招集していて……
「違うよ花。ここは判別式を使って——」
「んにゃー! こんなのわかるかぁー!」
「日頃から勉強してればわかるんだけどなぁ」
「う、うっさい!」
弁天君が、この女子会に参加していた。
なぜ弁天君がこの勉強会に参加したのか。それは数時間前に遡る……
「花ー今日勉強会するぞ~」
「あっごめん加奈。今日瑞希と勉強する約束してて……」
「ふぅーん……なら弁天君も参加しちゃえばいいじゃん! 多い方が絶対盛り上がるからさ~」
「勉強会に盛り上がりとか必要ないでしょ!」
ってな感じでその後は押しに弱い花だからゴリ押してフィニッシュ。
弁天君はめちゃくちゃ動揺した様子だったけど、参加してくれた。
まぁ、美少女四人と勉強会できるなんて普通お金を払うくらいだから、だからむしろ感謝してほしいくらいだね。
弁天君は実は入学式で新入生代表を務めた首席。
正直なところ、分からないところがあったら何でも教えてもらえるから普通にありがたいということもあるけど。
「あっ瑞希解けた! これであってるでしょ?」
「うーん……おっ合ってる」
「やったー‼ 瑞希ありがと」
「べ、別に花が頑張っただけだよ」
「そ、そっか……えへへ」
それにしても、よくもまぁ人の前でここまで堂々とイチャコラできるなぁおい。
彼氏はおろか好きな人すらいない私たちに見せつけてきちゃってんのこれ? もしかして挑戦状? よかろう。ならば戦争だ。
そんな冗談は置いといて、ほんとにこの二人は付き合ってないのだろうか。
我慢できなくなって、聞いてみた。
「お二人さんは付き合ってたりとかしないの?」
私の質問が海と舞の総意だったのか、二人がすごい勢いで首を縦にぶんぶん振る。
当の二人はペンを片手にポカンとしている。
「つ、付き合ってないけど?」
「付き合ってない」
「「「(え? 全然照れたりしないんだ……)」」」
これは兄ペアよりもひどい惨状だ。全くお互いを異性として認識していないように思える。
……ほんとじゃあさっきなんであんなにいちゃついてたんだよ。無自覚? それこそ怖い!
恐怖の幼馴染カップルに、戦慄を覚える私と海と舞だった。
***
勉強会。
今日はたまたま図書室が開いていなかったので、致し方なく俺の家で勉強することになった。
自分の家ではあまり勉強できないタイプなのだが、みくるというスパルタ教師にビシバシ叩かれて(比喩)勉強している。
しかし、俺の部屋ではなくリビングで。
……なんであいつら俺の部屋で勉強会してんだよ。女子高校生らしくファミレスとかで勉強会すればいいだろうが。
ってかなんで知らない男の子いるんだよ。もう妹一行の行動がわかりません。
現代の女子高校生、恐るべし……
「えいちゃん? しっかり集中しないと問題解けないよ?」
「あぁ悪い悪い。ちょっとツッコみをな」
「ツッコみ? まぁいいや。早く終わらせるよ~」
「あいあい」
そういうみくるだったが、俺の集中を八割がた削いでいるのは間違いなくみくる。
だって……だってだってだって。みくるが俺の腕にしがみついてるから。それで柔らかい感触が腕にあってもう……耐えれねぇ。
最近のみくるは、周りに誰かいるときはいつも通りだけど二人っきりの時はもう大変。俺の手には負えない。
「えいちゃん」
「ん?」
「呼んでみただけ」
それに若干バカになってるんだよなぁ……。なんか子供に戻ったみたいな、そんな感じ。
ただ、それを心底可愛いと思っているから、よりタチが悪いのであった。
***
弁天君というよさげなキャラを発掘できて、僕は幸せだぁ……あれ? 男性キャラの雅樹、どこ行った?
一方その頃ナメック……地球の雅樹ハウスでは——
「なんでそんな問題も解けないの? 解けなかったシてあげないよ?」
「マジですみません。こんな問題も解けないんです僕……」
「あぁーあ、じゃあ今日はお預けだねぇ」
「……そ、そこを何とか!」
「パンツ一丁で土下座してくれたらいいよ?」
「ど、ドS過ぎんだろ……」
その後、なんやかんやパンイチで土下座した雅樹だった。
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