Act:68『いつから俺の芸名になったんだよ!』

京「ここ来て見たかってん! 中古雑貨屋~」

蛍「ちょっと一人では来づらい感じあるよなこの店」

京「せやねん! やからやっと入れたわ~」

蛍「でも中は意外とスッキリしてるな。物で溢れてはいるけど」

京「よし、ほなかくれんぼしよか」

蛍「お前は子どもか」


京「ん! ほたるくんこれ見て!」

蛍「なんだ? マイクか」

京「これよー漫才で見るやつやんな」

蛍「あ、確かに、雰囲気あるなぁ」

京「はいどーもー、よろしくお願いします」

蛍「おお」

京「ほたるくん隣来てや! 漫才できひん!」

蛍「いややらねえよ!」


京「ええな~欲しいな~」

蛍「買ってどうすんだよ」

京「ほたるくんと漫才する!」

蛍「だからやらねえって」

京「ええやん! ウチの相方はほたるくんしかおらん!」

蛍「じゃあその相方の名前くらい覚えろ! けいだ!」

京「ほたるくんはほたるくんや~」

蛍「いつから俺の芸名になったんだよ!」


京「じゃあウチは『京』って書いて『みやこ』にする!」

蛍「じゃあってなんだ! 俺は芸名にしたつもりないんだよ」

京「まあまあ落ち着きて~」

蛍「お前だよなんでそんな大げさに動いてんだ」

京「へ!? ほたるくんにウチ、見えてるん?」

蛍「幽霊かなんかかお前は」


京「おそろしや~!」

蛍「うらめしやだろ」

京「ほら飯や」

蛍「関西の独房みたいだな」

京「あれネッシーや!」

蛍「こんなところにいるわけねえだろ」

京「うわ火事や!」

蛍「言ってねーで通報しろよ!」


蛍「ちょっと待て、普通に漫才始まってるじゃねえか!」

京「ほたるくんどんどんエンジンかかってたやん!」

蛍「お前がボケるからだろ!」

京「……はて?」

蛍「とぼけるな!」


蛍「……」

京「にひひ、怒られてもうたな」

蛍「当たり前だろ、あんな声出してたんだから」

京「ウチらが悪いな!」

蛍「お前だろ!」

京「でもほたるくんの声大きかったから負けんようにって張っただけやで?」

蛍「……マジ?」

京「お店に響き渡ってたで~!」

蛍「……」

京「にひひ! ほたるくん顔真っ赤や~」

蛍「う、うるせー!」

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