Act:60 『最近、生徒会だらけすぎ』

―生徒会室―


妃「最近、生徒会だらけすぎ」

姫「最近だけじゃないよ!」

妃「そういうことが言えるのがだらけてる証拠よ」

帝「すまない、もっと効率的に動けるよう努力するよ」

妃「帝、あんたには問題ないわ。他に問題があるの」

皇「他?」

姫「どゆことー?」

妃「あんたたちよ」


皇「ぬぁんだとー!」

妃「あんた、数分前まで何してた?」

皇「む? ここに座って幹部の動きを見ていたぞ」

妃「嘘。あんたは数分前寝息をたててました。あと幹部って呼び方やめて」

皇「昨晩は寝るのが遅かったし、疲れているからな!」

妃「あんた、昨日何時に寝た?」

皇「九時!」

妃「どこが遅いのよ」

皇「いつもは八時だ!」

妃「ガキ」


姫「まあまあ妃ちゃんそんな怒らないで~!」

妃「すかさず胸触ろうとしないで、変態」

姫「ふふふ、そう言いながら触らせてくれるのが妃ちゃんの優しいとこ!」

妃「残念ながらそんなことないわよ。……私がダメだからって帝の方に寄らない」

姫「妃ちゃん私のこと観察しすぎだよ~。あ、もしかして惚れてるの?」

妃「自惚れないで、淫乱ピンク」


皇「ガキ……」

姫「淫乱ピンク……」

帝「き、妃。流石に言い過ぎだよ」

妃「そう? これくらい言っても良いと思ってるけど」

帝「でも……」

妃「私だってこんなこと言いたくないわよ。

  でも、どう考えたって会長の皇よりも、

  副会長のあんたの方が動いているのは目に見えてるし」

皇「プリン食べたい……」

姫「あ、売店でおばちゃん特製プリン今日から発売だって言ってたよ!」

皇「な、なにー! 食べたい!」

姫「じゃあ今から行こ~!」

妃「ほら、言われた二人はもうピンピンしてる」

帝「あはは……」


―廊下―


妃「……」

唯「物集先輩、うかない顔ですね」

妃「色々あってね。あんたは何してるのよ?」

唯「待っているんですよ」

妃「……何を?」

唯「先輩の笑顔を」

妃「……クサいこと言うわね」

唯「ふふ、最高の褒め言葉です」


 *


京「妃先輩や!」

妃「そんなに大きい声出さなくてもわかるわよ。うるさいわね」

京「これが平常運転やで! ブンブンブーン!」

妃「あんまりエンジンふかさないで、平常でうるさいんだから」

京「……ぷしゅー……声出して喉乾いてもた……ガソリン切れや~」

妃「……お茶でも買ってあげるから、静かにしなさい」

 

―自販機前―


智「ん……んんっ……」

 (手が、届かないです……)

妃「何してんのよあんた」

智「……」

妃「……」ぴっ

智「!」

妃「はい、よくわかんないけど、これで合ってる?」

智「……」こくこく

妃「そ。今度また会ったらまた押してあげるわ。じゃあね」

智「……ありがと……です」


 *


桜「あ、妃先輩」

妃「あら、桜じゃない」

桜「最近忙しいんですか? また妃先輩のお菓子食べたいです」

妃「ごめんなさいね。部長なのに全然顔出せなくて」

桜「いえいえ。忙しいのは知ってますから」

妃「……」

桜「? どうしたんですか」

妃「あんたは本当に、いい子ね……一緒にいて一番落ち着くかも」

桜「え? え?」

妃「……なんでもないわ」

 (周りが異常なだけ、ね)


 *


夢「あ、妃先輩!」

妃「ん、夢」

夢「ご、ごめんなさーい……」ささっ

妃「? なによ」

夢「あ、えっと……前に、近寄らないでって言われたから……」

妃(そう言われると近づきたくなるわね)すすっ

夢「……」ささっ

妃「……」すすっ

夢「……えいっ!」ぎゅっ

妃「ちょ、なんで抱きついてくるのよ!?」

夢「わ、私もわからないですー! 体が勝手に!」

妃「だからってなんで抱きつくのよ……!」


 *


妃『――以上、生徒会からのお知らせでした』

 (ふう……これで校内放送終わり)

*「あーいつ聞いてもいいよなぁ」

妃「?」

*「この校内放送の声、綺麗で聞き取りやすいよな!」

*「すげえ良い声してる……本当に好きだ!」

妃(バレてないだろうけど、恥ずかしいわね……)


―生徒会室―


妃「――って、廊下で生徒が言ってたのよ」

姫「へー! 妃ちゃん良い声してるもんね」

妃「ふふ、楽しみね」

姫「?」

妃「まさかその美声が、こんな私が発していたって知ったら……みんな絶望よ」

帝「そんなことないと思うけれど……」

姫「妃ちゃんネガティブ~……」


皇「最近思うのだ」

妃「何よ」

皇「バナナはなぜこんなに美味しいんだ」

妃「あんたの好みに合ってるんでしょ」

皇「なるほど……そんなことを考えていると、バナナは無くなっている」

妃「あんたが頬張ったからでしょ」


皇「妃、お前はなんでそんなに固いんだ?」

妃「どういうことよ」

皇「いつもぶすーっとしてるぞ!」

妃「ぶすーっとさせてる原因が目の前にあるからね」

皇「むぅ、私か……」

妃「まあ間接的にあんたになるわね。生徒会の業務だし」


皇「私も業務をやるぞ!」

妃「やる? 慣れてないと二時間はかかるけど」

皇「……妃がやると?」

妃「まあ、1時間はかからないかもね」

皇「ふむ。では会長命令だ、妃やってくれ」

妃「こうなると思ったわよ」


妃「ふう……終わった」

姫「おつかれ妃ちゃん! はい、お茶」

妃「あんたいつの間に帰ってきてたのよ。ありがと」

姫「妃ちゃんのお仕事が終わる寸前!」

妃「なるほどね、じゃあこの書類の整理よろしく」

姫「えー! まだ仕事あったの~!?」

妃「当たり前でしょ、全部終わったとは言ってないわよ」


姫「うう……あんまりだー」

妃(まあ、姫はいつも外にブラブラしつつ、

  しっかり校内の見回りしてるしね。……お茶でも入れてあげますか)

姫「終わったー! 凄い量だよぉ!」

妃「おつかれ。お茶」

姫「え……な、何か盛ってない?」

妃「盛ってないわよ。失礼ね」


姫「妃ちゃんっていつも前髪上げてるよね」

妃「この方が落ち着くのよ」

姫「へー……」

 (カチューシャ取ったらどんな反応するんだろ)

妃「なによ?」

姫「えいっ」ひょいっ

妃「!」

姫「ちょ、妃ちゃん? どうして顔隠すの?」

妃「うっさい……見ないで……」

姫(照れてる……! か、可愛い……)きゅんきゅん


妃「……最悪」

姫「ごめんごめん妃ちゃん」

妃「あんたに弱みを握られたことが一番最悪」

姫「可愛かったけどな~」

妃「消しなさい、その記憶。今すぐ」

姫「脳裏に焼きついてるよ~!」

妃「……ほんと、最悪」


帝「おや、業務終わったのかい?」

妃「おかえり、会議終わったの?」

帝「うん」

妃「おつかれさま。お茶いる?」

帝「いただくよ。妃のいれるお茶は美味しいからね」

妃「誰が淹れたって同じよ」


帝 ごくっ

帝「うん、やはり美味しいよ」

妃「はいはい、お世辞は結構よ」

皇「私も妃が淹れたお茶が一番美味しいと思うぞ」

姫「ねー! どうしたら上手く淹れられるの?」

妃「……誉めすぎ。な、何もしてないわよ……」


帝「ふう、やはりパソコンの作業は少し時間がかかってしまうね」

妃「私やるわよ?」

帝「ううん、平気だよ。いつも妃に頼ってばかりだと申し訳ない」

妃「……まあ、あんたよりあの二人に言って欲しいけどね」

姫「調理部からもらったバナナケーキ美味し~!」

皇「バナナ! バナナ!」


妃 カタタタタタ

姫「ほえー、妃ちゃんタイピングはやーい」

妃「話かけないで。気が散るわ」

姫「ごめんごめん……えいっ」ひょいっ

妃「ちょ、ちょっと!?」

姫「あははは! やっぱり前髪は気になっちゃうんだ!」

妃「か、返しなさいバカっ」


妃「あんたのそういうとこ嫌い」

姫「じゃあどんなところが好き?」

妃「ないわよそんなの」

姫「ええ! じゃあ私のこと嫌い?」

妃「今のところは嫌いね。嫌い」

姫「ががーん! でも妃ちゃんらしい言葉だから甘んじて受けちゃう」

妃「意味わかんないわよ……」


 *


帝「さて、そろそろ帰ろうか」

妃「結局全部終わらなかったわね……」

姫「あららー、残念」

皇「まあ、明日もあるからな」

妃「うっさい。あんたは何もしてないでしょ」

帝「あはは……さて、みんな荷物を持ったかい?

  鍵を閉めるから早めに出てもらえると嬉しいな」

姫「はーい」

皇「うむ」

妃「……はぁ」


 今日も、いつもの生徒会です。


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