第4話 フードコート

 一日中自転車を走らせていた俺らも、夏の暑さには、勝てなかった。


 一日中、近所のスーパーにある、フードコートで、涼みながら、無料の水を飲みながら、ただ、携帯をいじったり、ゲームをしたり、飽きたら恋バナで盛り上がったりしていた。


 こんな生活を繰り返していたのは、俺らだけじゃなかった。そこに行けば、大抵誰かしら同じ中学の奴らもいた。


 そして、合流しても何をするでもなく、集団が大きくなるだけだった。


「あ、はるか達おるやん!」

たくやがフードコートから見える、エスカレーターを見ながら言った。


 俺は、その言葉とほぼ同時に、ちーちゃんを見つけていた。


 心の中で、昨日の願いがニアミスで叶ったと思い、天に感謝した。この時にはもう、70%くらい、

クロッキーの力を信じていた。


「え、なにしてんの?笑」

 はるかは、たくや目掛けて言った。

「なんもしてなーい!笑」

 そう返すたくやを見て、その場にいた全員がニヤニヤしていた。


「お前、絶対はるかの事好きやろ笑」

 かずきは、目の前にはるかがいることなど、気にも留めていなかった。

「は〜⁉︎あり得んって!マジキモい!」

「は⁉︎私だってムリやし!」


 たくやとはるかは、怒りながら笑っていた。


 こんな、会話は何度も繰り返されていた。


 いや、何度も繰り返していた。

 少しでも長く続くように。




(明日も、会えますように)


 俺らが夏の暑さに負けても、郵便局の人は変わらずに働いてくれていた。

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