第3話 内緒

 あの頃の俺らは、ありとあらゆるものに好奇心と活力の矛先を向けていた。

 そんな俺らの持て余した何かを簡単に満たしてくれていたのが、「恋バナ」だった。


「ねぇ、絶対誰にも言わないでね?」

「うん」

「私ね、まさきのこと、好きなんよね。」

「マジ⁉︎いつから⁉︎」


 背が低く、声変わりも遅かった俺は、真剣な顔で話を聞いているだけで、女子からの信頼を、少なくとも他の男子よりは得ることができていた。

 だから、ある意味、学年一告白されていたと思う。


「ニュース!ニュース!あやねってまさきのことが好きらしいよ!!」


 そして、学年一嘘をついていたとも反省している。


「誰が誰を好き」という情報を仕入れて、誰にも言わないでいられるほど、大人な訳がなかった。


 そして、本人達を事あるごとに2人きりにして、

ニヤニヤしたり、冷やかしたりしていた。


 遊び方がころころ変わる中で、最悪なことに、この遊び方は飽きずに繰り返していた。


(次こそは、ちーちゃんの好きな人を知れますように!)


ラスト5分の願い事も繰り返していた。

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