第4話 女子
彼女の開口一番は
「ねえ、なんで返信しないの?」
「きずかなかった」
「既読になってたわよ」
めんどくさい奴だ。一心はせかすように用件を聞く。
「なあ、それより用件はなんだ?」
「なんですぐに出てくれないの~」
彼女は人格が変わったかのようにすごく甘ったるい声を出しながら言った。
「はあ?」
なんなんだこいつ。頭がおかしいとしか思えない。
「あら。甘えキャラは刺さらなかった?」
今度は、図書室にいたときのように色っぽい声で言いってくる。
「何がしたいんだ?早く要件を言えよ」
「告白されそうなのよ」
「はあ? だからなんだよ」
「わからないの?目立っちゃうじゃない」
「お前は目立つだろ」
「私がかわいいっていいたいのね」
彼女は色っぽい声のままける
「そんなことは自覚済みよ」
「切るぞ」
こいつを一瞬かわいいと思ってしまった過去の自分を殴りたくなる
「ごめんなさい。悪かったから、知恵かしてよ」
彼女は泣き出しそうな声を出しながら必死にあやまっている。と思いたかったが、絶対に演技だ。
だが、一心は会話を続ける。
「おい、その情報は何処情報だ?」
学校生活において確かな情報の発信源がわからないものは真剣に向き合う問題ではなくなる。だからこそ最初にこの質問をするのが的確だ。
「残念なことに本人情報よ」
どういうことだ。なんで本人情報を知っている。
「詳しく教えてくれ」
「たまたますれ違ったのよ」
場所なんかはどうでもいい
「誰が告白してくるんだ?」
「東条君」
東条といえばクラスで一番目立つ奴だ。サッカー部所属。成績も上の方。顔だちも整っていて、男女問わず慕われている。
いわばスクールカーストのトップに君臨する男だ。
当然のことだが彼は女子から凄くもてる。何度も告白されたというはなしを聞いてきた。
そんな彼が転入したての彼女に告白したらどうなるか火を見るよりも明らかだ。
恐らく彼女が恐れているのは告白そのものではなく、告白されたことによる影響なのだと思う。
女子は人気の男子に告白された時にどうしても浮いてしまう。それが転入したての人ならなおさら。
「それで、具体的に俺はなにをすればいいんだ?」
「本当はわかっているんでしょ」
「告白しないようにすればいいのか?」
「そうしてくれると助かるわ」
「とりあえず明日は図書委員を理由にして避けろ」
「わかったわ。ありがと。また明日」と彼女は足早に言うと電話を切った。彼女の声が少し震えていたのに気がついてしまう。
彼女のためにも明後日までに策を立てなければいけない。
一心はここまでの内容を整理し始める。女子特有の学校生活での抜け道を探すために。
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