第42話 サルンティス王国

 ジェイク達一行は夜になったので全員が魔法の屋敷にて宿泊する事になった。

 魔法の鍛冶屋と魔法の錬金場を利用しているのはミナラクであった。

 魔法の訓練所ではリックイとネイリが訓練している。

 倉庫から冷蔵室に飲み物を移動させているのがレイデンであった。


 ジェイクは冷蔵室がある事を忘れていた。

 なので先程倉庫から直接飲み物を飲んでしまったのだ。

 キンキンに冷えた飲み物のほうが断絶いいのに。

 次からは冷えた飲み物を飲むのだと決意した。



 ジェイクはソファーに座り。

 皆がそれぞれ寛いでいる中で、誰も一言も発さなかった。


 それだけ全員の疲労は尋常じゃないくらい消費したのだ。

 皆はあっという間にそれぞれの部屋で眠りに入った。

 10部屋異常はあるので今のメンバーなら間に合うのだ。



 ジェイクはソファーに座りながら、

 天井をじっと見ていた。

 謎のモンスターと暗躍する魔王と砂地獄の奥には何があるのか。

 

 色々な謎がある中で取り合えずサルンティス王国に向かっていた。

 そんな事を考えて、自分の部屋に戻り、眠りに入るのだ。


 朝になると。


 朝ごはんをそれぞれが食べ終わる。

 準備やストレッチなどを始めていく。

 ついに砂漠という地獄と相対する事になる。


 一行はすぐに疲れないように体力を温存する為、皆が無言であった。

 リックイとネイリのどちらかが居れば方向を見失う可能性はない。


 それとネイリは元々学長と呼ばれるくらいの凄い奴だったと言う事を思い出した。

 歩き続ける。ゴールは見えている。蜃気楼のあの向こうにサルンティス王国がある。

 後もう少しだと言うのになかなか着かない。


 

 ネイリの話だと。蜃気楼はそう言うものだという事。

 近づいていないように見えるが。星の位置を確かめると近づいている事が分かる。



 その時だった。地面が割れるような音がした。

 最初は亀裂が入る音だった。

 そこが砂地じゃない事にようやく気付いた。


 ジェイクは咄嗟に叫ぼうとした。しかし時は遅かった。


 大地に穴が開いた。

 そこは砂地獄の巣であった。

 巨大な化け物を想像していたのだが。そこには巨大な死体しかなかった。

 もちろん皆は尻餅をついて落下した。

 砂地な為さほど怪我をするまでではなかった。



 その地下はとても涼しかった。

 周りを見ると地下空洞のような場所だ。

 風が至る所から入っては出て行く。


 ここはどうやら砂地獄達の巣のようだ。

 至る所で砂地獄の死体が転がっている。

 巨大な竜のような姿。牙はずらりと並んでいるが。肌はさらさらになっている。

 翼はとてつもなく小さい。両方の小さい翼から空気が出るようになっている。

 そこから砂を飛ばして、獲物を落とすのだろう。


 砂地獄は沢山いる訳でなく、ドラゴン等と同じ様に珍しいモンスターとされている。


 その砂地獄が沢山死んでいる。

 この景色を生物学者達に見せて上げたかった。 

 そうすれば彼らは死因を調べたりしただろう。


「なぁ、上にどうやって上がる?」


 リックイがそう尋ねると。


「この地下を進むしかない。サルンティス王国に向かって地下は進んでいる。そこにしよう」


「元夜盗として助言するなら、こういう道は何が起きるか分からない、もっと空洞自体が崩れる恐れも、しかし無理に上って崩れてしまえば結果は同じ、なのでジェイク殿に従う」


 レイデンが彼女なりの分析で述べると。



「大丈夫、星や太陽や空が見えなくても、この地下は砂漠じゃないのだから、方向は見失わない」



 ネイリが頼もしい発言をすると。その場にいる全員が頷く。



「あの死体は解体しなくていいのか? ジェイク」

「ああ、やめておこう、死因が分からないからな」

「確かに、その通りだな」


 ミナラクが尋ねて来たので取り合えず簡単に返しておく。


 それからジェイク一行は空洞を通り過ぎ、地下通路の道へとたどり着いた。

 まるで砂を固まらせたような壁、触れてみると、ひんやりと冷たくて、レンガ並に頑丈であった。


 ミナラクがハンマーで殴り壊そうとしたので、皆で必死で止めた。

 


「ったく、素材を調べたかったのに」


「その前に生き埋めだぞ」


 レイデンが張りつめて言い放つのであった。


 彼等は歩き続ける。地下通路な為、熱さに苦しむ事は無くなった。

 皆で行軍を続ける事にした。

 まるで屍の中を歩いているような気がした。

 

 静かな音に虫や動物が動く音が反響する程度。

 モンスターは全然いないみたいだ。


 それが不思議だが、モンスター達はここが砂地獄の巣だと理解しているのだろう。

 ジェイク達は色々な物を見ても談笑はしなかった。

 なにかとんでもないモンスターが隠れていたら、先手を打ちたいからだ。 

 敵に先手を打たれたら死ぬ可能性だってあるのだから。



 そしてついに一行は辿り着いた。

 

 少しだけ豪華な扉が眼の前にある。

 なぜ地上に出るだけでここまでの豪華な扉なのか?

 宝石が塵ばみられ、古代語が書かれてある。

 凄く内容が気になるが。


 取り合えず扉を開ける事にする。

 扉は軽々と開いた。

 ジェイク達は外に出ると。


 明らかに王様的な人と王妃的な人と目があった。

 そこは玉座があり王妃の椅子もある。

 きょろきょろと見回すジェイク一行は。

 次の怒声ではっとなった。



「狼藉者だああああ。不法侵入だ。だれか捕まえろおお、砂地獄様の墓場から来たぞおおお」


 次の瞬間、至る所から警報が鳴らされる。

 いやいやここにいるだろ。


 かくしてジェイク達は捕まってしまった。

 まさかサルンティス王国が砂地獄をあそこまで大切にしているとは、考えていなかった。

 考えていたとしても、出口が王の間だなんて信じられない。

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