第40話 ギルド名(時計の針)

 受付嬢にてギルドについて尋ねると。



「ではギルド設立に必要なのは10万スキルポイントです。これはギルドメンバーと協力して出しても構いませんが」


「ああ、それなら大丈夫だ」


「はい?」


「いや、10万ポイントは余裕であるけど」



 仲間達にも受付嬢にも色々と説明はしてある。

 時間経過ごとにスキルが上昇するという事は。

 それを現実に見せられると、その場の全員は驚いてしまうのだろう。



 ネイリもまさか10万が余裕だとは思っていなかったみたいだし。

 ミナラクはフリーズしているし、リックイとレイデンはゴーレムのようにかくかくになっている。


 受付嬢はにこにこしているが、手が震えている。



「では、ギルドの拠点を設立する事が出来ますが、これが物件でして、すべてスキルポイントで購入できますが」


「いえ、スキルで魔法の屋敷があるので」


 またもや受付嬢はフリーズしてしまい。



「ちょっと待ってください、その魔法の屋敷とはあの伝説の魔法の賢者がいたとされる?」


「そこまでの知恵はありませんが、魔法の屋敷です」


「あははははははは」


 受付嬢がついに壊れたようになってしまう。



「では設備を整える為に設備を購入する事が出来ます。もちろんスキルポイントで支払いが可能です」


「ほーなるほど色々あるんだな、魔法の屋敷の中に色々と設備があったんだが、魔法の鍛冶場とか魔法の錬金場とかその他にも沢山」



 またもや受付嬢がフリーズしている。

 この人大丈夫かなとジェイクが心配していると。



「では後で足りない所を補っていきましょう」


「そうしよう」



「ではギルド名の名前を入力をこの文字盤に書いてください」


「了解した」



 ジェイクは迷いもなく【時計の針】というギルド名にした。

 仲間達もそれには反対してこなかったので、大丈夫であった。


 

「時計の針ですか、あなたらしいギルドですね」


「はい」


「ではギルドが設立されました。おめでとうございます。ギルドの魔法の屋敷の説明はしますか? 一応リストにはあるので」


「お願いします」



「では、魔法の屋敷とは異空間にあるとされます。メンバーはどんな所でもギルドに戻る事が出来ます。先程の場所に戻る事も出来れば別な場所に出る事も出来ます。それは扉をくぐったギルドメンバーの魔法力で判断されます。魔法力でこの魔法力の人はここから出て行ったっけとかと記憶されます。後は共有の金庫とか倉庫とかを利用できます。その他については実際に見た方がでいいしょうが、大きな風呂場があるそうです」



 受付嬢の長い説明が終わると。

 ジェイク達はこくりと頷きあっていた。


 お風呂場の話で獣人族のネイリと元夜盗のレイデンが瞳を輝かせていた。

 


「1ついいか?」


「はい、なんでしょう?」


「魔法力についてだが、一度行った場所なら基本はいけるとなっているが、それを仲間に電波する事は出来るのか? 例えば僕が山にいったと、そして仲間も山に行けるようにできるか?」


「もちろんできます。魔法力は仲間にも伝播するので。それを判断するのはその出口の扉です」

「ありがとう、色々とすまない」


「気にしないでください」



 受付嬢がこくりと生唾を飲み込んでいる。

 それだけ魔法の屋敷はすごいスキルのようだ。

 スキルでギルドの拠点となってしまっているのだから。



「ではもう1つ聞こう、今、砂漠地帯で何か問題があるのか?」


「はい、砂漠地帯では砂地獄が大変になった時がありました。ですが冒険者達がなとか砂地獄の幼虫を討伐する事に成功しました。その砂地獄の下から、見たこともない化物が出て着たのです。その数はおびただしい数です。魔王ではありませんし悪魔でもありません、いわゆる今まで認知されなかったモンスター達です。奴等は近くのサルンティス王国に侵攻を始めました。サルンティス王国はモンスターの侵略により滅ぼされようとしている。なので沢山の冒険者を募集しているのです。もちろん魔王を見かけたという情報もあります。これはジャイガーが見つけました。ジャイガーはいたる国に旅に出ておりますが。毎回知らせに魔王がいたとされています」



 受付嬢のとてつもなく長い説明で、ジェイク達はあらかた情報を理解していた。

 めちゃくちゃ簡単にするとサルンティス王国に未知のモンスターが侵略していると、それに魔王の影がちらつき、冒険者を沢山雇ってサルンティス王国を守ろうとしている訳だ。



「なら、僕達はそのクエストを受けるよ」


 ギルドメンバーの中でギルドリーダーとは一番特権を持っている。

 周りが相談してそれを決めるのがギルドリーダーとされる。

 今回は相談する時間も惜しいので、即座にジェイクが決断した。


 

 それだけ皆の意思がひしひしとギルドリーダーであるジェイクに伝わっていたのだ。


「では必要最低限の装備をお渡ししますので、こちらに来てください」



 受付嬢は隣の区画まで進んでいく。

 もちろんカウンター越しではあったが、彼女は大きな袋を5つ持ってきた。

 ここはどうやら支給品コーナーのようだ。


 そこでカウンターの向こうから袋を置いていく。


「これが砂漠の熱を逃がす特殊防具です」


 ジェイクは袋から水色のコートを引っ張り出した。

 その水色のコートを身に着けると、体がひんやりとした。



「冷風魔法がかけられています。基本的に1年くらいは持つとされておりますので、これを着用すれば、極度に喉が渇いたり、熱中症や脱水症状で死ぬ事はないでしょう、しかし飲み物はアイテムボックスに沢山入れておくことをお勧めします」


「色々とありがとう」


「いえ、冒険者達に危ない道を走らせる時は受付嬢がそのフォローをするのです。受付嬢は一緒に戦う事は出来ません、ですがあなた達の知恵となり道具を支給する事が出来るのです」


「そうだな、お互い頑張ろう」



「はい、お互い頑張りましょう」



 ジェイクの発言に快く答えてくれたのはいつもお世話になっている受付嬢だった。



 次にジェイク達が行ったのは。水を補給する事だった。

 沢山の水を購入しては、アイテムボックスに仕舞う事を忘れずに。

 これでもかと魔法の屋敷にも飲み物と食べ物を購入した。


 ちなみにジェイクの資産はありえない額になっており、なので沢山の水では資産が尽きる事は無かった。



 もちろんそれはネイリもミナラクも同じであり、リックイもレイデンも同じであった。

 この4名は魔王討伐に関わったおかげで、冒険者ギルドからありえない額の物を貰っている。

 

 もちろんジェイクも冒険者ギルドから出るときに報酬金を貰っている。


 現在は魔法の屋敷に皆で一緒に寛いでいる。



 ネイリとレイデンがお風呂に入って優雅にしている間。

 ミナラクは魔法の鍛冶場と魔法の錬金場に感動している。

 一方、地下ではリックイが魔法の訓練場に驚きつつも、さっそく修行を始めている。


 お風呂は男湯と女湯に分かれており、間違って女性の裸を見て半殺しはないだろう。


 ジェイクは水等を保管する所を探していると。

 それを発見する。大きな扉であり、ゆっくりと開くと。

 中はとてつもなく寒い所があった。

 なんと冷蔵室があったのだ。その奥には凍り付くような空間の冷凍室まであった。


 とりあえず食料や水や飲み物を冷蔵室に入れていく。

 冷凍室に入れないといけない物は今は無いので大丈夫だとして。



 それぞれの至福の時を過ごしたのち。皆が3時間後には広場に集まっていた。

 ネイリとレイデンは清々しい顔をしているし、肌艶もよさそうだ。

 リックイは全身がべっしょりとなっているが、訓練の成果だったりする。

 ミナラクは魔法の鍛冶場をどうやって使用するかで考えていたようで実際には製作していないようだ。

 ジェイクはと言えば色々と物をしまったりするのに忙しかった。



「さて、次の舞台となる砂漠地帯に行く覚悟が出来た奴はいるか」


 全員が手を上げる。



「なら、いっちょ行ってやりましょうか、謎のモンスター、見え隠れする魔王。砂地獄の底に何があったのか、冒険心がくすぐられるね」



 ジェイクの心を沸き立つ中。



「ところで砂漠地帯はどっち方面だ?」



 その場の全員がぶっこけたのであった。


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