第31話 レイデンは実は女!!

 ジェイクに弟子入り頼んできた貴族でありA級冒険者のリックイと元夜盗であり今でも夜盗と繋がりがあるA級冒険者のレイデンを弟子にする事にはした。


 

【師範代】スキルを発動させ、この2人に2個ずつのスキルを習得させる事にした。

 


 貴族のリックイには【強化ブースト】S級と【絶壁の鎧】S級を覚えさせる為の修行を始めさせていた。


 一方で元夜盗のレイデンには【風纏い】S級と【風付与飛行】S級を覚えらせる為に修行を始めさせた。



 実はこの4個のスキルは結構習得が難しいとされ、こんなチャンスはないと2人は喜んでいた。

 

 しかし【師範代】スキルが導き出した修行メニューに2人は悲鳴を上げそうになっていた。

 それでも2人はもっと強くなる為に力を磨こうとしていた。


 

 ついでだからその性根が腐っているのを叩きなおしておいた。

 

 なぜか恐怖の眼差しで犬の獣人族のネイリとドワーフ族のミナラクはそちらを見ていた。


 ちなみに修行する場所はモゼス町のすぐ側の草原であった。

 そこには大きな牧場があって、牛のようなモンスターを世話している酪農家の人がいた。

 もちろん近くには畑もあった。



 なぜか世の中では魔王が復活したそうで、あちこちで戦争が始まっているとの事。

 恐ろしい世界になったものだと、ネイリとミナラクでお茶会を開いていた。


 

 ちょっと離れた森には2人が修行をしている。

 それを師匠であるジェイクがただ眺めながら、薬草茶を飲んでいた。

 これを飲むと体の節々が動きやすくなってくる。



 別に爺になっている訳ではない。


 

 ちなみにこうしてゆっくりと時間を経過させると、スキルポイントが勝手に上昇していくいので、凄く楽でいい。1億スキルに達しそうになってきたので、そろそろ何かのスキルを覚えたほうが節約になるだろうと思うのだが。

 


 今はスキルよりかレベルとか装備を製作したほうがいいだろうか?


 

 ジェイクは腕を組みながらじっくりと考えていた。

 すると森から悲鳴が上った。


 弟子の身の安全の為にジェイクは走り出す。



「ネイリとミナラクは来ないのか?」


「あたいはここでお茶を飲ませてもらうよ、きっとジェイク1人で解決出来るから」

「俺様はちょっと人生に疲れたよ」


「そ、そうか」



 一瞬で到着した先には全裸になった美少女がいました。


 ジェイクは頭が???マークばかりがついていた。

 こんな美少女を弟子にした覚えがない。

 顔やそのボディーに目を光らせながら。



「師匠、あまり見ない方が、レイデンが悲しみます」



 ジェイクの視線を止めたのが貴族のリックイであった。


 取り合えず衣服を身に着けたレイデンとリックイとジェイクで三者面談が始まりました。


 

 3人は椅子もテーブルもない森の中にある大きな木カブにぐるっと囲んでいる。


 

 レイデンは顔色を真っ赤にさせながら下を見ている。

 リックイが説明してくれる事になったのだが。



「レイデンは元々女性だったんですけど、冒険者になる時に女性だからって差別を受けたのです。この地区にはあまり差別はありませんが、少し離れた地区ではレイデンは差別の対象でして、それからぐれて女性の夜盗に入ったんだよな?」


「そうだぜ、わりーかよ、僕は女だ」



 なぜかレイデンは開き直っていたが。



「所でなぜ全裸になった」


「背中に虫が入ったから、取ろうと夢中になっていたら、素っ裸になってしまった」


「そうか、僕は女性だからとか、男性だからとか差別するつもりはない、君達2人が僕の覚えているスキルを学んだらやりたい事を聞かせてくれ」



 貴族のリックイと元女夜盗のレイデンは考え事をするようにうわの空になっていた。



 それから数日が経過し、トータルで1週間が経過した。



 ジェイクはレベル1100になっていた。スキルポイントを1億使用する事により、100レベルも上昇してしまったのだ。簡単に言えばレベル1の人が100に一気に上昇する事だ。



 しかもお茶会をしながら仲間達と談笑をしながらレベル上げと言う、怠け者もびっくりとはこの事だろう。



 リックイとレイデンが眼の前に正座で座っていた。

 なぜ正座なのかは知らないが、真っ直ぐにこちらを見ていたのだ。



「師匠、スキルを習得しました」

「僕もです。師匠」



 2人は真っ直ぐにこちらを見ている。



「俺様は貴族とは偉くて、いばりちらせればいいと思っていた。だけど師匠のようなめちゃくちゃな人と出会って、自分の価値観が間違っている事に気付いた。俺様はめちゃくちゃになる為に、めちゃくちゃな師匠とめちゃくちゃな旅に出たいのです。結果めちゃくちゃになってでもです」



(リックイ君、その説明だと僕がめちゃくちゃな師匠で、人権もめちゃくちゃな師匠ではないか、それは誤解を生むので、今後気を付けるように言いたいが、これ以上おかしくなって、リックイの両親に狙われたらやばそう、貴族の本家はこんな誤解を生むリックイを育てたのだから。さらなる誤解が、あああああああ)



「師匠、俺様をめちゃくちゃにしてください」


「それだと僕が変態じゃないかあああああ」



「違うんですか、今後一緒に旅に出たいだけですが、何か?」



「それを普通に言いましょう、めちゃくちゃにしてくださいって」



 後ろでは獣人族のネイリが口を押えて爆笑している。

 覚えてろよと思ったら、ドワーフ族のミナラクがなぜか穴を掘っている。

 そこに隠れている所を見ると笑っていたようだ。覚えていろよ。




 次に発言したのはレイデンという女性であった。



「師匠は僕を1人の女にしてくれました。全裸を見られた時は興奮していました」



「いえ、僕はあなたを女にした記憶がないですが?」



「ぶほ」



 後ろではネイリとミナラクが爆笑している。



 これでもかと続くマシンガントークにジェイクは悲鳴を上げそうになる。



「師匠の熱い眼差しが最高でした」

「いえ、あれは師匠として見守っていただけだよ」


「師匠の眼差しはまるで太陽のようでした」

「それが直射日光だからね」


「師匠と色々な事をしてみたいので仲間にしてください」



 貴族と元夜盗はこちらを真っ直ぐに見つめている。

 瞳はキラキラと宝石のように光っている。



「仲間にするのは結果を見てからだ」



 2人はこくりと頷いた。

 まず最初に手を上げたのはリックイであった。

 彼は【絶壁の壁】S級と【強化ブースト】S級を同時に発動して見せる。 

 全身から吹き上がる生命エネルギーの波動のような物。

 絶壁の壁になる事で全身の防御力は遥かに上昇させる。

 それを強化ブーストでさらに跳ね上がらせる。



 試しにとジェイクは石を投げて見る事にした。

 思いっきりぶん投げると、額にヒットした石ころは草原を転がり。


 がくんと最強の防御力なのにぶっ倒れたリックイ。

 どうやら彼は気絶しているようだ。



「あはは、僕がレベル1100と言うの忘れてた」



 その場にいるネイリとミナラクとレイデンは恐ろしい化け物を見るかのようにこちらを見ていた。

 が3人は爆笑していた。



「では次頼むぞ」

「はい、師匠、もっと僕を女にしてください」

「それは関係がないからね、誤解を生む発言はやめなさい」


 

 そんな言葉など耳には届かずと言った雰囲気で、レイデンはスキルを発動させた。


【風纏い】S級と【風付与飛行】S級を発動して見せるレイデン。

 彼女の体の周りには風が纏い始める。

 それは風の鎧のようだ。



 体中の風纏いをイメージしながら、風飛行をするのは結構難しい。

 レイデンは上手く空を飛翔した。

 そしてそのまま台風に巻き込まれたかのようにしっちゃかめっちゃかに飛行を始める。


 それでも上手くコントロールしている所が凄い所だ。


 

 ただ1つ間違えるとしたら着地の時に頭から着地した事だ。

 レイデンはそのまま深い眠りに入った。

 正確には気絶してしまった。



 リックイとレイデンの2人とも元々はジェイク達のC級テストの対戦相手であった。

 あちらは恐らくA級クエストとしてジェイク達の相手となってくれた。

 なぜか2人を弟子にしてしまい、あまつさえ仲間にしてくれという。

 本当にめちゃくちゃな話だと思った。



「まぁ良いじゃない、新しい仲間が増えるのはとてもいい事よ」

「ネイリがそう言うなら仕方がないな」


「兄貴は永遠の兄貴ですから」

「なんだよお別れのような話をして」


「冗談です」



「ほら起きろ」



 気絶しているリックイと気絶しているレイデンを叩き起こすと。

 2人はこちらを寝ぼけ眼で見ていたが、ジェイクの後ろの何かを見て絶句している。



 ジェイクはゆっくりと振り返ると。

 そこには巨大な化物がのっそりとモゼスの町へやってくる。


 

 大きさ的には豪華な屋敷そのものと同じくらいだ。


 ジェイクは恐る恐る鑑定する。



「嘘だろ、また魔王が」



 そいつは魔王だった。



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