第29話 スキル習得再び
最後の戦いは悲惨なものだったと噂が流れた。
それはA級冒険者のリックイが何も出来ずに負けたという事であった。
リックイは断末摩を張り上げて化物でも見るかのようにジェイクを見ていたそうだ。
という話が流れた。
ジェイクはその噂話を止めるつもりもないし、それはリックイが相手を見下す事を辞めてから気付ける事なのに違いないと思っていた。
ジェイクとネイリとミナラクは冒険者C級ランクに到達していた。
これから受けられるクエストはDクエストより難しくなっている。
あの恐ろしい迷宮を突破したジェイク達にとっては軽いものなのだ。
「そうだ。ギルドマスターが会いたいそうよ」
「そ、そうですか」
ギルドマスターの所に案内されると、ぴっちりと礼服のようなものを着こなしているマッチョがいた。
そのマッチョは明らかに試合の審判や開始の合図を送っていた人だと知った。
「ネイリ嬢、お久しぶりです。あなたを見た時またあの戦争が始まるのではないかと怖くなりました」
「あなたは、まさか、ロクなのね、あの可愛らしいロクがこんな恐ろしいマッチョに」
「ネイリ嬢が死んだと聞かされて、いつか神ダンジョンに挑もうと思っていました」
「それはやめておいた方がいいわ、あそこは普通の者が行ける場所ではない」
「例えばジェイク殿のような?」
その言葉で3人は沈黙を保った。
「すみません、余計な事を言いました。今回来てもらったのは挨拶の為です」
「挨拶ですか?」
ジェイクが尋ねると、ロクギルドマスターはこくりと頷く。
「あなたはとんでもない人を怒らせたのです」
「誰だろうか?」
「兄貴あれっすよ、姉御の風呂場を覗いたんでしょ」
「それはやってないぞ、ミナラクよ、お前がやったのでは?」
「なんとネイリ嬢の裸は一度見て見たく」
「話がずれているわよ」
「ごほん」
話をまとめると。
リックイの父親である貴族の人がジェイクの事を捕まえようとしているらしい。
それとレイデンの仲間達が集ってミナラクを捕まえようとしているとの事だ。
ネイリだけは何もなかった。
「これはこちらの落ち度でね、リックイはちゃんと負けを認める人だと思ったんじゃ、彼、最近は好青年のように人生をがんばっていた。だけどジェイク殿がここまで強いとは想像していなかった」
「つまり戦って魂と魂をぶつからせあうような?」
「その通り」
「それをすると僕は彼を殺してしまう」
「それが知らなかった。君のステータスは全てが???となっている。鑑定すら受け付けないのだ」
どうやらとんでもない状態のようだ。
「ミナラク殿が倒した相手は元夜盗であり沢山の仲間という繋がりをもっているのだよ、プライドを気付つけられたからと君を暴行する事しか考えていない」
「ふん、かかってこい」
「100名を超えても?」
「兄貴助けてくれえええええええ」
ミナラクは即座に逃げる事にした。
「そして今、貴族と元夜盗達は手を組んだ。200人のチームでもって君達を殺すそうだ」
「ロクよあんたこれ楽しんでるでしょ」
「いえ、偶然起きた悲劇です。こちらにはあなた達を守る義務がありません」
「ようは逃げるって事ね」
「あなた達には彼等を倒して貰うしかね」
ジェイクはだんだんとこの作戦を掴めてきた。
つまりロクギルドマスターはジェイク達がこのように異常に強い事に賭けた。
ジェイクのステータスが???尽くしであるからだ。
その結果、ジェイクは貴族リックイを何もしないで倒してしまう。
リックイはプライドを傷つけられて、こちらに復讐しようとする。
予想外だったのが夜盗達だろう。まさかミナラクまでもがここまで強くなっているとは。
想像だにしていなかったのだろう。
ネイリは偶然の産物だし。
そしてロクギルドマスターが求める事。
この町から貴族と夜盗を追い出して欲しいという事。
「だいたい分かりました」
ジェイクは立ちあがった。
そして微笑む。
「ネイリとミナラクは受付嬢さん達を守ってあげて」
「でもいいの? 1人だと殺しちゃわない?」
「ちゃんと考えたからさ、話している間にスキルで自己会議を開いた。このスキルがいいだろうって」
ジェイクはスキルを4個習得していた。
それでもスキルポイントは数千万は残っていたのだから。
========習得追加==========
手加減【手加減して攻撃する事で殺さない】
神目【偽装や隠蔽を無効化】
竜の翼【背中に翼を出現させ無限に空を飛べる】
円卓率【周囲の全ての範囲にある生命を察知】
======================
たった4個のスキルだけど、1億のスキルポイントを殆ど消費するという恐ろしいスキル達なのだ。使い勝手は時と場合によるだろうけど。
今使えるとしたら【手加減】と【神目】と【竜の翼】と【円卓率】だ。
この4つを上手く活用して、予め習得してあるスキルを使って戦い抜こうと。
これなら間違っても殺さないだろうと思っていた。
沢山の冒険者達がびびって建物の中に避難している。
この建物がちゃんとした防音設備になっているおかげなのか、外からくる罵詈雑言の声は通していなかった。
ジェイクは扉を開けようとする。
それを止めたのが。1人の男性であった。
彼はこちらを見ると。
「やれるのか? 敵は貴族と夜盗どもだし、倒したとしても難癖を付けて指名手配にされかねない」
「それでも倒す必要がある。あいつらには本当の強者について教えねばならぬ」
その男性はこくりと頷いてくれた。
ジェイクの右手を放した彼は真っ直ぐに受付嬢の所に向かった。
「ジャイガーさん、お帰りなさいです」
「今回の外の件もそうだが、まじった事になったぞ」
「どうしたのですか?」
別な受付嬢が聞いていると。
ジェイクは扉を開こうと。
「あちこちで魔王が復活した」
扉が開かれた。
「どうやら色々と仕事が増えそうだぜ」
ジェイクはにかりと笑っていた。
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