第26話 久しぶりのモゼス町
その朝早くのモゼス町の景色がたまらずにジェイク一行はにへらと笑っていた。
炎の魔王を討伐した事により、沢山の人々がジェイクとネイリとミナラクにサインを求めて殺到してきた。
ちなみに神領域を解いたジェイクは手を振りながら昇天して行く賢神オルディンを見送った。
髭とぽっこりお腹は消滅していた。
ちゃんとオルディンが髭とポッコリお腹を持って行ってくれたのだ。
帰り道も色々と煩いので、ネイリとミナラクを背負って猛スピードで走った訳だ。
【移動スピード上昇】スキルが活躍した時だった。
モゼスの街に到達するくらいには太陽が昇ってきたという事だ。
ジェイク一行は背中に太陽の光を受けながらやってきた。
人々はさほどおらず、炎の魔王騒動についてはさほど問題ではなかったようだ。
まさか凄い近くのダンジョンでそいつが暴れていたとすら思っていないのだろう。
運が良かったのは、討伐者の名前をあの神の声みたいな奴が発言していなかった事だ。
もしあの時ジェイク達の名前が出てたら、どこに行こうと好機の眼で見られ、サインを求められるか、弟子にしてくださいと言ってくるうざったい奴等がいただろうに。
「なんだか深いダンジョンに潜っていたから、どのくらいの日数が経ったか分からなくなるわね」
「姉御、正確には数日です。1週間程かと思われます」
「ミナラクはいつも女性の夢を破壊するわね」
「すみません、姉御があまりにも頭がとんちんかんだったので」
「じゃあ、受付嬢さんの所に行こうか」
「あんた毎回受付嬢さんの所に行くたんびに笑顔だね」
「色々と世話になってるからね」
「まさか兄貴は受付嬢に恋愛感情を」
「それは秘密だ」
ジェイクは笑顔で本当の気持ちを隠しながら。
3名は冒険者ギルドにやってきた。
ここは24時間制なので、いつ来てもいる。
しかし受付嬢は交代制だ。なぜかジェイク達がくるといつもお世話になっている受付嬢になる事が多い。
扉を開けると、人々はまばらにおり、それぞれが朝飯のトーストアイスを食べていた。
受付嬢の所にやってくると、やはりいつもの受付嬢がいた訳だ。
彼女はこちらを笑顔で見つめて。
「おはようございます。久しぶりですね、確か機械窟の無限扉に行っていましたよね、何かあったのですか? 衣服なども着替えが出来ないくらい」
ジェイク一行は事情を説明する事に。
人に聞かれると問題があったが、丁度、冒険者達は全員がいなくなっていた。
4人パーティーメンバーの裏切り行為と1つのダンジョンの遥か下には別なダンジョンがあった事。そこの名前を【真実の迷宮】という場所であった事。SSSランク越えばかりのモンスターと命がけのバトルをした事。
真実の迷宮と機械窟の無限扉の真ん中ら辺で無限扉らしき物が開かれて、異常なモンスターが表れた事。その一体の魔王の化身が強すぎる事。そいつが地上に向かって、裏切ったパーティーを皆殺しにして、他のパーティーも殺したい放題だった事。
ジェイクが地上に出て圧倒的な力で倒した事。
それは【神領域】というスキルだった事。
スキルの事についても簡単にまとめて説明した。
前にも言った可能性があるが時間でスキルポイントが上昇するのだが、命の危険などになると、急激なスピードで上昇する事などだ。
それを利用してジェイクはレベリングをした事。
そのレベリングの結果すぐレベルが1000になり、スキルポイントが1億となった
「そ、そうですか、レベルが1000でスキルポイントの最大値が1億で、現在も1億あるのですか?」
「ああ、フルで溜まってるよ、あの後スキル習得一覧を見たら。数えきれない量のスキルがあった。意味不明なものばかりで、今は習得しない方が良い奴もあった」
「なるほどですねぇ、レベル300なら実例はあったのですが、レベル1000は聞いた事がないですね、しかもスキルポイントは基本的に生涯で30万ポイントが最高値ですしね」
「やっぱりジェイクは普通じゃないのよ」
「兄貴は凄いっす」
ネイリはわくわくした目でこちらを見ている。
まるでモルモットを見ているような目であり、ジェイクを実験に使う気まんまんの表情だ。
一方でミナラクは彼までも強くなった気でいるし、彼の凄い所は武装解除という普通じゃ考えられないスキルなのだ。そこを生かしてもらいたいと思う。
「ですがこれはチャンスなのではないでしょうか、今までレベルが足りなくて攻略出来なかったダンジョンや新しいフィールド、または行った事のない場所にまで到達できるかもしれませんよ」
受付嬢の夢のある話にジェイクもネイリもミナラクも夢に包まれて喜んでいた。
「ですが、今はDランクからCランクに上がる事を考えましょう、素材系はどうしますか? いらなければこちらで買い取りしますが」
「いえこちらで使うので大丈夫ですと言いたい所ですが。素材は全て売ります」
ネイリとミナラクが驚いた表情をしている。
「僕が使うスキルでは素材はスキルポイントに変換されています。なので素材は必要ありません、必要な方が使用して頂ければ幸いです」
これからも仲間達の武器や防具はジェイクが作って行くつもりだし、錬金もあるからポーション系も自分で何とかなる。
本当にスキルを覚えまくるという事は、とてつもなく便利な事なのだと理解してきた。
「では、買取しますね」
ジェイクはアイテムボックスから取り出す沢山の素材アイテム。
どれもがSSSランクを超えているので、受付嬢は真っ青になったり、あたふたしたりしている。
今の時間でなかったら野次馬が集まって大変な事になっていただろう。
まだ太陽が昇ったばかりで、時間的には5時くらいなのだから。
「これが報酬金となります」
大きな額のお金が入った袋を貰った。
それを3等分する事により、儲けを3人で分けた。
「いいの? あたい達は殆ど何もしていないけど」
「いいんだよ、いるだけで習得条件になってるみたいだから」
「兄貴はこう言いたいのです。スキル習得条件で仲間が必要って事を」
「なるほどねぇ、そんな所にまであったのか、基本的にはあたい達は条件を知らないからぶっつけ本番だけど、あんたはそれを見る魔法の本があるものね」
ジェイクはこくりと頷いた。
「ではCランク昇格試験を3人同時で受けて見ませんか?」
ジェイク一行の新しいイベントがやってきた。
それがCランク昇格試験であった。
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