第20話 圧倒的な強さ
ジェイクとネイリとミナラクは相談しつつ休憩が終了した。
3名はダンジョンの階層事にある階段を上る為に。
階段を探すという事を繰り返していた。
もちろん3人いるからって分裂して探せば、モンスターに簡単に殺される。
なので3人は1つの塊となって慎重にダンジョンの探索をしている。
その階層にはどうやらモンスターがいなかった。
また階段を探すべく歩く。
次の階層に辿り着いた時、目の前に階段があった。
それを昇ると、とてつもなく大きな広間に到達した。
ここだけでもドラゴンが20体くらいは入る事が出来るのではないだろうかと思わされる。
まぁドラゴンで大きさを例える事自体が変な事ではある気がするのだが。
松明が灯されていない空間であった場所が。
次から次へとドミノのように松明がともりだした。
そこにいたモンスターにジェイクもネイリもミナラクも度肝を抜かれていた。
そこには巨大なカエルのように太ったドラゴンがいた。
そいつはこっちをぎょろりと蛇のような瞳で睨みつける。
ジェイク達はぞっと恐怖を抱いたが、蛇に睨まれるように動けなくなる訳ではなく。
単純に睨んできただけだと分かる。
「ネイリとミナラクは援護を頼む」
「任せてください」
「任せな」
ジェイクは走り出した。
後ろに並走しているのはネイリであった。
「うらららららら」
ミナラクがハンマーで空間そのものを叩く。
【空間飛ばし】という力で、空間事吹き飛ばして空間の圧力でもって敵に対して攻撃を与えるというもの。このスキルは習得が難しいとされる。ジェイクもこのスキルはいつか覚えたいと思っている。
ミナラクは先程の異常に強いモンスターを倒した事によりスキルポイントを大量に手に入れる事が出来た。ジェイクが倒したとしても、仲間として自動登録または手動登録されているのでネイリにもミナラクにもスキルポイントは付与される。
ちなみにジェイクにもスキルポイントは付与されている。
時間経過によりスキルが上昇もしている。
ある程度の区切りがついたら習得可能スキルからスキルを習得して行こうと思っている。
ジェイクの楽しみはこのモンスターを倒した先にある。スキル習得であった。
思考回路を先頭モードに移行しつつも。
後ろではネイリが並走している。
ジェイクは強化ブーストS級を発動させると、体のあちこちが動かしやすくなる。
そのまま竜眼剣を構えていた。
強化ブーストのおかげで、ジャンプ力が上昇していながらも、屈伸の力で持ってジャンプする。
カエルのようなドラゴンの巨大な口がゆっくりと開かれる。
口の中に斬撃をぶっ放そうと思うのだが。
そこから炎の煙が上がっている。
次の瞬間、爆発し続ける炎の塊がこちらへと向かってくる。
その炎の塊は巨大すぎる為、避ける事も出来ない。
もはや防御そのものでしか出来ない。
絶壁の鎧S級を発動させると、防御力が9倍に跳ね上がる。
それでもこちらが無事でいられる保証はない。
Cランクの炎の塊なら、さほど大きくはないし、威力もない。
Bランクの炎の塊なら、少し大きな建物を破壊出来るぐらいだ。
Aランクだと今の炎と同じくらいである。
Sランクだと国を破壊出来るぐらいの災害級の炎の塊となる。
この炎の塊はS級ではない事は確か。
それなら、この空間そのものが焦土と化してしまうのだから。
ジェイクは人生を賭けるのだ。
この炎が魔法防御シールドS級で防ぐ事が出来るというもの。
そしてそれがもたらす思わぬ副産物についても。
全身が炎に包まれる。
ネイリとミナラクは後ろで待機。
ネイリは後ろから迂回してドラゴンの後ろに隠れたようだ。
ジェイクの全身が爆発する炎で包まれていながら。爆発という衝撃が全身に襲い掛かる。
激痛はない、衝撃で少しだけ心臓が爆ついているだけではある。
炎の渦のようなものを見ているような気がした。
赤い炎ではなくてどことなく青になりそうな色。
それは灼熱を超えそうな炎の威力だ。
だがジェイクの周りには透明なシールドのような物が展開していた。
つまりそのシールドで爆発する炎の塊を吸収したという事だ。
全身がほてってくるくらい暖かくなる。
マジックポイントを見ると、最大値を遥かに超えていた。
こんだけのマジックポイントをどうやって使えばいいのか疑問だらけではあるが。
その時だった。カエルのようなドラゴンが咆哮を上げた。
ジェイクは奴の事を鑑定する事を忘れていたので。
即座に鑑定する。
【島食いドラゴン:SSSSランク】
島食いドラゴンはこちらを見ながら咆哮を発した。
島食いドラゴンはこちらに突撃してくる。
どうやらネイリが何かをしでかしたのだろう。
後ろから爪に氷のような魔法を付けながら走って来るサディスト卿がいた。
そいつはネイリであった。
島食いドラゴンはこちらに突撃して攻撃をしかけてくるのかと思ったが。
そのままスルーした。
もちろんミナラクの空間飛ばしすら無視していた。
巨大な広間をとことこと短い両足と両手で逃げ回るその姿は、まるでカエルのようだった。
「まったく氷の爪でもダメですか」
「ダメじゃないから逃げたのでは?」
「兄貴の言う通りです」
「なるほど、氷の爪でやらせてもらうわ、それに新しいスキルを習得したから使ってみたくて」
「それは良い事だ」
「実は俺様も新しいスキルを使っているのです」
3人がぶつぶつと会話しながらでいると、島食いドラゴンはこちらを真っ直ぐに見ている。
正確にはジェイクとネイリとミナラクである。
島食いドラゴンは咆哮を再び発すると、こちらに向かって突進を始めた。
「お前は猪か何かなのか」
「意外と猪より突撃カエルの方がいいかもよ」
「姉御もそう思いますか、あれは突撃のカエルです」
「では散るぞ、どうせ敵は1体だ」
「こっちは任せて」
「兄貴も姉御も死なないでください」
「「たりめーよ」」
3人が散ると、島食いドラゴンは真ん中にいるジェイク目掛けて突撃する。
普通にアレを食らったら即死は免れる事は出来ないだろう。
体がぐちゃぐちゃになって、踏み潰されて、島食いドラゴンの餌となる。
それが最悪の未来だ。
しかしそのような事にはならない自信がジェイクそのものには存在していた。
現在ジェイクの武器は武器変換専用倉庫に格納されている。
右手と左手を宙に上げると。
そこに水魔法をイメージしていく。
強大なマジックポイントを上手い具合に使う方法を思いだしていた。
ドラゴン等といった蜥蜴類は冷たい事に弱いとされる。
恐らく冬眠してしまうからではないかという本の題材に書かれていた事を思い出す。
だからといって少量の水程度なら大丈夫なのだろうけど、今からジェイクがやる事は、少量どころでは済まされない事であった。
マジックポイントが溢れていた。
それを全て消費すぐ勢いで両手に注がれる水魔法の量が膨大に膨れえる。
ここまで島食いドラゴンが到達する前に高速で水の塊は膨れ上がる。
「嘘でしょ、あたいたちの意味がないじゃない」
「さっすが兄貴っす、で俺様達の意味が」
「意味なんて既になかった」
「「ひど」」
2人の仲間が突っ込む中。
ジェイクは巨大な玉を解き放つ。
すると津波のように押し寄せる水の塊。
島食いドラゴンは絶望の声を上げる。
部屋自体を埋め尽くす水という水。
ジェイクもネイリもミナラクもびしょびしょになりながら。
島食いドラゴンがゆっくりと目を瞑ろうとしている。
その場にいるびしょびしょの3名はそのドラゴンを殺害するのに手間取った。
「ふぇっぐしょん」
「ずっるうるるる」
「はっくしょん」
「もうこれあなたのせいですわよ」
「兄貴のせいです」
「だって一度やって見たかったんだもん」
そこにいる3人はマントを着ている。
衣服は焚火で乾かそうとしており、3人のマントの下は素っ裸である。
さすがのミナラクも姉御と称するネイリの素っ裸は見ないそうだ。
3人の冒険者は水浸しになったので、焚火で衣服を乾かし、冷えた体を温めていた。
彼等は思っているのはいつまで登り続ければいいのかと、そいて自分達はどれくらいの所に落ちたのだろうかと。
それでもジェイクもネイリもミナラクも結構充実していた。
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