第7話 駐屯所→山に向かう

 地図の通りの場所に駐屯所は存在していた。

 鬱蒼と茂る無限大な森から抜け出るポイントでもあった。

 野党達4名はただ、だんまりを決め込んでいた。

 時たま逃がしてくれたら金を払うと泣き事を呟いたりしている。


 

 駐屯所には兵士達が無数にいた。

 その数だけでも50は超えるであろう。

 それを見た野党たちはびくりと反応していた。

 森と山の狭間にある駐屯地はちゃんとした大工さんが建物を造ってくれたおかげで立派に立ち並んでいるようだ。



「これは、冒険者ですな、その4人はなんですか?」

「野党です。僕たちを襲って奴隷にしようとしました。恐らく前科があります」

「なるほどね、ではこちらへ、野党の捕縛は報酬金が出るんだ。懸賞金がかけられていたら沢山のお金が貰えるよ、君、こっちだよ4名を連行してくれ、労働者にはなるだろ」


「先輩、彼等を連行します。団長なら先程リンゴを食べていました」

「了解した」


「ではこちらへ」


 先輩と呼ばれた兵士に案内されると。

 そこにはベンチに座ってリンゴを獣のように食べている大男がいた。


 その人はこちらを見ると。 

 にかりと笑い、次にネイリを見ると目をぱあぁっと輝かせていた。



「嘘だろ、お前はネイリではないか」

「え、あなたは、獅子王のライガーじゃないの、老けたわね」

「君が年齢を食っていないだけさ、客人に外で接客は失礼だな、こちらにこい」


 

 そう言われて大男の足に合わせて歩く。

 ライガーと呼ばれた男性はどうやら獣人族だ。

 尻尾が途中で切断されていたり、獣の耳がなかったり、していたが、顔も体も傷だらけだった。

 その為人間にも見えてしまったようだ。


 

 ネイリが犬ならライガーは獅子のようだ。


 2人はまるで兄妹のように歩きながら会話をしていた。


「そうか、あいつらも死んだか」

「あたいは、最後まで到達したけど人形にさせられた。ライガーは途中で怪我で退散したけどそれがよかったわ」

「そうとは言えん、兄者達と一緒に戦って戦士として散りたかった」

「そのような事は言ってはいけないわ、生きるという事はとても大切な事なのよ」

「それはネイリの考えだ。俺には関係がない」

「そう言う所は昔と変わらず頑固ね」

「がっはっは、そうだな、それでそこの小僧はなんだ?」


「恐らく神の村の子供よ、そして不思議な力を持っている。あたいを助けてくれた。だからあたいはこの人の物なの」

「小僧、このネイリをここまで従属させるのはただ事ではない、お前も兄弟だ、がっはっは」



「それはとても光栄な事です」

「小僧にしては言葉使いがなっとるな」

「あなたはなってないけど」



「がっはっは」


 ライガーは心の底から爆笑しているようだった。



「それと僕の名前はジェイクです」

「ああ、よろしくな、ジェイク、報酬金は準備してるぜ少し待ってくれ、お茶でも飲んでくれ」

「そうさせてもらいます」



 ここは色々な建物があった。

 兵士達が訓練する場所のようだし、あらゆる兵器も転がっていた。

 山の方角には沢山のバリケードがあった。

 そこで兵士達が戦うのだろう。

 山から何がやってくるかは知らないが、こういう場所は、モゼス町に限らず沢山の街や村に存在している。


 

 2人はライガーのテントに案内されるとライガーはいなくなった。


 ジェイクとネイリは取り合えずお茶が案内されたので、ちびちびと飲む事にした。

 村にいた頃のお茶より不味いが、きっと健康に良さそうなので我慢して飲んだ。

 ネイリはそれをごく普通にちびちびと飲んでいた。



 そこへライガーがやってくる。

 彼は大きな袋をこちらに渡してくれた。

 もちろんネイリにもだ。



「すげー色をつけさえてもらった。あの4人は常習犯で探していた。懸賞金もかけられていたから、沢山お金が支給されるぞ。それでジェイクとネイリはどこに行くんだ?」


「それなら山に行きます。そこでオーガを討伐してくるのです。オーガが大量発生しているようで」

「それは確かにな、オーガがこの森まで降りてくるようになった。その度に兵士達が討伐しているが、あれはおかしい、オーガは山から下りる事はしない」


「なぜ山から下りる事はしないのですか?」

「オーガは山の食べ物が大好きだとされている。という事は飢えているという事か、増え過ぎて」

「その可能性が高いわね、ご主人様、覚悟していきましょう」

「そうしよう」


「2人とも今日からこのライガーの仲間だ。なんでも相談してくれ」

「なんだか嬉しいです。僕には家族がいないですから、村長が家族でした」

「それならこのライガーを兄貴としてくれ」

「はい」


「ライガーはいつも通り熱い人ですね」

「ネイリに言われたくない、熱すぎる女性だっただろう」

「はっは、それは内緒よ」



 大きな袋をアイテムボックスにしまうと。

 簡単な挨拶をしてライガーがいる駐屯所から出発した。

 そこから山に登るのは簡単な道だった。

 山は入り乱れあっていた。

 だがおのずと目標は見つかる。

 ただそれが1体だけではないという事。

 それが10体もいたのだから。


 

 オーガは大量発生していた。

 オーガのメスが沢山の子供を産んで、それからオーガ達が急速に成長したのだろう。

 それか、別な場所からオーガ達が引っ越してきて、合流した可能性もある。

 沢山のオーガ大量発生説が上げられるが、今やれる事は数体でも多くオーガを討伐する事だ。

 数は決められていないが。ここでちゃんと討伐しておかないと、次の犠牲者が出るだろう。



 この山には色々な鉱石を採掘出来る場所があり、鉱石採集の人に被害が出る前にジェイクとネイリがこのオーガ達を片付ける必要があった。


 そして今だにスキルポイントは上昇を続けていた。

 不思議とスキルポイントが上昇していくことを肌身で感じるようになっていた。


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