第6話 クエスト【オーガ討伐】
「ではこれを受けて見ます」
「これですか、E級クエストの【オーガ討伐】ですね」
「はいそうです」
受付嬢は少し考えながら。
「実はこのオーガ達が大量発生しているという情報があります。E級の人はオーガを1体倒すのに苦労します。なのでこのクエストはD級以上にお願いしていましたが、ジェイクさんなら大丈夫ですね」
「そうですよ、だって先輩のネイリがいるのですから」
「先輩ではないですよ、30年のブランクは色々と時代が変わるものです。もちろんモンスターの強さも変わるでしょう」
それはジェイクも受付嬢も頷ける説明であった。
「ではオーガの分布情報を地図に転送しますね」
この前は薬草の分布地図を地図にデータ転送してくれたし。
次はオーガの分布地図が表示される。
そこは森を超えた山の中腹であった。
「では失礼します」
「無理せずですよ、ネイリさんもジェイクさんが無茶しないように見張ってください」
「はは、受付嬢に人気だね、ご主人様は」
「そうでもないよ」
それから2人はさほど装備を準備せず移動を始めた。
なぜなら僕のチートスキルにより習得出来たスキル達があるから。
ちなみに現在進行形でスキルポイントが上昇している。
そろそろ最高値を10万から上げた方が得する気がする。
最高値を上げると次は50万となる。
しかしスキルポイントを5万も消費するので考えどころでもあるが。
2人は歩きながら、ジェイクはスキルを習得していた。
歩きながら無表情で習得していくジェイクにネイリはつゆほども気付かなかった。
(気配察知とか気配遮断とかそういうのないかな)
スキル習得可能一覧を何度見る。
何かしらの行動をしないとスキル習得一覧に登録されないのは悲しい現実だが。
それでも何かしらの行動を取ってみる事にする。
「ネイリ、僕のスキルの事は説明したよね」
「もちろんですわ、ご主人様」
「それでネイリを追跡させてくれ」
「は、はい?」
「敵を追跡するスキルが欲しいのと、相手から気配を遮断するスキルが欲しいので。ふたつ同時に習得すると考えた訳です」
「なるほどです。それなら追跡してください」
歩きながら追跡し練習をしていく。
さらにネイリから気配を遮断するようにがんばる。
するとスキル習得一覧に表示された。
「よっしゃあああ、この調子で解禁していくぜ」
「まったく不思議な方法でスキルを習得するのですね」
「まぁ僕もこれが王道とは思っていないけど、凄くおいしい覚え方だよ」
「神の村の出身者はやはりすごいです」
「何か言った?」
「いえ、なんでもありませんわ」
===スキル習得=====
【気配察知】C→B→A→S【追跡されていると即座に気付く】
【気配遮断】C→B→A→S【追跡から気配を消す】
【危険察知】C→B→A→S【危険を完璧に察知する】
===============
危険察知はいつの間にか習得スキル一覧に表示されていた。
それと現在のスキルポイントは約2万位となっている。
この前沢山使ったが、即座に時間がスキルポイントを回復させてくれたようだ。
気配察知も気配遮断も危険察知もSランクまで上昇させたので、性能はピカ一だと思われる。
早速気配察知が発動したのは意外であったが。
危険察知が発動していない事から、敵はこちらに攻撃する意図がないという事だ。
という事はモンスター等の類ではない事は明白となる。
「ネイリも気付いたかい」
「はいです。数人ですわね、4人くらいって所ですわ」
「どうやら僕と意見が同じ様だ」
ちなみに僕の気配察知は強すぎるので、虫とか動物とか小さなモンスターとかまで察知してしまっている。
一応どれがどこにいるかは分かるが。情報量のキャパを過ぎているので、頭が混雑している。
その気配察知の情報の中で人間が4人いる事は即座に理解している。
どうやらこちらが追跡されている事に気付いてないと思って堂々と追跡してくる。
気配遮断で逃げるのも考えたのだが。ネイリも気配遮断を覚えているはず。
「あたいはご主人様が逃げると言うなら一緒に逃げますわ」
「でもネイリの気配遮断はCランクでしょ」
「そうなのです。あたいは基本的にバトルしまくるので、逃げる事はしてきませんでしたので、まぁ30年前ですが」
「それはそれでいいよ、ちょっと正々堂々とぶつかって見るか」
「いいのですか?」
「もし相手が味方だったら、もし相手が何か困っていたら。そう考えると直接話した方がいい」
「やはりご主人様はお人よしですわ」
「村の知り合いにもよく言われたよ」
「まぁ」
ジェイクとネイリはがばっと後ろ振り返った。
すると2人の男がいる。
もう2人は茂みに隠れている。
どうやら彼等は味方ではなく、敵のようだ。
「へへ、お前だな、薬草を大量に見つけてきた奴、しかも伝説の薬草まで」
「あの、話が見えませんが」
「仲間達がお前を鑑定したら、とてつもない化け物だと判明した。奴隷にして売ればぼろ儲けだし、獣人族も高く売れるしな、売れなかったら慰め者していやるぜ」
「あまり下品な事は言わない方がいいよ、ジジ、隣がマイバンで茂みに隠れている1人がデイスでもう1人がララバット、君達のレベルは20から30未満、鑑定で僕がレベル20だと思っていたそうだが、なんかむかつくから今レベルを上げた」
「う、うそだああああ」
隣にいた大柄のおっさんが叫ぶ。
そいつの名前はジジだ。
「どうしたジジ」
「あいついきなりレベル25になったぞ」
「どれだけのスキルポイントを使ったんだよ」
「そんなの俺に聞くなよ」
本当ならレベル40くらいまで上げたかったのだが。
スキルポイントが足りませんでした。
「ネイリは茂みの2人を頼む、出来れば殺すな」
「任せてご主人様」
「でだ。ジジとマイバンは僕が相手する。人と戦うのは子供の頃の喧嘩以来だよ」
ジジが大きな体を支えながら、背中に背負っていた杖を引っこ抜くと。
魔法の詠唱を始める。
次にマイバンが二振りのナイフを取り出す。
二刀流のナイフ使いと言う所だろう。
鑑定した結果毒を付与しているようだ。
それも痺れ系の奴だ。
あれはまずい、まだ痺れ解除系のスキルを覚えていない。
しかし1つだけ可能性があるスキルがある。回復魔法Sランクだ。
全ては戦う前から始まっていた。
マイバンがこちらににじりよる。
ジジが詠唱を終える。
ちなみにこの世界では魔法を発動する時、詠唱を述べる必要がある。
ほとんどは魔法名とどのような現象を引き起こすかを述べるだけでよいとされる。
ジェイクは詠唱が苦手なので頭の中でイメージして魔法を発動する。
それを完璧にマスターしている訳ではないので、無詠唱とまではいかないがこれもきっと習得可能スキルに登録されてくれたら嬉しい。
そんな事を考えていると。
蒼い炎がこちらに向かってくる。
その後ろをマイバンが走る。
さほど早いスピードではないが。蒼い炎が爆散して二刀流のナイフが空を切る。
そこには竜神剣を地面に突き刺しその反動で空中を飛んでいるジェイクがいた。
もちろん剣を引っこ抜く事も忘れず。
マイバンの後ろに着地する。
その瞬間、竜神剣の鋭い刃がマイバンの背中を斜めに両断する。
軽装備を簡単にざっくりと両断する。
そこから血が噴出するとそこにぶっ倒れる。
次の目標という事でジジを狙う。
ジジはこちらに向かって蒼い炎をまたこちらに飛ばしてくる。
竜神剣の武器が空を切る事により蒼い炎が霧散している。
それを何度も見ているジジは絶叫を上げている。
杖から仕込み剣を引き抜くと、こちらにまっすぐに走って来る。
ジェイクは剣を構える。
ようやくだ。剣術ランクがSランクの為。村長から教わった武芸が適応される。
そのおかげでアクロバティックな攻撃が可能とされている。
体のスキルと技術がかみ合っていなかったのだろう。
仕込み剣を弾く、それは竜神剣の一撃によるものだった。
仕込み刀が大木に突き刺さると。
ジジはそこにへろへろと座ってしまった。
「こっちは終わったわ」
そこにはネイリが2人の男であるデイスとララバットをローブで縛っていた。
デイスは顔がげっそりしているし、ララバットは体がふくよかである。
ネイリはジジもマイバンもロープで縛りつける。
「さてこいつらをどうする?」
先程マイバンのざっくりと斬られた傷を回復魔法で回復した。
彼等をどこに輸送すればいいのだろうか?
いわゆる彼等は野党のような存在なのだろう。
森に入って来る冒険者をこのように襲っては奴隷にさせている。
または金品を奪ったり、女性ならひどい事をしているのだろう。
そんな奴等に慈悲などないだろう。
「確か30年前なら、ご主人様地図を見せてください」
「もちろんだ」
「これですどうやら30年前からずっと同じ所に駐屯所があります。兵士達が訓練する場所で。山からのモンスター侵攻を押さえているのですわ」
「なるほど、そこに向かおう、そこならそのまま山に登る事が出来そうだ」
ジェイクたちはまず兵士達の駐屯所に向かう事となった。
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