第4話 今日は人助けにします
「まずは突然失礼しやす。わっしはジェブスンというものです。わっしは鑑定の中位を覚えています。そのわっしがあなたのスキルを鑑定出来ないのです。最初は不思議な新人だと見ていました。しかしあなたはあの薬草の量を取ってきました凄い事です。ぜひお願いを聞いて頂きたくございます。もちろん報酬はあります」
「何をすればいいんですか?」
ジェイクが謙虚に尋ねると、ジェブスンは呟くのだ。
「畑に大量発生した植物モンスターをどうにかしたいのです」
「それなら冒険者ギルドにお願いすればいいのでは?」
「いえ冒険者ギルドにはお願いできません、依頼料が払えないのです。農民とはさほどお金はないのです。ですがアイテムならある。これならジェイク殿も好むはずです」
「一体なんなのですか? もったいぶらないでください」
「これです」
それは人形だった。獣耳をした女の子の人形があった。
大きさはジェイクと同じくらいで、まるで生きているようだった。
「この子は獣人族だったのですが、呪いをかけられて人形になりました」
「という設定ではないのだな?」
「真実であります。試しにスカートを」
「や、やめろ」
「冗談です。目覚めた時に彼女に殺されますから、どうです。人形の獣人族のネイリは仲間に欲しいでしょ?」
「ああ仲間に欲しいけど呪いを解けないと意味が」
「きっとあなたなら呪いを解く魔法を覚えるでしょう」
「何気に投げやりで無鉄砲だな」
「それが人生と言う奴です」
「呪いが解けなかったら僕は相当な変人だぞ、大きな人形を持って歩いていたら」
「アイテムボックスにしまえばいいではないですか」
「何気に腹がたつし」
「わっしなんてこの子をいつもアイテムボックスにしまっているのですよ、さすがに変態にはなりたくないので」
「世界の人形愛好家たちを敵に回したぞ」
「はっは、ではどうします?」
「受けますよ、場所は?」
「行きましょう」
「はえーよ」
ジェブスンとその仲間達は歩き出す。
彼はあまりにも嬉しい事のようで人形をしまうのを忘れている。
ごつい髭面の男性が可愛らしい人形を持っている事時点で、周りにいる人々は恐怖物のようだ。
ジェブスンの仲間達は、堂々と歩いており、まるでギャングスターのようだった。
ちなみいギャングに見えますが全員農民です。さらに冒険者でもあります。
ちゃっかり全員念の為に鑑定しておいた。
沢山の事実。
ほとんどが人形愛好家出あった事。
ジェブスンだけが人形愛好家でないという新事実。
歩き続けていたら。太陽が輝き続けて。お腹が空いてきた。
こいつらのせいで昼飯を食べ損ねた。
モゼス町のはずれにあるそこは農村地帯となっていた。
沢山の畑が連なっている。
そこには無数の植物モンスター達が踊り狂っていた。
地面からは沢山の栄養を吸い取っており。
色々な作物達が死に絶えようとしている。
ジェイクは知っている。村長である祖父替わりの爺さんが教えてくれた事。
農民がいるから全てが成り立つのだと。
食べ物が無ければ、商人も軍人もそして沢山の人々は生きていけない。
植物があるから沢山の人々は生きていける。
そういってジェイクに畑作業を教えてくれた事がある。
全てが投げやりではあったが、村長はバカみたいに笑っていた。
欠けた歯を見せながらげらげらとこちらを見て笑っていた。
そんな事をなつかしさと共に思い出していたら。
ジェブスンが頭をこちらに下げていた。
「1つ聞きたい、あの植物モンスターの下にある畑には作物はあるか?」
「芋類があります」
「なら炎で燃やしてもいいな?」
「もちろんです」
ジェイクは広大な畑を見渡した。
数えきれない植物モンスターがうごめいており、きっと土の栄養分では足りず、作物の栄養分も奪っているのだろう。
右手をかざす。
魔法なんて使った事がない。
スキル習得可能にあったので習得しておいたくらいだ。
それでも炎魔法はSランクなのだ。
初めて使うという事は加減が出来ないという事。
燃え盛膨大なエネルギーは大量のMPを消費して、ドラゴンのような炎が立ち上がる。
後ろでは絶叫のような声が上がる。
そいてドラゴンの形をした炎は植物モンスターを次から次へと燃えカスにしていく。
イモ類の芽ですら燃え盛り、すでに実がなっているので大丈夫との事だったが。
ドラゴンの形をした炎はまるで生きているかのように飛行する。
これがSランクの炎魔法なのだ。
植物モンスターが自らの危険を察知して逃げようとする。
沢山の根っこと沢山の蔓を利用して不気味に歩いている。
その歩き方はとてつもなく気持ちの悪いものであった。
ドラゴンの形をした炎は大きな顎を開けると。
口の中に吸いこむかのように植物モンスターを飲み込んだ。
「これで完璧です」
ジェブスンさんとその他の農家達は感激のあまり謎の踊りをしだしたので、僕は少し離れておいた。
「ありがとうございます。あなたはわっし達の救世主です。いつか恩を返したいです。ですが今は報酬の人形をお受け取りください」
獣人族のネイリの人形を受け取った訳だが。
ずっと手に持っている訳にはいかないのでとりあえずアイテムボックスにしまっておいた。
農民たちはわいわいしながら勝手にいなくなった。
ジェブスンさんは果物を何個か置いていった。
取り合えず畑の真ん中で1人寂しく果物を食べるジェイクであった。
どうやらスキル習得一覧が更新されたようだ。
口の中に果物を頬張りながら、スキル習得一覧を把握する事にする。
====スキル習得一覧======
【呪い解除】【呪いを解除する事が出来る】
【ポイント食物変換】【スキルポイントを食物に変換出来る】
==================
ジェイクは先程アイテムボックスにしまった人形を取り出すと。
【呪い解除】と【ポイント食物変換】を習得する事にした。
次に【呪い解除】の魔法を獣人族の人形であるネイリにかける。
するとみるみるうちにネイリの体は人形っぽくなくなる。
それはまだまだ人生経験の足りない若い女性が誕生した。年齢は14歳くらいだろう、もしかしたらもう少し上かもしれない。
ネイリはこちらをぱちくりしていると。抱き着いてきた。
ちなみにジェイクは女性の耐性がない為、心臓が縮みあがり、恐怖の断末摩を上げる事は無かったが、身震いしてしまう。
そして思わず抱きしめてしまった。
ジェイクの謎の行動、女性を抱きしめた事がない、だから抱きしめて見たかった。
ネイリはびくんと反応して顔を真っ赤にさせると密着した体を離した。
「ええと、色々とありがとです。ご主人様」
「どういう事なんです?」
「この体を人形にしてしまったあたいを沢山の人々が売り買いしました。あの農家はあたいを邪魔物扱いをしていました。ですがあなたは違います。だからご主人様になってほしいのです」
「いいよ」
すごく簡潔に述べるジェイク。
ジェイクの中ではご主人様とはリーダー的存在であった。
しかし世の常はきっと誤解して来るであろう事をなんとなくジェイクは悟るのであった。
「見た所ご主人様は冒険者ですね」
「そうだよ、なんかチートがあるけど」
「なるほど、そのチートであたいの装備も作れますか? あたいこの姿ですし」
人形の時は違和感がなかったが。
今では胸が突き出しているし、体からは毛のようなものが生えている為に今着ている衣服だとごわごわになっている。
下手したら町に入れないだろう、入れたとしてもジェイクが何かの罪で捕まる恐れがある。
ジェイクは鍛冶場召喚を発動し、それを見て驚いたのがネイリであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます