第2話 デュラハンの暴走
勇気の王国には勇気は存在していない。
その国は犠牲の上になりたっている。
今その報いを受けている。
デュラハンが大人、子供関係なく殺していく。
「お願いします。この子だけはこの子だけは」
「お前等は俺様にも同じように手を差し伸べたか?」
そう言って首を両断。母親と子供の首無し死体が出来る。
その首無し死体は眷属となりうる。
商人が泣き叫ぶ。
「せっかく裕福になったんだ」
「それが誰のおかげかを忘れたのか?」
商人の首無し死体を眷属とする。
青年達が徒党を組んで、槍で攻撃してくる。
何度攻撃しても、突き刺してもデュラハンは倒れる事は無い。
逃げようとする青年達を猛スピードで走り出したデュラハン、命がけの追いかけっこの末に青年達の首を両断していた。
すると青年達が眷属になった。
デュラハンが首を両断するたびに人々を襲う首無し死体が増え続ける。
こちらが100人の首無し死体を眷属にすると、ある橋をがっつりとガードしている兵士達を見つける。
一般の兵士の鎧より結構立派になった鎧の兵士達。
国王は城のベランダから橋を守る近衛兵を見ている。
その対岸には国民達がデュラハンに頭を切断されるとその仲間になっていく。
それも首無し死体だ。
国王はデュラハンを見た時、はっとなった表情になる。
首のない騎士は橋の真ん中で止まった。
対岸には近衛兵たちが密集体系をとっている。
デュラハンは指の動きで首無しの眷属達を操作している。
天気は晴れそのものであり、曇り1つがない、この勇気の王国では強い風が吹くのはまれとされる。
それは起きたのだ。
突風のような風が舞い上がる。
近衛兵たちが目を覆う。
その隙を疑わず、デュラハンは猛スピードで走り出した。
それは突風そのものであった。
「う、うああああああ」
「き、きたぞおおおおお」
兵士達の断末摩、デュラハンのタックルにより近衛兵たちが吹き飛ばされる。
空中で巧みな剣術により次から次へと首だけを両断。
首を両断されたものは眷属となり近衛兵士達を襲い始める。
指をくるっと回転させると、首無し死体達は問答無用で人間達や人間種を殺し始める。
近衛兵たちはそれに気づく、彼等には3つの選択肢がある。
1つは国民を守る為に戦う。
1つはここでデュラハンを倒す。
1つは逃げる。
彼等がとった行動は逃げるであった。
近衛兵達は逃げ出した。
それを追いかけて殺害しまくるデュラハン。
「ええい、何をしている。敵はデュラハン1人だぞ」
近衛兵の隊長がそう叫ぶも。
デュラハンは落ちていた槍を左手で掴むと思いっきり投げた。
その隊長の首が落下した。
もはや近衛兵たちの指示系統はめちゃくちゃ。
逃げるものだらけ、だがどこに逃げればいいとなっている。
橋を渡って逃げれば首無し死体と戦う。しかしここで逃げたとて、デュラハンが追いかけて来るし。橋を渡るしかないのだが、しかし近衛兵たちは何か諦めがついたようだ。
数人の近衛兵がこちらを見ている。
瞳の色をデュラハンは知っている。
あの瞳は勇気の心を持ったものの姿。
「楽しめそうだ」
デュラハンが10人の近衛兵と真っ向勝負を始めた時、国王は逃げる方法を考えていた。
「魔法使いを呼べ、俺を隣の国に転送させてくれ」
「それは出来ませぬ、あなたが魔法使いを全員首にしました」
「な、なら隠し通路を」
「あなたが逆に侵入されたら怖いと隠し通路を破壊したではありませんか」
国王の妃は真っ青な顔をしている。
それでも最後の最後まで1人の妃であろうとしているのだろう。
「それよりもあのデュラハンに心辺りはないのですか?」
この奥さんは勇者達が生贄にされてから出来た妻であり、その子供もとても小さい。
今別室で執事に守られている。
「数年前だ。7つの国が結託して大きなプロジェクトが神融合の大陸だと言う事は知っているな」
「はいですわ」
「その為に7つの王国で7つの最強者(エンペラー)と呼ばれた人々を騙して殺したのは?」
「そ、それは初耳ですわ、そんなすごい人を処刑したら国民達が黙っていないのでは?」
「国民達ですら騙したとしたら?」
「あ、あなたは、とんでもない事をしたのですわ」
「ああ、とんでもない事をした。それでも富が欲しかった。自分だけが幸せになれればよかった」
国王と妃が話をしていると間、10人の近衛兵の首を両断して50人の首無し兵士が出来上がった。
デュラハンは少しずつ自らの力のコントロールを学んでいく。
眷属とは生前の知識や体で強さが決まる。
近衛兵は1人1人が強くて、それを眷属にした場合、首はないが圧倒的な眷属になる。
デュラハンはこきこきと首をならす。
首などないのに。
後ろではあらかた首無し死体が民衆を全滅させたようだ。
1つ分かる事は首無し死体が別な首をもぎ取ると、そいつも眷属となる事。
まるでゾンビみたいだった。
後ろに集っているのは約2000体の首無し眷属達であった。
彼等は真っ直ぐに健常者の如く歩く。
そこは城の入り口で、厳重に閉ざされていた。
デュラハンは遥か上を見ていた。
きっとそこに国王がいるのだから。
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