第231話「豊胸戦記13」
誠に遺憾ながら美少女型ドMの変態を配下に加えることになった私ことセシルは、ノーキーンから来た道を引き返し、ライツィヒへと向いました。
そして、ライツィヒを包囲していたアベル達と合流し、総勢約五万の大群で久しぶりの力攻めを敢行しようとしたのですが……。
定番となりつつある演説と降伏勧告をしたところ、残念ながら?この間、人質交換で解放された後この街の総大将を務めていた第三王子の首を片手に、守備隊があっさり降伏してしまいました。
折角、悪党達の血で大地を真っ赤に染めたり、国王の肖像画を燃やしたり、石像とか引き倒して正義の味方を気取ろうと思っていたのですが、残念です。
え?変態の所為で溜まったストレスを殺人や破壊で発散する気じゃないか?ですって?
そ、そんなことは……あんまりありません……よ?(汗)
……それにしても何と言うか、落ち目の為政者と崩れゆく国の姿は憐れなものです。
やはり、独裁国家は負け出すと崩れるのは一瞬ですからねー。
国は違えど一応同じ為政者側の人間として、こうはなりたくないものですよ、本当に。
一体どれだけ民や兵達にヘイトを買っていたのでしょうね、バイエルラインの王族は……。
まあ、連中とは反対に私は民には割と好かれている……筈なので、こうはならないと思います(多分)。
そして、勿論私の未来の夫であり、次期国王であるリアン様も同じです……いえ、寧ろリアン様の為なら民から貴族まで皆嬉々として戦いに行きそうな気がしますね……。
リアン様の魅力、恐るべし。
閑話休題。
こうしてあっさりとライツィヒが落ち、それから街の住人達から盛大な歓迎を受けた私達はその後、ライツィヒの守備隊も配下に加えて王都へ進軍しました。
これでもう私と王都を隔てるものはありません。
さあ、いよいよこの遠征もクライマックスです!
サクッと王都を落としてバイエルライン王を捕まえて処断し、それから私が劇的なトランスフォームを決めて感動のフィナーレ!
ふふ、もう二度と……まな板とか装甲板とか貧しい平原とは呼ばせません!
これから私は豊かな山岳地帯になるのですから!
それから数日後、私達は王都へ到着しました。
ここでもライツィヒと似たような感じで、市街地に火を付けるように命令を受けた守備隊が反乱を起こして降伏し、ほぼ無傷で市街地を手に入れました。
残るはバイエルライン国王一族と僅かな王党派が立て篭もる最後拠点にして、バイエルライン支配の象徴でもあるノイシュバーン城のみです。
いやー、王家が徹底抗戦を呼び掛けたのに殆どの民も兵もそれに取り合わず、あっさりとこちらに下った時はビックリしました。
なんと言っても敵の王都ですからね、流石に少なくない抵抗と損害を覚悟していたのです。
それが蓋を開けてみればこれです。
……やはり私の美しさのお陰ですかね、グフフ。
そして、一体バイエルライン王家はどれだけ人望が以下略。
と、そんな感じで現在王城の包囲が終わったところなのです。
で、今からアベルやヴァルター王達幹部とノイシュバーン城の攻略方針を決める会議をするところです。
あ、因みに『痛いのが大好きなのでステータスを防御力に全振りした変態』は、理由を付けてライツィヒの街に捨ててきました。
実は例の泉の場所を既に聞き出したので用済みになったのです。
本当はドラム缶に詰めて海に沈めるか、アスファルトに混ぜて道路の一部にしてやりたかったのですが、アレは何故か民に人気があり、丁度よかったのでライツィヒの軍政官に任命して置いてきました。
お目付役のリディ先輩(鬼軍曹ver)と共に。
きっと楽しくやっていることでしょう、ククク。
これであのウザい物体ともおさらばです!
さて、変態も断捨離出来ましたし、総仕上げと行きましょうか!
何を隠そう、例の泉はノイシュバーン城の地下にあるのですから!
そして、私は明るく豊かな未来を確信しながら居並ぶおっさん達に言いました。
「さあ皆さん、軍議を始めましょうか!」
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