第227話「豊胸戦記⑩」
今後の方針を決めた私はランス軍の内、一万を連れてノーキーンへ向かうことにしました。
残りはアベルに預けて北へ向かわせ、ライツィヒ付近で待機させることにしました。
因みに北へ向かう部隊の数は約三万です。
何故、急に数が増えているのかというと、実はこの間解放してあげたバイエルラインの捕虜達の多くが、王家を倒す為にランスの旗の元で戦いたいと言い出したのです。
なんでも私の有難いお話に心を打たれたとか。
あ、決して強制などしていませんよ?
皆さんは真摯に話す私の姿に心を打たれたのです……きっと。
兎に角、そんな感じで彼らを加えることになった我が遠征軍は、現在合計で四万近い数になったのです。
兵糧もまだまだ余裕がありますし、これはとても良いことなのですが……。
ただ、一つ心配な点がありまして。
それは三万もの別働隊を前進させると、それに恐れをなしたバイエルライン側が降伏してしまうことです。
つまり、私が用事を済ませて合流する前に戦争が終わってしまうかもしれないんですよねー。
もしそうなってしまうと、アベルの指揮で戦争が終わったことになってしまいます。
そうなれば割とどうでもいい場所にいる私の手柄が無くなるばかりか、勝手に他国へ攻め込んだことをリアン様に怒られてしまうかもしれません。
まあ、リアン様はチョロい……じゃなかった、とてもお優しい方ですから少し涙を見せて、更に豊かになったアレを押し当ててみせれば多分許してくれるとは思いますが。
「セ、セシル……当たってるよ?」
「ふふ、当ててるんですよ♪」
的な感じで。
これ、一回やってみたかったんですよ!
今までは、
「セシル、服の内側に鉄板でも入れてるの?」
とか、言われかねませんでしたからね……。
いくらリアン様が相手でも、流石にそんなことを言われてしまったら私は許せないでしょう。
即座に腹パンしてお持ち帰りの刑です。
しかし、例の『伝説の泉』さえ手に入れてしまえば、そんな暗い現実ともお別れです!
ムフフ、夢が広がります!
いえ、妄想を膨らませている場合ではありませんね、急がないと!
それから私は急いでノーキーンへと向かい、無事に町へ到着したのですが……。
早々にウザい展開になりました。
まず、我がランス軍の接近を知った領主グスタフ=ギュンター男爵が、愛馬共々厳つい鎧に身を包み、町の防壁の前で待ち構えていました。
次に町の住民達がそれを防壁の上から心配そうに見守る中、先程私に嘆願にやって来た住民の代表数名が進み出て、彼に降伏するよう説得を試みたのです。
しかし。
我が軍から進み出た彼らの姿を見たギュンター男爵は驚いた後、少し寂しそうに言いました。
「ぬ?お、お前達!?何故ランスの連中と一緒に!?……はっ!そうか、そういうことか……私は売られたのだな」
そして、まだ何も言っていないのに勘違いして間違った結論を出しました。
「「「え!?ご領主様!そうではありま……」」」
当然、住民達はそれを否定しようとしましたが……。
「よい、気にするな。お前達が生き残れるのなら、私の首と引き換えでも構わなぬ」
残念ながらギュンター男爵は聞く耳を持ちません。
「「「いえ、そうではなく!」」」
「だが、私もバイエルライン騎士の端くれ!タダでこの首をやるわけにはいかんのだ!このまま討ち取られては、ご先祖様や王家へ顔向けできんからな!」
「「「だから違うって!」」」
全く話を聞かない領主に住民達がキレ気味に叫びます。
うーん、悪い人ではない……というか民思いの良い領主ではありますね。
アホですが。
「皆んな、私の事は気にしなくて良いからな?幸せに暮らすのだぞ!」
「「「話を聞け!」」」
「最早、我とお前達は敵同士!交わす言葉は持たん!」
そして住民達の必死の説得にも関わらず、彼は戦う覚悟を決めてしまいました。
ダメですねこの人、早くなんとかしないと。
でもこの人凄く面倒くさそうなので、正直出て行きたくないですが……。
住民の皆さんと助けると約束してしまったんですよねー……。
「はぁ、行きますか」
そして私はため息をついた後、居並ぶ兵達の前へと進み出て、そのアホと対峙したのでした。
そして話は冒頭へと戻ります。
皆様お久しぶりでございます。
にゃんパンダです。
最近お待たせしてばかりかですみませんm(_ _)m
ですが今日から復活しますので宜しくお願いします(^^)
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