第21話「再び状況整理」
「で、レオニー。暗部の者達に指示を、と言うことだが……」
部屋にはまだレオニーしかいない。
「はい、申し訳ございません。もう間もなく残りの人員も参りますので、どうかご容赦を」
恭しく謝罪するレオニー。
「そんなことは気にしてないが、残りの人員も、という事はやはり君も暗部のメンバーだったのか」
「やはり、ということは以前からお気づきだったのですか」
「いや、何となくそんな気がしていただけだ」
わざとらしく肩を竦めながら答えて見せる。
だが、実は以前から知っていた。
洞察力が優れていて身のこなしで見抜いたとか、会話から察したとか、そんなカッコイイ理由ではない。
自分で言うのも悲しいが、私はそんな有能な人間ではない。
実は何年か前に、強風でレオニーのスカートが若干捲れ、その美しい大腿部に目が行った時に(だって、男の子だもん!)偶然見てしまったのだ。
太腿に巻かれた鈍く光るそれを。
あれを何というのか知らないが、いわゆる暗器というやつだろう(不○子ちゃんかよ!)。
それ以来、レオニーが恐ろしくて仕方ない。
まあ、そんな訳でちょっぴりエッチなイベントがちょっぴりのトラウマ変わったのだ……。
閑話休題。
さて、臨時の部下達が集まってくる前に色々と整理しておこうか。
まず、私が父上達に提示したメリットを思い出して見よう。
一つ目、無能な第一王子が王位を継承しない。
これは既にクリアも同然。
弟フィリップに皇太子になる旨を伝えて準備をさせればOKだ。
後は、発表のタイミングと国内外への印象操作等の工作でいかに効果的に行うか、だな。
あ、それと各勢力への根回し。どうやるかは知らないけど。
誰かに丸投げしよう。
二つ目、セシルとの正式な婚約破棄と彼女のフィリップとの恋を成就させてやらなければならい。
幾ら聖女のような美しい心を持つセシルでも(リアンの思い込み)でも、流石にあれだけのことをされて婚約破棄を嫌がりはするまい。
フィリップも嫌がる理由はないし、これもクリアだな。
三つ目、第一王子派の悪徳貴族共を処分すること。
これが一番大変そうだな。
恨みも買うし、廃嫡後に街を歩く時は背中に気を付けねば……。
四つ目、父上のイメージアップの為の世論操作。
うん、暗部に任せよう。
五つ目、義妹マリー=テレーズ のコモナ輿入れ阻止。
これは中々手間が掛かりそうだ。
まだ正式な手続きはしていないが、国同士の案件だから慎重に対応しないと。
更に、アネットと取引して代わりに送り込む算段も付けなければ……。
以上五つ。
これらを一ヶ月以内に片付けなければ明日はない。
無理は承知、でもやるしかないんだ。
ゆとりある自由な生活の為に!
などと長考に入っていると、気が付けば部屋には人員が集まり始めていた。
また、併せて報告書や資料などが次々と運び込まれ、デスクの上や置き切れない分が周辺に置かれてちょっとした陣地のようになり始めていた。
……さて、一体、何処から手を付けたものだろうか。
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