第53話 転封2
ビーカル伯爵はソウタと会談した後、幹部を集めて、転封の計画を練った。
都市ビーカルとヤコイケの各ギルドと大半の人々は、転封についてくる事になり、リーキヤ公爵がビーカル領を手に入れても、旨みが無い様にする方向だ。
会議では……。
「クソっ、ここまで発展させたのにぃ、面倒な事をさせやがって……」
「甘い汁を吸わせてたまるかぁ!」
「クソ公爵め、覚えていやがれ!」
「やられたらやり返す倍返しだ!!」
と会議で誰かが、言ったとか言わなかったとか……。
転封による引っ越しが始まった。
辺境の地スギンビは広大な領地だが、敵国と魔の森に隣接している為、それらから守る戦力が必要となる。
ビーカル伯爵は敵国と隣接した地に都市ビーカルから連れて来た者達と都市を作り、ソウタは魔の森と隣接した地域に都市を作った。
ソウタの都市では、ヤコイケから持って来た薬草の畑を早速作り、回復薬の増産に励む。
その回復薬を格安で提供する事で、冒険者達を呼び込んだ。
魔の森でモンスターを狩猟して採集した素材が売れる事と、回復薬でリスクを軽減出来る事から、冒険者が多く集まり、発展する下地が出来た。
ビーカル辺境伯もスギンビから広く兵を募り、防衛の騎士団を増強していく。
騎士団も魔の森にて、レベ上げと素材の採取も兼ねて訓練を実施する事で、戦力を増強していく。
騎士団にも格安で大量の回復薬を提供する事で、リスクを軽減し戦力は拡充していく。
従って、元ヤコイケ印の回復薬は、スギンビ領以外には、全く出回らなった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ビーカル辺境伯がいなくなった後の都市ビーカルに、リーキヤ公爵の側近メアサが新任の男爵兼領主として、赴任した。
「何だか随分と閑散とした都市だな」
「そうですねぇ。空き家が多いみたいで、商会も少ない様です」
「イッヒッヒ、空き家かぁ、ビーカルは馬鹿だなぁ。空き家は領主のモノとして、リーキヤ領の商会に売りだそう。ダンジョンと回復薬がある都市だ。この都市で商売したい商会は多いだろうよ」
「成る程、儲かりますね」
「イッヒッヒ、そうよ。この都市を足掛かりとして、このメアサ男爵の成り上がりが始まるのだ」
「おお! 流石、メアサ男爵様」
「この都市の名前も今日から都市メアサに生まれ変わるのだ」
「おめでとうございます」
「うむ、俺についてこい! 出世は間違いなしだぁ!」
居城のバルコニーから、都市メアサの街並みを見詰め、自らの将来の栄華に思いを馳せて、満足げのメアサ男爵だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
長い前振りに、お付き合いいただき有難うございます。
次話から『ざまぁ』の話となります。
お楽しみください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます