第43話 翠露の迷宮攻略の褒美

「採取士を……、してます。ソウタです。男爵です。」


(はぁ、緊張する)


テンダイジモン教のライゴー大司教にイマイチの挨拶をするソウタ。


「がっはっは、挨拶はそれくらいで良い。テンダイジモン教はこの度我が領に誘致した。仲良くしてくれ」


「は、はぁ……」


(誘致かぁ。今までこの都市には無かったんだね)


「さて、本題に移ろう。ソウタ、この度は『翠露の迷宮』の攻略ご苦労だった。我が領地にもダンジョンを攻略出来る豪の者がいる事が、周辺領地にも知れ渡り俺も鼻が高いし、無用な争いを抑止出来る事からその意義は大きいぞ」


「しゅ、周辺の領地……」


(なんだか大袈裟になってきたぞ)


「こうして顔をあわせると、そんな感じは全くないんだがなぁ。がっはっは」


「はぁ……」


「王都からも問い合わせがあったが、ソウタの性格を考えて、王都への召喚は断っておいたぞ」


「有難う御座います……」


(ほっ、助かった。王都に呼ばれるなんてお断りだ)


「それでのう、褒美として子爵に叙爵する事になった。これは国王の許可を貰っている。」


ビーカル伯爵は、国王からの叙爵の書状を、ソウタにポイっと放り投げた。


「え? えええええええ!」


(国王かぁ。これは断れ無いんだろうなぁ)


「併せて町を一つと村を2つ任せる。お前のところには、コエザもいるし、問題ないだろう」


「ま、町ぃ? 村2つぅ? ま、真に勝手ながら慎んでお断り致します」

(ほっ、言えた。)


「おいおい、即答で断るなよ。俺は新参の伯爵で寄子がいないんだ。信頼出来る寄子が欲しい。頼むぜ、ちょっと検討してから返事をくれ。なぁ、コエザどうだ?」


(ははーん、それでこの領の幹部として、ギルド長が集まるのか。貴族がいないのは、おかしいと思っていたんだ……)


「ふむ、ソウタにしては上々の回答じゃが、……検討ねぇ、領地の場所にもよるのう」


「場所の候補は、追って連絡するが、希望はあるか?」


「ま、まだ受けるかどうか、分からないけど、……ヤコイケ村が候補にあると前向きに考えられるかな?」


「ほほう、そう言えばソウタの故郷がヤコイケ村だったな。分かった候補に入れておこう」


「あ、有難う御座います」


「俺の話は以上だ」


ビーカル伯爵の話がいつ終わるか待っていた冒険者ギルド長コヤマザが、すかさずソウタに話し掛けた。


「ソウタ男爵、ソウタ男爵の冒険者ランクをBランクに上げますので、エルダートレントの魔石を、是非冒険者として冒険者ギルドに納品してくれませんか?」


すると、コエザがコヤマザの言葉に待ったを掛ける。


「冒険者として納品しなくても、ダンジョン攻略者じゃ、ランクは上がるじゃろう。暗に冒険者として冒険者ギルドに納品しないと、ランクが上がらない様な言い方は感心せんのう」


「そうだそうだ、錬金術ギルドで買い取っても良いんだ。と言うか買い取らせてくれ」


錬金術ギルド長ヒンマルも話に入ってきた。


「いやいや、商人ギルドで買い取らせてくれ。冒険者ギルドの報酬より弾むよ」


と商人ギルド長ニーオヤも言う。

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