第41話 突撃の巨人

「おい、お前らここで何をしている?」


『翠露の迷宮』に出入口で、ソウタと雷獣のリャンゾウを待つ採取士達に声を掛ける冒険者いた。


Cランク冒険者であるジャイアントハーフのロカンとそのパーティー『突撃の巨人』だ。


採取士達は、ロカンの長身に驚き圧倒されて後退る。


採取士達の中から、冒険者を現役引退したヤフジが前に出た。


「俺がいるんだ。ダンジョンに入っても問題は無いだろう」


ヤフジがロカンに答えた。


「ヤフジのとっつぁんは、現役を引退したんだろ? 怪我するから大人しく草む……、薬草でも採取してればいいじゃねえか」


「はぁ?」


ちょっとイラッとするヤフジの後ろから、カモリナが出てヤフジの肩を押さえ、目配せしてヤフジに下がる様に指示すると、ロカンを見た。


「あら、ロカンじゃない。私達がどこにいようと私達の勝手よ」


カモリナが腰に下げてる鞭に手を添え、胸を張って採取士達の前に立った。


「冒険者ギルドを見限ったカモリナが、そんな格好でどうした? 冒険者に復活か?」


「採取士ギルドに、喧嘩を売ってるのかしら?」


カモリナも引き下がらない。


「ダンジョンは冒険者の稼ぎ場だ。採取士がウロウロしてると邪魔なんだよ」


「あのねぇ、低ランクの冒険者達が近隣の薬草の生息地で、薬草を乱獲したから近隣の薬草が絶滅したのよ! ダンジョンまで来て薬草を採取しなくちゃいけなくなったのは、冒険者の所為よ! 後輩に薬草採取のイロハをちゃんと指導しなさい!」


早口で捲し立てる様に言うカモリナの言葉にちょっとたじろぐ『突撃の巨人』達。


「しかし、戦闘職じゃねえ採取士が、ダンジョンに潜ると危ねぇだろ。俺達が護衛してやるから、依頼してこい」


これが、ロカンの本音か。


「はぁ? 余計な御世話よ。私とヤフジさんがいるし、ソウタ男爵とリャンゾウちゃんもいますからね! 結構です! そもそもうちの採取士だけだって、コボルトやゴブリンは瞬殺よ」


「はぁ? 瞬殺? 無理すんなよ。俺達に声を掛けられて、ビビってるガキ共が何言ってんだ。遠慮すんなよ。冒険者ギルド時代からの仲じゃねえか」


「あのねぇ。私達採取士は、何時までもこのダンジョンを攻略出来ない、根性無しの冒険者達とは違うのよ」


「なにぃ! そこまで言うなら『翠露の迷宮』を攻略してみろ! Aランクの冒険者も攻略してねえんだぞ」


「ふふふ、良いわよ。もし採取士がこのダンジョンを攻略したらどうする?」


「裸になって都市一周でも何でもしてヤらぁ。だが、今月中に攻略出来なかったら、俺とデ、デートして貰うからなぁ」


「言ったわねぇ! 上等よ! 今の話忘れ無いでね!」


「おう! や、約束だ!」

小さくガッツポーズのロカン。


その時、『翠露の迷宮』の出入口に魔法陣が浮かび上がり、閃光が輝く。


「え?」


みんな驚き魔法陣を注視していると、現れたのはソウタとリャンゾウ。


「な、なんだこの状況……」


ソウタは周りの冒険者達から注目されてるのを見て、ちょっとビビるが、採取士達が居るのを見て。


「ただいま。今戻りましたぁ」


「ソウタ様、その魔法陣って……。『翠露の迷宮』を攻略したって事ですよね?」


カモリナがソウタに恐る恐る聞く。


「そうだよ。これが証拠だよ」


アイテムバッグから取り出したエルダートレントの魔石を、カモリナ達に見せた。


カモリナはロカンを振り返り、意地悪な笑みを浮かべる。


その魔石を見た周りの冒険者達が驚き、そして目玉が飛び出し顎が外れるぐらい口を開けて、海外のアニメの様に驚くロカン。


「うっそおおおおおおおおおお!」

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