第40話 ドリアード

枯れろwither!」


ソウタは雷獣のリャンゾウに魔力を流して貰い、再度ボス部屋奥の大木に向かって、豊穣の杖で魔法を詠唱した。


大木が一瞬で枯れて、地面に地下に続くであろう扉が現れた。


ソウタは扉を開けて地下に行く階段を降りた。


(これこれ、ゲームと同じだ。割と知らない人も多い裏ルートなんだよねぇ。ゲーム上、豊穣の杖の真の価値は、この部屋に行くことだと言っても過言じゃないんだ)


地下室は12畳程度の空間。そこにダンジョンコアとダンジョンマスターである木の大精霊フローラがいる。


花が咲き誇り、木々が生き生きと生い茂る不思議な空間だ。


木の大精霊フローラは大木が自然と曲がって出来た様な椅子に座っている。


母性を彷彿させる大きな胸と豊満な肉体を持つフローラは、目を開き驚く。


「あら? 人間だわ! 何でここに来たのかしら? どうしてこの場所が分かったの?」


「それは秘密です」


「この場所は精霊の魔法で隠蔽してあるので、誰も探知出来ないはずなのに……。その隣にいる雷獣に関係があるのかしら? 初めて見る子だわ。でも雷獣がこの場所を分かるとも思えないし……」


「その件はノーコメントです。それより、ここに人が来た場合、木の精霊の加護を貰えるんですよね」


「何故、その事を知ってるの」


(おお、良いねぇ、やっぱりゲームと同じだ。俺は魔力も無いし、攻撃するスキルも無いから、少しでも死なない様に生存率をあげる必要があるんだ)


「それも秘密です」


「ふ~ん、その通りよ。秘密は気になるけど、加護は与えるわ」


「ちょっと待ってください!」


(危ねぇ、あれ何か会話して選択肢の中から選ぶ方式じゃ無いんだ。ん~、会話の仕方を間違ったか)


「え~と、木の精霊の加護の一つで、木の中級精霊ドリアードを……」


(貰えるはおかしいよな。モノじゃ無いし、仲間にしてくれってのも変だし、なんて言えば良いんだ?)


「ドリアードと契約したいのね?」


「そ、そうです。契約です」


「貴方のお名前を教えてください」


「ソウタです」


「分かりました。ソウタ、ドリアードとの契約を許可しましょう」


「有難う御座います」


フローラが手を振ると、聖なる魔力が淡く光りキラキラと輝きながら降り注いだ。


「ドリアードよ、ここにいるソウタと契約を結び、ソウタに力を貸してあげなさい」


「畏まりました」


ソウタの目の前に現れた木の精霊ドリアードは、葉の模様の緑の服を来た可愛い少女だった。


(精霊は沢山居るけど、我が儘だったり、自己中心的だったりして扱い難いけど、木の精霊だけは別なんだよねぇ。従順で優しくて主人の頼みを素直に聞いてくれる。多分、採取士にとって一番役に立つ精霊だ)


「俺はソウタです。宜しくお願いします。君の名前を教えてくれないか?」


「私はクロリス、宜しくね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る