第26話 公開裁判2

ソウタは両手を拘束されてステージ上に連れて来られた、『狂鬼』の5人を見て驚いた。


(あれ? 裁判前からまるで犯罪者の様だぞ)


「さて、この『狂鬼』の5人だが、昨夜逃亡を図った。それを止めようとした錬金術師コエザを殺害しようとした為、衛兵が捕まえて牢屋に入れていた。この時点で殺人未遂が成立しているのだ」


「ええええええ!」

「カイズ! 何やってんだぁ!」

「死んじまえ!」

「このクソ野郎!」


観衆は罵声を飛ばす。


「はぁああああ? ちょっとぉ! 逃亡を図るってどう言う事ぉ! 私に嘘をついてたのぉ!!!」


カマルカは『狂鬼』達に大声で叫ぶ。


「カマルカさん! 静かにして下さい。進行を邪魔すると捕まえますよ」


裁判を進行していた役人がカマルカを睨み、威圧を持って注意した。


「ひゃい……」

返事が噛んでしまうほど、恐怖にとらわれるカマルカ。


観衆の街の人々も言葉をのみ込み、静まり返った。


「さて、逃亡を図った時点で既に結果は見えているが、裁判だから詳細を明白にする必要がある。『狂鬼』のリーダーであるカイズに事実を述べて貰おう」


裁判官役の役人がカイズを向くと、観衆である街の人々の注目がカイズに集まる。


カイズの頭には既に、国宝である『真実の箍』が装着されていた。


ゴクリっ……。


誰かの生唾をのみ込む音が聞こえた。


「カイズ、君からは、何もしてない『狂鬼』の5人が、ソウタ殿の従魔リャンゾウに襲われたと聞いているが、これは真実かね?」


「……嘘、……です」


「おおおおおお!」

「やっぱりそうだったかぁ!」

「嘘つき野郎!」


湧き上がる街の人々。


「な、何だよぉ」

「嘘だったのかぁ」

「騙された……」


焦り始める冒険者達。


「カイズ、その時の状況を話しなさい」


「うっ……。その日、俺達は依頼に失敗し報酬が手に入らない為、夕飯も食べられない状況だった。その時、『草毟り』と従魔を見つけたので、剣を抜いて、『草毟り』の報酬を寄こす様に脅した。そうしたら、従魔に攻撃されたのだ」


「ふむ、そこまではソウタ殿供述と通りだな、その後どうした?」


「冒険者ギルドに行って、俺達が何もしていないのに、『草毟り』の従魔に襲われたと、受付嬢カマルカに報告した」


「ちょっとぉ! 私の名前を出さないでよぉ」

カマルカが叫ぶ。


役人はカマルカを睨むと、カマルカは黙り込んだ。


「何故そんな事をした」


「『草毟り』の貯め込んだ金を貰い、従魔を殺処分にして、魔石を貰う為だ」


「酷い!」

「何て奴だぁ!」

「死刑確定だなぁ!」


街の人々はカイズに罵声を浴びせた。


「ひ、ひぃ」

「許してくれぇ」

「すいません、すいません」


『狂鬼』の5人は観衆の言葉に、泣き出す始末だ。


「その後、どうした?」


「冒険者達と一緒に、『草毟り』と従魔を捕まえる為に街中を探した」

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