第16話 錬金術師コエザ3

ソウタはコエザからアイテムバッグを貰って、驚いて声も出ない。


ただアイテムバッグを見詰めていた。


「おい、ソウタ! 大丈夫か」


「あ、あぁ。あまりにもビックリしてた」


「ははは、もう一つプレゼントをあげるのじゃ。ソウタはヤコイケ村近辺に自生している薬草しか知らんじゃろ」


「そうだね。おばばのボンブルから教えて貰ったけど、実際に採取した薬草以外は自信がないなぁ」


「妾の特別な指名依頼をこなして貰うには、頼りないのじゃよ」


「それは、追々覚えるから、待って貰えると嬉しいなぁ」


「待てないし、待たないのじゃ。そこでこれをやろう。」


コエザはゴーグルをソウタに渡した。


「ゴーグル?」


ソウタはゴーグルを受け取り装着してみた。


「『鑑定』をイメージするのじゃ。雷獣よ、お主はゴーグルに魔力を少しだけ通して見てくれ」


「鑑定? もしや……」


(分かったキュ、ソウタ魔力を通すキュ)

「リャンゾウ、有り難う」


ソウタの前にいたコエザのステータスがソウタに見えた。


「ええええええええ! か、鑑定の魔道具じゃん!!」


「そうじゃよ。雷獣と契約したから、魔法が無くても魔道具が使えるじゃろう」


「本当に良いの?」


「ははは、妾にとってもメリットは大きいのじゃ。結局聖獣契約もアイテムバッグも鑑定のゴーグルも、妾が欲しい素材を採取して欲しいからやったのじゃよ。雷獣がいれば多少危険な場所にも採取に行けるじゃろ」


「え゛……、そんなに危険な場所には行けないよ」


「まあ、追々じゃのう」


「はぁ、俺は戦えるスキルが皆無だから、手加減してね。」


「その歳でレベル1じゃからのう。それは知っとるのじゃ。しかし聖獣契約をしたのでのう。雷獣が倒した分の経験値を半分貰える様になったから、直ぐに強くなるのじゃ」


「え! マジか! あっ、それから雷獣の名前はリャンゾウだから、覚えてね」


「リャンゾウじゃな、覚えたぞい」


「一つ聞きたいんだけど、鑑定でコエザのステータス見ちゃったんだけど、年齢が20歳になってたよ。何で?」


「野暮な事は聞くんじゃない。妾は永遠に20歳なのじゃ」


(こいつ、ステータス偽装のスキルがあるな! 鑑定で見たBWHのサイズも怪しいなぁ)


「明日には冒険者ギルドに指名依頼を出しておくから、宜しくのう」


「分かったよ。こちらこそ宜しくね」


ソウタとリャンゾウは、コエザの屋敷を後にした。


その後、夕食を食べて、従魔と泊まれる宿屋を探し、今日宿泊する宿を決めて宿に入った。


宿屋の部屋でリャンゾウと色々話したら、リャンゾウはソウタが転生前に飼ってたハムスターだった。リャンゾウも転生していたのだ。


しかし、飼ってたハムスターが聖獣である雷獣に転生して、飼い主のソウタがモブキャラに転生した事に納得がいかないソウタだった。

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