第15話 錬金術師コエザ2

ソウタはリャンゾウが雷獣と聞いてビックリしていた。


「雷獣に冒険者ギルドの従魔の証をつけてる様じゃが、聖獣と契約はしていないようじゃのう。契約したいかのう」


「契約?」


「そうじゃ。モンスターなら主従関係を持つ従魔契約、精霊が力を貸す精霊契約、対等な繋がりを持つ聖獣契約があって、要は繋がりを持つのじゃ」


「繋がりを持つとどうなるの?」


いつの間にかタメ口になってるソウタ。見た目が変わらないから、ついタメ口になっているのだが、そのお陰で緊張せずに会話が出来ている。


コエザも特にタメ口に対しては気にしていない様だった。


「意志疎通がスムーズになり、念話が出来るのじゃ。後は雷獣が他の者と契約が出来なくなる。それは何が良いかと言うと、力がある者に無理矢理強制で従魔契約なんてされたら、雷獣の意思に関係なく、言う事を聞かせられるからのう。それを防げるのじゃ」


「それは是非お願いしたい」

ソウタがお願いすると、リャンゾウもウンウン頷く。


「ソウタにテイムのスキルが無いので、従魔契約出来んぞ。それから雷獣が成長すれば、精霊契約も出来るが、雷獣はまだ若いので、今出来るのは聖獣契約じゃな。妾が媒介して聖獣契約を結んでやろう」


「お願いします」

「キュー」


コエザが何やら呪文を唱えると、ソウタとリャンゾウは聖なる光に包まれて、ソウタとリャンゾウを聖なる光が繋ぐ。


ソウタは、何だかリャンゾウと心が繋がった気がした。


(ソウタ! やっと意志が通じたキュ)

(お! リャンゾウか?)

(そうだキュー)


「コエザさん、ありがとう!」


「いやいや、媒介しただけじゃよ。雷獣側にその気がなければ契約は出来ないからのう。聖獣にこれ程好かれてるのは珍しいぞ」


その後、ソウタは、手土産の薬草と村の錬金術師ボンブルからコエザに宛てた手紙を渡した。


「ふむふむ、成る程のう。薬草の採取をボンブルが教えたのじゃな。確かに採取の腕は良い様じゃ。今後も継続して採取をお願いしたいのう。勿論報酬は支払うぞ」


「分かった。だけど冒険者登録したので、指名依頼にして貰うと嬉しいなぁ」


「おお、良いとも。指名依頼で頼むのじゃ。だがちょっと気になったところがあってのう」


「ん? どんなトコ?」


「保存方法じゃな。バッグの一番上に置いて大事に持って来たのは分かるのじゃが、どうしても荷物と一緒に持って運ぶと若干傷むのじゃ」


「あぁ、そうだよね。でも他に運ぶ入れ物が無いんだ。ごめんよ」


「これをやろう」

コエザはバッグをソウタに渡す。


「え、形はあまり変わらないみたいだけど?」


「ふふふ、中に入れてみるのじゃ」


ソウタは、自分のバッグからコエザに貰ったバッグに、薬草を入れてみた。


「え? 消えた!」


「そうじゃ、亜空間に収納出来るアイテムバッグじゃよ。これで採取した状態のまま納品出来るじゃろう」


「こ、これ貰っても良いの? こんな高級な物を……」


「良いのじゃ。受け取り難いのなら、貸してる事にしても良いぞ。妾の依頼品は最高の状態で納めて欲しいからのう」

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