第14話 錬金術師コエザ1

ソウタは何とか冒険者登録を終えて、村の錬金術師のおばばことボンブルの師匠である、コエザの家をに向かう。


ボンブルに書いて貰った地図を見ながら、ウロウロしてあっちこっちに行って間違えながら、やっとの思いでコエザの家の前に着いた。


「ここだよなぁ?」


ソウタはリャンゾウに話し掛けるが、リャンゾウはキョトンとして首を傾げる。


「まあ、リャンゾウが知ってる訳ないか」


今まで歩いて見てきた屋敷の中でも、大きめの立派な屋敷だった。


「表札に『コエザ・キグリ』って書いてるから間違い無いな。さて、場所は分かったので、訪問は明日にするか」


ソウタは、気が進まない事は先延ばしにする悪い癖がある。


(おばばの師匠だからなぁ、大おばばだろう、何だか会うのが怖いなぁ)


ソウタが引き返そうとしたら、リャンゾウがズボンの裾を噛んで引き留めた。


「はぁ、今日行った方が良いんだろう。分かってるよ、手土産の貴重な薬草を状態が良いうちに渡した方が良いからねぇ」


リャンゾウが頷く。


「リャンゾウって頭良いよね。モンスターとは思えないよ」


リャンゾウは得意気な顔をしていた。


ソウタは意を決して、アンティーク風で梟の形をしたドアベルを鳴らした。


「はいはい、なんじゃ?」


ドアベルを鳴らすと直ぐに、ソウタより若干年下と思われる女の子が、ドアを開けて出て来た。


若干派手めの服装だが可愛い子だ。


(出て来るのが早過ぎるよぉ)


しかし、ソウタは自分より年下の子には、緊張せずに話せるのだ。


「こんにちは、俺はヤコイケ村のソウタと言います。村の錬金術師ボンブルさんの紹介で来ました。コエザさんはいますか?」


「ん? コエザは妾じゃ。そうかぁ、ヤコイケ村からのう、遠い所を良く来た。さあ、入るのじゃ」


(キター! のじゃロリだー!)


「え? あなたがコエザさん!」


「そうじゃよ」

キョトンと首を傾げるコエザ。


「え? だってボンブルさんの師匠って聞いてたよ?」


「そうじゃよ、ボンブルは妾の弟子じゃ。ああ、妾を少女と思ったのじゃろう。妾はエルフでな、歳は150を越えてるのじゃ。エルフは長命種じゃからのう」


「ええええええ!」


(確かに耳が長くて尖ってる。エルフだぁ)


「はぁ、ボンブルの奴、そんな事も教えて無かったのか、全くけしからん奴じゃ。まあ、それは良いとして入りなさい」


ソウタとリャンゾウはコエザの屋敷に招かれた。


転生前の感覚だと、超高級アンティークの家具が「これでもかぁ」って言うくらいそろえられた一室だった。


その中のこれまた超高級アンティークのソファーで、紅茶を出されたソウタは、借りてきた猫の様に大人しく座っている。


「しかし、驚いたのじゃ、聖獣と一緒に、妾の家の前をウロウロしている者がいると思ったら、ボンブルの知り合いじゃったとはのう。何かと思ってドアの前で息を殺して、様子を窺っていたのじゃ」


「え? 聖獣?」


「ん? 何だ知らんかったのか、それ、そこにおるのが聖獣じゃよ。雷の属性とは随分珍しい聖獣じゃのう。まだ若くて10歳から20歳の間ぐらいかのう。種族は『雷獣』じゃな」


コエザはリャンゾウを指差す。


ソウタはリャンゾウを見る。

リャンゾウもソウタを見てウンウン頷く。


「ええええええ!」

驚くソウタ。

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